TSUNAMI

 改めて思えば、『冬のソナタ』ってのは本当に前代未聞の大ヒットだったのだろう。正に社会現象と呼ぶに相応しいほどの。基本、TVドラマ自体あまり観ることがなく、更にあの手の“恋愛ドラマ”ってのはどっちかというと毛嫌いしてしまう僕ですら、しっかり全話観ているくらいだから。それがあんまり世間を騒がせていたので「どんなもんなのだ?」と試しにさわりだけ観てみるつもりがすっかりハマッてしまい、嫁と2人で毎晩レンタルショップに行っては「まだ、4巻返ってきてねぇじゃん!はよ、返せよなぁ~・・・」とか悪態をついたものである。『冬のソナタ』という言葉を聞いたこともないっていう人自体、居ないんじゃないだろうか?という程大きなブームとなったので今では何だか“韓流ブーム”の火付け役みたいなイメージになっているが、あの一連の韓流ブームの火付け役は間違いなく99年の『シュリ』であったはずだ。で、あれだけ政治色の強い『JSA』(00年)が何故かココ日本でも大ヒットしたのは、本国でその『シュリ』の記録を抜いて大ヒット!という理由以外には考えられず、ちょっと冷静になってみれば『JSA』があれだけ(ココ日本でも)大ヒットしたのが不思議で仕方が無いはずなわけで。しかし、みんなが冷静になる前にうまいこと(後にハリウッド・リメイクもされた)『猟奇的な彼女』(01年)が公開され「韓国映画、マジおもしれーじゃん!」という雰囲気の中、決定打『冬のソナタ』!改めて振り返ると、物凄い綿密な戦略によって完全に日本は韓国に制覇された感があるから面白い。勿論それは結果論であって当時は戦略とかではなかったのだろうけど。
 僕が韓国映画にハマッたきっかけは『クワイエット・ファミリー』だった。ブラックユーモアの極致とも云えるシュール感、メチャクチャ感。映画が大好きで大好きで、それなりに山ほどの映画を観てきたつもりだったのだが、この映画を観たときはまるで初めて映画を観たような・・・・かなりの衝撃を受けたのを覚えている。この『クワイエット・ファミリー』は98年の映画なのだが、先に挙げた3本のヒット作の煽りでビデオショップは“韓国映画コーナー”を設置し、多くの韓国映画がビデオショップに並んでいたので、僕はこの時期にすっかり韓国映画のファンになってしまったのだ。韓国映画といえば『冬のソナタ』(コレは映画では無いけれど)を筆頭に『私の頭の中の消しゴム』(05年)や『サッド・ムービー』(05年)のような“とにかく泣かせます系”と、『シュリ』(99年)や『JSA』(00年)、『シルミド』(03年)、『ブラザーフッド』(04年)、『友へ チング』(03年)のような政治色を強調したモノ、そして『殺人の追憶』(03年)に代表される『オアシス』(02年)や『オールドボーイ』(03年)なんかのシリアス・ダークモノ、更には先に挙げた『クワイエット・ファミリー』(98年)、『猟奇的な彼女』(01年)、『グエムル―漢江の怪物―』(06年)、『グッド・バッド・ウィアード』(08年)、『渇き』(09年)といった“CGぶっ飛び系”の、明確に4ジャンルあって、この徹底したフリ幅が最大の魅力なのだと思う。特に“CGぶっ飛び系”の代表作とも云える『グエムル―漢江の怪物―』は未だ韓国映画動員数歴代1位を誇っているわけで・・・・ということは韓国映画と云えば“CGぶっ飛び系”ということになるのではないのだろうか?世間がイメージするような“恋愛モノ”なんかではなく。
 その“CGぶっ飛び系”の最新作が、この『TSUNAMI-ツナミ-』だ。コレは本国では去年に公開されていて、一気に歴代4位だか5位だかを更新していたので凄く気になっていたのだが、にも関わらず一向に日本で公開される気配すらもなかったので「あぁ、もう韓流ブームも終わったのか・・・・」と思っているとようやくの日本公開。ごく平凡な人々の、平凡な日常のある日、突然、大ツナミに襲われるという、まぁ、コレ以上もコレ以下も無くどうにも解説のしようのない物語なのだが、とにかくそのあまりの(勿論、イイ意味での)バカバカしさが爽快な映画なのだ。プラス、メッチャ高レベルなCG!何故にこんなバカバカしい映画にこれだけのCGを駆使するのか!?正に“大金使った大の大人の悪ふざけ”的な感じの爽快さなのである(笑)。こんだけ大真面目に悪ふざけをするってのは韓国映画の王道だろう。正にコレぞ“韓国映画”!パッと見(例えば予告編とか)日本映画と区別が付かないくらいなのだけど、邦画とは全く違う、その圧倒的な“ぶっ飛び感”ってのは、この“バカバカしさ”だと思うのだ。こういうのを観ると「まだまだ日本人、頭かてぇな・・・・」なんて思ってしまうのは僕だけだろうか。

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