ウルトラマンゼロ THE MOVIE
超決戦!ベリアル銀河帝国

 「ウルトラマン」が始まる直前の66年(昭和41年)1月~7月に円谷プロが“ウルトラシリーズ”の第一作目として製作した「ウルトラQ」。これが云わずと知れた「ウルトラマン」の前身となるわけだが、このモノクロ作品がまた面白い!(・・・・とは言っても僕が観たのはそのリメイクである『Q dark fantasy』だが)もしも、まだ未見の方は是非とも。「ウルトラマン」でも有名な“カネゴン”などの怪獣も多数登場するが、しかしながら、当時「トワイライトゾーン」や「アウターリミッツ」といったアメリカの大ヒットTVドラマを意識して作られただけあってその中身は完全な大人向け。大人でも夜中に観ると軽いトラウマになってしまう程なので、間違って子どもと一緒に観てしまわないように気を付けて欲しいが。その「ウルトラQ」の続編として、その年の7月からスタートしたのが初代「ウルトラマン」。実に45年の歳月を経て、未だ“最新作”が製作され続け、尚且つそれが話題となり多くの動員を成功させるのだから本当に凄いことである。
 しかし、ウルトラマンについては、やはり彼らの話を抜きにしては語れないだろう。そう、つい先日、何枚目かとなるベストアルバムを出したばかりのニール・テナントとクリス・ロウから成るイギリスのポップデュオ〈PET SHOP BOYS〉。勿論、彼らのことだ。僕は「ウルトラマン」を観るといつも頭の中で「Go West」が流れ、「ウルトラQ」を観ると「West End girls」が流れる。“僕は~”と書いたが、きっと皆さんそうだと思うけど。個人的には、彼らの曲で1番好きなのは「Home and dry」だが、やはりデビュー曲である85年の「West End girls」の研ぎ澄まされた異常なカッコ良さは別格だろう。イントロからヴォーカルの導入部分、そして3廻し目のスピード感からアウトロのマイナーチェンジまで・・・・。このデビュー曲から世界的に大ブレイクはしていたものの、更にそこから殿堂入りとも云える高みに彼らを登らせた「Go West」。ワールドカップのオフィシャルソングになり、それまで彼らのことを知らなかった人たちにも大いに宣伝になったはずである。「西を目指せ!(Go West!)」というのが19世紀アメリカの西部開拓時のスローガンだったことから、その勇気と情熱とを掛けて選曲されたのであろうが、元々は、ゲイであることをカミングアウトした〈ヴィレッジ・ピープル〉がゲイのメッカであるアメリカ西部のサンフランシスコへの憧れを歌った原曲を、同じくカミングアウトしたニール・テナントが心を込めてカバーした“ゲイへの応援歌”なのは周知の通り。それがサッカーの、しかも世界規模での応援歌となった時、ニール・テナントはどんな心境だったのだろうか?
 話は戻って「ウルトラマン」なのだが、先にも書いたように円谷プロが最初に世に放ったのは、とても子どもには観せられない異色の「ウルトラQ」。〈PET SHOP BOYS〉の「West End girls」である。いつまでも色褪せることなく独立した1つの完成形と云える大傑作。その後登場した「ウルトラマン」は子どもたちに圧倒的な支持を受け(元々は漫画原作なのだから当然なのだけど)、より子どもにウケるよう改良に改良を重ねながら“子ども向け”を確立されていくのだが、その間、作り手の思惑と世間の反応との食い違いの大きさに戸惑いながらも試行錯誤を繰り返し、世間に合わせていくのだ(この辺の裏話的なエピソードはWikipediaなどで沢山知ることが出来る)。ニール・テナントは「Go West」の時、世間の反応との食い違いにきっと大いに戸惑ったに違いない。それでも彼らは円谷プロ同様、世間に合わせることを決めたのだろう。未だに「West End girls」の別バージョンのような曲ばかりをリリースし続け、変わることなく不動の人気を誇る〈PET SHOP BOYS〉・・・・正に円谷プロの軌跡そのものではないか!?
 “ウルトラシリーズ”は、「ウルトラマン」の続編として67年に「キャプテンウルトラ」、「ウルトラセブン」と製作され、4年のブランクの後71年に「帰ってきたウルトラマン」、そして僕の生まれた72年の「ウルトラマンA」、その後「タロウ」(73年)と続く。そして74年の「レオ」を最後にシリーズは一旦幕を下ろしてしまうのだ。で、再び80年に僕が唯一リアルタイムで覚えている「80」で復活するのだが、それ以降が続かず、今度こそ、その歴史に幕を閉じることに。が!それから約10年の歳月を経て、90年代に「ウルトラマンUSA」、「G」、「パワード」と云った海外版でウルトラマンは密かに復活し、その後「ティガ」、「ダイナ」、「ガイア」の“平成ウルトラシリーズ”で完全復活を遂げるのだ。それからは言うまでもなく今に至っているわけであるが、実は“平成ウルトラシリーズ”の前の90年代に「ウルトラセブン」だけはず~っと存在し続けていたのである。その間なんと16本もの「セブン」が製作されているのが驚きだ。何故に「セブン」だけだったのだろう?そんな逸話もあってか、シリーズ最新作はその「セブン」の息子「ウルトラマンゼロ」の物語。最近の劇場版は歴代の(中には海外版の)ウルトラマンが多数登場し、正にその世代で育った僕らにしてみれば、時に子ども以上に楽しめたりもして大好きなのだが、ウルトラマンが喋るのだけはどうしても許せないと感じるのは僕だけだろうか?いくら世間に合わせながら進化し続けなければいけないとは言え、やはりその原型というか、基本みたいなのだけは崩さないで続けて欲しい。だって、それは僕らの“夢”であり永遠の憧れなのだから。〈PET SHOP BOYS〉なんて、つい最近のLiveでもダンサーはまるでラジオ体操のような動きをし、世間がサッカーの応援歌だと信じ込んでいる「Go West」の際、巨大なバックモニターに何百人もの白ブリーフだけを着けたムキムキの男のイラストが流れていたというのに・・・・それくらい、ブレずにやり続けて貰いたいと強く願う。

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