パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT

 寝ている間の怪奇現象を究明する為、寝室にハンディカメラを設置して撮影することに・・・・その記録映像として07年に公開されたのが『パラノーマル・アクティビティ』だ。わずか130万円ほどで製作されたこの“超低予算映画”は全米の少数館で公開されるや否や口コミで大きな話題となって広がり、公開5週目にして1位を記録、全世界での興行収入はなんと約180億円を稼ぎ出したのである!因みに、劇場1館当たりの平均興行収入は『タイタニック』に次ぐ歴代2位らしいけど、コレはまぁ・・・・上映館数が圧倒的に少ない中(最初はたった12館のみ)での比較なので条件的に平等とは思えないのだが。イタリアではこの映画の予告編をTVで観た人が恐怖でパニックを起こしTV局に苦情が殺到したという“武勇伝”も付いている程、とにかく怖い!というのがこの映画のウリで、巨匠スピルバーグがリメイク権を獲得したものの「これ以上に怖い映画は作れない」とリメイク化を断念したことで“史上最も怖い映画”とまで云われる程になった近年稀にみる超話題作である。スピルバーグと言えば、この手の超常現象ホラーの金字塔『ポルターガイスト』(82年)で脚本と製作をやっているので『パラノーマル~』に食い付いたのも頷ける。つい先日(2010年10月22日)全米公開され当然のように初登場1位を記録した『パラノーマル・アクティビティ2』は、きっとこの権利の賜物なのだろう。リメイクを断然する代わりの“続編”製作。調べても、スピルバーグの名前を見つけることは出来なかったが、彼と1番縁の深いパラマウントが製作しているので間違いないだろう。
 そして、それとは別の“続編”となるのがこの『パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT』である・・・・って「なんのこっちゃ?」だが、要はアメリカ版と日本版、2つの続編が作られているわけだ。インディ・ホラー映画の続編が、本場ハリウッドとホラー映画のメッカであるここ日本で同時に製作されるなんて、しかもその2バージョンがそれぞれに正真正銘の“正規版”としてリリースされるなんて前代未聞の快挙と云えるだろう。とにもかくにもオリジナル版がそれだけ凄いのだ。正にアイディア勝ち!この“超低予算×斬新なアイディア+無名俳優=荒稼ぎ!”という抜群の費用対効果を生み出す図式は古くは、99年の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』だろうか?(もっと古くは81年のイタリア映画『食人族』もこの類だろうが)そして最近では09年の『THE 4TH KINDフォース・カインド』とか。共通して言えるのは「コレって本当?・・・いや、嘘でしょ?!・・・まぁ、でもホントだったら怖いよね」という現実と作り物との曖昧さにあり、本物と見分けの付かない程進化した映像技術に見慣れてしまった僕らが唯一、映画に対して心底恐怖を感じる部分なのだと思うのだ。大金をかけたリアルな映像より、一般素人が投稿しているYou Tubeなどの不可思議な映像の方がよっぽど怖いように。だからこそこの手の映画には無名俳優というのが必須条件なのである。画面にトム・クルーズとキャメロン・ディアスが出てきた時点で僕らはそれが“作り物”としか思えないわけで。(『フォース~』に関してはミラ・ジョヴォヴィッチが主演しているものの“実際の映像”(と言われるモノ)と平行して編集されているので巧いこと信憑性を持たせているし)それと何と言ってもその“斬新なアイディア”!オリジナルが公開され特大ヒットを記録している時に監督のオーレン・ペリは常に「このアイディアはどこから?!」とあちこちで訊かれていて、それに対し「06年に購入したばかりの家で何かと奇妙な経験をして。そこにカメラを設置してみようと・・・で、もしもそこに何かが映っていたら・・・って想像したらとてつもなく怖くなって」といったようなことを述べていたと思う。ネットで丁寧に探せば今でもこのインタビューは見れるのだろうが、僕は5分程度で見つけられないまま断念したので正確では無いが、粗方間違っていないはずである。
 アメリカの作家レイ・ヴクサヴィッチが01年に発表した「Whisper」という短編を偶然に読んで、ちょっと微妙な気持ちになった。岸本佐知子氏が翻訳した「ささやき」というタイトルである。同姓していたカップルが喧嘩別れをした際、女性が吐いた「あなたのイビキにも我慢出来ないのよ!」という捨てセリフ。男は自分では絶対にイビキなんかしていないはずだと思っていたので、その真相を確かめるべく独り寝る寝室にビデオカメラを設置し・・・・で、そこに“何か”が映っているのである。コレって『パラノーマル~』じゃんねぇ・・・・とすぐに思うが、まぁ、こういうネタは誰でも共通して思い浮かべるのでは?と思い読み進めてみる。が、途中、小麦粉をベッドの周りに巻いてワナ的なものを仕掛けるくだりとか随所に似ている個所があって・・・・まぁでも、コレも大概の人が共通して考えることなのかな?と。僕のうちもちょうど3年前に建てたばかりだが、夜になると柱がギシギシ・ミシミシ鳴ることがある。それを、「木造だから温度差で」と普通の常識で片付けるか?それとも「何か居るぞ?」とウキウキするか?その差はとても大きいと思うのだ。それは人生の楽しみ方が変るほど、というくらいに。『パラノーマル~』に関しても、信じているフリでも良い、茶化さずに観てみるだけど随分と楽しめるはずである。で、この日本版「どうせオリジナルの焼き増しでしょ?」と思っている人は要注意だ。なんせメッチャ怖いから。まず登場人物が同じ日本人ってことで容易に感情移入し易いし、家の作りというか間取りも僕らが慣れ親しんだそれで、更に仏壇とか部屋にあるのだから・・・・アメリカ版“続編”の数倍は怖い!ホラーのメッカと云えばかつてはイタリアだったが、今や間違いなくココ日本だろう。日本が世界に誇るホラー最新作、要チェックである。

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