ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2

 2001年の『ハリー・ポッターと賢者の石』から、02年の『秘密の部屋』、『アズカバンの囚人』(04年)、『炎のゴブレット』(05年)、『不死鳥の騎士団』(07年)、『謎のプリンス』(08年)を経て、遂に最終章となる7作目である。・・・・7作目?!毎回“PART〜”とかサブタイトルに入っていないから分からなかったけど、こうやって数えてみると実に7作目なのだな。こんなに続くのは『13日の金曜日』シリーズくらいじゃないだろうか?しかも、その勢いを落とす事無く常に最前線での話題を提供しながらってのは前代未聞だろう。で、その最終章は2部作に分けられて、去年『死の秘宝 PART1』が公開されたから、今回の『死の秘宝 PART2』は正確には8作目の作品ということになる(なんだかややこしいが・・・・)。この映画が『ロード・オブ・ザ・リング』(01年〜)シリーズや『ナルニア国物語』(05年〜)シリーズ、更には『パイレーツ・オブ・カリビアン』(03年〜)シリーズや『トワイライト』(08年〜)シリーズ、(他にも、なんかドラゴンが出てくるヤツとか・・・・)とにかく多くの“一大サーガ”ブームを牽引してきたのは間違いなく、ここ10年の映画界の流れや興行収入に関してとてつもない影響を与えてきたのは周知の事実である。もしかすると、今や『ハリー・ポッター』というフランチャイズは映画史に於いて『スター・ウォーズ』のそれと匹敵してしまうのではないだろうか?この、前触れ無しに突如現れた1つの“時代”は、偏に作者J・K・ローリングの歴史でもある。97年にその第一巻が刊行されるまで彼女は全くの無名だったのだから。毎回新作が発刊される度に世界中の書店に長蛇の列ができ一斉を風靡しながら同時に映画化の準備が進むという前代未聞の出来事。それと同時に、この映画化に当たっても実は物凄い歴史を辿っているのだ。第1作、2作目までは『ホーム・アローン』(90年〜)シリーズの大御所クリス・コロンバスが監督し、魔法学校で楽しくも冒険に溢れた“学校生活”を初々しく描く“子供向け超大作”に大成功!そして物語が徐々に混沌としてくる3作目ではなんと『天国の口、終わりの楽園。』という大傑作ロードムービーを撮ったアルフォンソ・キュアロンを起用するのである。なんで?この振り幅なに?と困惑している間もなく次の4作目ではあのマイク・ニューウェル!そう、84年の(ミニシアター系)大傑作『ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー』のあの人である!この2作で“ハリウッド超大作”に反応しない大の映画オタクを捕まえただろうし(笑)、子供向け映画のイメージから大人にも対応できる映画にシフトチェンジを成功させたのだ。そして問題の5作目(『不死鳥の騎士団』)。流れ的に世界中の期待を背負った監督の名は デヴィッド・イェーツ!・・・・誰それ?(英国のTV界では有名な人だったらしいけど)世界中の「誰それ?」を背負った作品は案の定シリーズで1番面白くない作品になってしまい、それは世界中の「誰それ?」から誹謗中傷を伴う酷評へと発展してしまうのだけど、彼は次作『謎のプリンス』から今回の最終章『死の秘宝』2部作までやりきってしまうのだから凄い。J・K・ローリングという全く無名の作者の映画化から始まった歴史的に巨大なフランチャイズは最後までこの“無名な”監督に幕を閉じさせたのである。なんか感動的ではないだろうか。
 両親が死んで親戚のもとでこき使われながら物置部屋に住むハリーに魔法魔術学校の入学許可証が届いたのが11歳の誕生日。魔法学校に入学して、色々と波瀾万丈あって・・・・まぁ、とにかく色々あって・・・・そして、両親を殺したヴォルデモートとの宿命の対決!というのが全8作の粗筋だ。粗筋過ぎで申し訳ないのだけど、正直僕は大体この程度しか覚えていない(笑)。いや、本当に第一作目から全部観てきたのだけど。しかし、この映画の最大にイイところはそこじゃないか?とすら思うワケで・・・・。まるで宮沢賢治の本を読んでいるように「〜します」「〜しました」「そして〜だったのです」と実に文学的に淡々と物語は進むのだけど、やはり宮沢賢治同様に少し油断すると「一体何の話してんだ?」とワケが分からなくなるあの感覚。しっかりした軸のある物語であるにも関わらず途中のイベントが多過ぎてどっからどこに繋がってんのか分かんなくなるんだな。もしくはそのイベントやVFXに集中し過ぎてそもそもの物語が飛んでしまうというか・・・・。で、それこそがこの映画の最大の売りだとも思ったりして。例えばTVとかDVDで改めて観直してみてもまるで初めて観た時のように楽しめてしまうのだから(笑)。
 そして今回はシリーズ初となる全編3Dで公開される。こんなに3D向きな大作なのに初めて?と意外でもあるが、そう言えば前作の『PART1』も3D公開!と大々的に宣伝されながらも公開直前になって「当初、スタジオ側は3Dでの公開を予定していたが、現時点で完璧な3Dにすることが困難。長い年月をかけて結末を楽しみにしてきたファンの皆さんをがっかりさせたくないという思いで、我々も監督のデヴィッド・イェーツも2Dで公開することが最良の方法だと結論付けた」とワーナー・ブラザーズが正式発表し、2D上映に落ち着いたのであった。で、今回こそ満を持しての3D公開!
 このシリーズがコレで終わってしまうのは、まぁ、個人的にはどうでもいいのだけど、しかしながら心配なのがハリー・ポッター役の彼だ。彼をまた“イイ映画”でもっと観たい!と思うからこそ。10年前のハリポタ1作目ではあんなに可愛い丸顔の男の子だったのに、回を重ねるごとに普通に童顔のおっさんになっていき残念だったのはきっと僕だけでは無いだろう。『スター・ウォーズ』シリーズ同様、これだけの成功を収めてキャラを確立させてしまうとなかなかそこからの脱却は難しいのではないだろうか?僕は今でもハリー・ポッター役のメガネ君の名前を知らないくらいなので、彼がハリソン・フォードやナタリー・ポートマン並みにそこから一脱出来ると思えなく・・・・。それに引き換えエマ・ワトソン!彼女は間違いなくこれからが本格的にブレイクする女優だろう(むしろ逆に彼女が何て名前のキャラだったか覚えてないくらいだし)。当初10歳だった少女は回を重ねるごとにセクシーさが格段に増し、コレ以外での映画で観てみたい!と多くのファンが待っているだろうから。既に多くのメディアや媒体で露出度の高い格好でセクシー路線に走っている彼女を見る度「ハリポタから卒業します!どうぞ宜しく!」的なオーラが満載で関心してしまい、いつ見ても相変わらずハリー・ポッターにしか見えない彼と比べて、やはり女性は強くしたたかだな・・・・と思ってしまうのだ。
 しかし、根があまのじゃくで、そして何より“男”である僕はそんな“ハリー・ポッター”にこそ、これからの行方を断然応援してしまうわけで・・・・。あ、まずその前に彼の名前を覚えなければいけないのだけど。

一番上にもどる      ホームヘもどる