リアル・スティール

 僕はどっちかというと・・・・っていうか間違いなく“S”だと思う。むしろ“ド”が付く程かもしれない。そんな僕は〈HEART〉と〈Bangles〉が大好きだ。昔からあまり女性ヴォーカルものは好んでは聴かないのだけど、何故だかこの2バンドだけは例外的に大好きだった。アン&ナンシー姉妹の〈HEART〉に関して言えば、いつだって余裕で“巧過ぎる”リードシンガー・アンの歌より、不安定で危うくはあるけれど全身全霊で歌う妹ナンシーの声の方が好きで(見た目も)、特に『These Dreams』のサビ「These dreams go on~」の後に続く「Every second of the night~」と2廻し目の「Every moment I’m awake~」で声がカスれる部分にピンポイントでグッとくるのだ。

 が、何故だか2番以降のサビではこの高音域を難なく歌いこなしていてカスれ感がないのでいよいよ「1番のサビだけが好き」という限定になるワケで。あと、『The Bangles』は何と言ってもスザンナ・ホフスの声!あの甘ったるい鼻にかかった声は何とも云えない包容感があり泣けてくる。きっと『Bangles』ってバンドは4人姉妹でやっていてスザンナは末っ子なのだろう・・・・あくまでイメージだけど。

 特に『ETERNAL FLAME』。どうにもこの曲を聴いているとスザンナがお姉さん連中から「あんたが歌いなさいよ!」と強要され仕方なくボーカルを取っているような気がしてならないのだ。「このキーじゃ歌えません!Aならもっと巧く歌えるのに・・・・」「バカ言ってんじゃないわよ!キー変えたらこの雰囲気が出なくなるじゃない!」と。それを裏付けるかのように後半、全く同じメロディラインを圧倒的な歌唱力で入ってくるお姉様方のコーラス!しかもその歌詞が「Close your eyes, give me your hands, darling~」なのだから、コレはもう世界中全ての男が完敗なはずであろう。で、何故にこんなにこの2曲に惹かれ続けているのだ?と・・・・ま、わざわざ疑問に思ったこともなかったのだけど、先日何気に気が付いたのだ、“S”心なのだなぁ、ということに。そしてこの2曲が“ドM”なのだろう。

 ところで、近年のロボット事情ってのが本当に凄いことになっているのをご存知だろうか。90年代の中頃から二足歩行をする人型ロボットが登場し始め、国内でもホンダのASIMOを筆頭にソニーやトヨタや川田工業など次々と開発を進めているが、最近では本当に人間そのものといった動きをしていてゾッとするほどである。特に、アメリカのボストン・ダイナミクス社の人型軍事用ロボット“PETMAN”!気持ち悪ぅ~・・・・。“軍事用”ってのがまた怖いのだな。僕はどうにもこの“人型ロボット”ってのが苦手というか怖くてしょうがない。血も涙も無く話し合いが通じないような恐怖。正に『ロボコップ』シリーズに出てくるような敵ロボットのイメージが強いのだ。

 例えガードマン用ロボットだとしても、もしもそれが故障したら?暴走したら?もしも『ターミネーター』の世界観にようにロボット文明が発達した末、永い間、人間の為に仕えていたロボットたちがいつの日か人間を敵だと見なすようになり反乱を起こし始めたら?例えば危険を伴う現場で作業をするとか原発の中で作業をするとかいった用途に応じたロボット開発は別として、何もそれが“人間の形”をしている必要はないと思うのだけど・・・・。

 舞台は2020年。今からほんのちょっと未来の話である。人間の代わりにロボットが格闘をして、それを娯楽とする時代が到来・・・・コレは凄くリアルな設定じゃないだろうか?確かに見てみたいし面白そうだし。この設定(原作)が50年代には書かれていたってのが驚きである。それによって世の中から“不要”になってしまったかつての人気プロボクサーが、母を亡くした息子と一緒に再び表舞台で栄光を手にするまでを描いた人間ドラマ。簡単に言えばそういう映画なのだけど、まるでスタローンの『オーバー・ザ・トップ』(87年)にように親子の絆を育んでいくファミリードラマには不覚にも大いに泣かされてしまうのである。

 しかし本作はやはり徹底したスポ根モノであり、その見せ場は何と言っても“ロボット対決”!最初は弱かった主人公がメキメキ強くなり強敵を倒していくという格闘映画王道のプロットは究極に“S”心を刺激されアドレナリン出まくりなのだ。ホントに“格闘”ってのは“S”も“M”も満足させる貴重な娯楽なのだ、ということを改めて認識させられた程であった。しかもそれが生身の人間ではなくロボットだという点がまた安心して楽しめたりするのだな。コレぞ次世代の格闘技ムービー!必見である。

一番上にもどる      ホームヘもどる