SUPER 8 スーパーエイト

 僕がジェダイになってもう3〜4年くらいになるだろうか?我が家ではあの伝説のジェダイ戦士のことを家族みんな“ヨーダ先輩”と呼んでいる。何故“ヨーダ先輩”かと言うと、僕が昔「ヨーダのもとで修行をし彼から青色のライトセーバーを譲り受けた」ということになっているからだ。幼稚園年中組の次男はともかくとして、今年小2になる長男にはどうなのだろうか?嫁から「『とうと(お父さん)はジェダイだ』と友達に自慢するのがイタイから、そろそろ本当のことを言ってあげて」と言われながらもなかなか言えず・・・・そして先日何度目かの『エピソード2』のDVDを一緒に観ながら切り出すタイミングを見計らってたら突然長男が「とうとはこの人からも何か貰った?」と強面のジェダイを指差した。サミュエル・L・ジャクソンだ。「このタイミングだ!本当のことを言おう」と内心思うも僕が思わず口にした言葉はひとこと「・・・・うん」であった。いや、何か子供の期待を裏切りたくなかったって言うか・・・・「え?!この人からも何か貰ったの?!」「当たり前だろ」「何貰った?」「・・・・バッチ?」・・・・自分でも一体何が言いたいのか分からない。暫く間をおいた後、息子は「ダハハハハハハ!!!」と豪快な声をあげて大笑いをしたのだった。「(笑)!・・・・何個?」「2個?」「ダハハハハハハ!!!(笑)」正に取り越し苦労というやつだ。完全に分かっていたのだな、分かっていてオレに付合っていたのだろう。そしてそれを見て大泣きし始める4才の次男。「笑うな!ジェダイのとうとをバカにするな!」と。こんなしょーもないことで心底大笑いする長男と本気泣きする次男、そしてその間で困惑する父親・・・・“いつまでもそのままで泣いたり笑ったり出来るように”・・・・この『スーパーエイト』を観てまず思ったのはそんな我が家のごく個人的なエピソードと、先日観た『奇跡』の主題歌、くるりの歌うこのメロディであった。是枝裕和監督の『奇跡』とは似ても似つかない全くの別物なのだけど。
J・J・エイブラムスの最新作『スーパーエイト』は、1979年アメリカ・オハイオ州を舞台に謎の地球外生物の恐怖が描かれる。“エリア51”と呼ばれる空軍施設から“あるモノ”を輸送中の貨物列車が衝突事故を起こし、その影響で“あるモノ”が逃げ出してしまうのである。こんなにも超ベタな設定の映画が何故に映画史上歴史に残るであろう名作と成り得たのか?SFモノの基本とも云える設定にも関わらず何故僕は先に書いたようなエピソードを思い出すのか?それは、この映画の核となっているのが、8ミリカメラでの自主映画製作に夢中な6人の子供たちの物語だからだ。列車の衝突事故から逃げ出した“謎の生物”・・・・その一部始終を偶然に子供たちが撮影中の8ミリカメラが撮っていて・・・・。僕らの好奇心を促すにはこの前フリだけでもう充分だろう。そして本編には僕らのその期待以上のものが待ち受けている。こんなにもSFモノの王道をいく設定なのに、映画全体の空気というか色自体は公開前から何かと引き合いに出されていた86年の『スタンド・バイ・ミー』正にそれなのである。ジャンルは?・・・・何だろうか?多分、そのうちに何か巧い事いう人が出てきて誰かが新ジャンル名を名付けるのかな。とにかく、こんなに楽しめた映画は実に久しぶりだった。っていうか、もう1回観たい!
「古き良き時代のハリウッド映画」と言えば、世間的には40〜50年くらいの映画を云うのだろう。映画史上1位の名作と名高いオーソン・ウェルズの『市民ケーン』とかチャップリンの映画とか・・・・?しかしながら僕の世代的には個人的に80年代がそれだと思っていて、なんて言うか、この『スーパーエイト』は正にその80年代ド真ん中映画なのである。画面を見ているだけで現実を忘れて幸せな気持ちに浸れるような、もっと言えばどこかほろ苦くも甘酸っぱい気持ちを思い出すと言うか・・・・これこそ正に『スタンド・バイ・ミー』であり『ET』なのだな。監督のJ・J・エイブラムスはTVシリーズ『エイリアス』で一躍有名になったそうだけど、僕はコレは観たことなくて次作『LOST』が初観であった。(で、その1本ですっかり彼の大ファンになってしまったのだけど)その後06年の『M:i:Ⅲ』でトム・クルーズに大抜擢され、08年のプロデュース作『クローバー・フィールド/HAKAISHA』(監督はマット・リーヴス)で映画界的にも大ブレイク。そして09年の『スター・トレック』で確立された今最も新作が期待される監督の1人である。で、製作総指揮にあの大御所スティーヴン・スピルバーグ!やっぱり(笑)!この映画、エイブラムス監督が「スピルバーグにオマージュを捧げている」と公言している通り、77年の『未知との遭遇』や82年の『ET』に『トワイライトゾーン』(83年)、それに86年の『世にも不思議なアメージング・ストーリー』に比較的最近の『宇宙戦争』(05年)などのスピルバーグ作品を随所に感じる1本になっているのだ。っていうか、この2人見た目もめっちゃ似ているし(笑)。それにしても最近のスピルバーグはまた凄い。巨匠クリント・イーストウッド監督の『ヒアアフター』にコーエン兄弟の『トゥルー・グリッド』、それにマイケル・ベイの『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』や『アイアンマン』シリーズのジョン・ファブロー監督最新作『カウボーイ&エイリアン』などの製作から、今年は自身の監督作『タイタンの冒険/ユニコーン号の秘密』まで控えているのだから。スピルバーグとエイブラムス、その名を聞くだけで何だかワクワクさせられる映画人のコラボ作。こんなのなかなか無いだろう。大画面向きなので劇場で観ることを強くお勧めする。

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