アバター

 つい最近まで、僕にとって“3D映画”と言えば未だ『ジョーズ3』だった。83年に公開されたこの映画を皮切りに80年代に一時“3D上映”が流行ったのだが、結果としてそれは「・・・・やっぱ、3D無理だね」という結論に達し終わったかのように思う。厚紙とセロハンで作られたような、鼻にも耳にも馴染まない不安定なメガネを掛けさせられ、それでもあまり立体には見えない上に疲れてしょうがないからメガネを取ると、今度は恐ろしく映りの悪い二重にぼやけた画面を見なければならず目と頭が痛くなってくる。映画を観るよりは劇場内を振り返って、全員が真面目な顔をして滑稽なメガネを掛けている観客を見てる方がよっぽど面白かった・・・・“3D映画”とは、僕にとってそんな不愉快極まりないモノであったのだ。
 数年前に、ジョージ・ルーカスやスピルバーグ、そしてジェイムズ・キャメロンといった大御所監督らが揃って「これからは3Dの時代だ」と言い放ち、更に「3Dしか撮らない」と公言してから再び大きな話題になり、同時に世界中の劇場はそれを公開出来るシステム設備の準備を余儀なくされたわけだ。先に書いたように“3D映画”にトラウマを持つ僕にとっては、その為に設備投資をしなければいけなくなった劇場と同様、ある意味迷惑な話だとしか受け止めていなかったのだけど。しかし、今年(09年)に入り次々と公開される次世代3D映画を観て「コレは凄いことになった!」という感じである。もはや僕の中のトラウマは完全に消え「なるほど、こういうことか」と、「3Dとはこういうモノなのか」と、ただただ驚くばかり。家庭用の超大型テレビやシアター用サラウンド音響設備が普及している中で、劇場で観る映画の醍醐味、更には劇場とホームシアターの決定的な差別化がこの3Dという方向性なのだろう(早くも家庭用の3Dシステムも登場しているが・・・・)。そんな中で最も期待され待ち焦がれていた映画が、この『アバター』である。何と言っても、映画史上歴代1位の興行成績を誇る『タイタニック』のジェイムズ・キャメロン監督最新作であり、その『タイタニック』から実に12年ぶりの監督作なのだから。しかも、“3D”である。この映画を撮る為に開発された新しいカメラシステムを駆使して描かれる世界は流石に圧巻で、最近の“次世代3D映画”の決定打と言えるだろう。きっと、この先“3D映画”を語るにあたって“アバター以前”と“それ以降”という表現が使われるのではないか、と思う。
 そして、この映画の1番凄いところが、この驚愕の3D映像は“あくまで、物語を描くため”に使われているに過ぎない点。とてつもなく神秘的で現実離れした世界観の中で描かれてはいるが、これは普遍的な愛とその葛藤を描いた、とても純粋な物語なのである。僕らが“遠い未来”だと思っていた2010年が現実にやってきた今、いよいよ“次世代映画”の登場である。是非とも体感して欲しい1本だ。

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