ボーン・レガシー

 僕の夢は“CIA”もしくは“FBI”だ。最近だと“外事警察”でもいい。ま、とにかく「スパイ」っていう肩書きであれば・・・・。ってなことはもう何年も前から、しかも何度も書いてきているのでいい加減この続きは止めとくけど。話は変わって僕は「鹿児島JC=鹿児島青年会議所」に所属しているのだけど、そこでのとある小学生の子供たちを対象とした事業の最中、小学3年生の少年に「君のお父さん、もしかしてJC?」と何気に訊いてみた。JCメンバーの子供さんが事業に参加していることはよくあることで偶然にもその名字に心当たりがあったので・・・・が、その少年は「いいえ違います。スパイでもありません」と即答してきた。「ふ~ん・・・」と聞き流す程の自然さで。JCメンバーの子供でなければ“JC”という言葉を知らなくて当然であり、そもそも彼は「JC」が何だと思ったのか?は別としても、まるで「いいえ、まだ3年生です」と言うが如くごく自然に「スパイ」という単語を操る少年に思わずジェラシーを感じ、若干「カッコいい~・・・・」とさえ思ってしまったのだった。

 僕にとっての“スパイ”の原点はなんといってもやっぱり“ジェイムズ・ボンド”だ。最近のダニエル・クレイグ版ボンドがまた最高に良い!今までのボンドでは断トツ1番だろう。“元祖・ジェイムズ・ボンド”のショーン・コネリーは僕には若干古過ぎて(なにせ1作目の『ドクター・ノオ』は僕が生まれる更に10年も前、62年の作品なのだから!)、子供の頃にテレビの洋画劇場とかで何度も観て憧れたボンドはロジャー・ムーアなのだけど、彼の降板後のティモシー・ダルトンは全く持って問題外だったし、続く(世間的には大人気だった)ピアース・ブロンスナンはなんだかジェイムズ・ボンドの“色男っぷり”ばかりを強調してすっかり貫禄を失い“チャラ男”が『007』シリーズをパロディ化してしまったような感じになってしまったので、もう僕はすっかり興味を無くしてしまっていたのだ(それでも全作必ず劇場で、しかも試写会もしくは初日に観ているのだけど)。そして6代目のボンドとなったダニエル・クレイグ!うわっ!カッコ良い~!!!コレぞジェイムズ・ボンドだろう!で、本年末は『007』の(23作目だっけか?)最新作『スカイフォール』がいよいよ公開!個人的には今年1番楽しみな映画だ。・・・・ま、今回は『007』がテーマでは無いし長くなるのでこれくらいで止めとくが。

 拷問や薬などを使い長時間の洗脳工程を経てその人格を改造し暗殺要員を育成するというCIAの「トレッドストーン計画」で生み出されたデイヴィッド・ウェッブことジェイソン・ボーンという超人が、とある事故で過去の記憶を失い一体自分は何者なのか?と葛藤し、遂にはCIAすらも敵に廻し孤独な戦いを余儀なくされていく・・・・という「ボーン・シリーズ」の最新作。

 ジャンル的には「アクション・スパイ映画」になるのだろうけど、その代表作である『007』なんかよりは『レッド・オクトーバーを追え!』(90年)や『今そこにある危機』(94年)の「ジャック・ライアン」シリーズに近いものを感じるのは僕だけであろうか。しかし、世界30ヵ国以上で翻訳され計2億部を売り上げているうえ、映画化作も大ヒットしているにも関わらず「ジャック~」のトム・クランシーに比べて「ボーン~」のロバート・ラドムスの方はここ日本では随分と知名度が低いように思う。この原作を読んだことのある人っているのだろうか?

 「ボーン」シリーズの一作目『ボーン・アイデンティティ』(02年・ダグ・リーマン監督)は、同日公開で大本命だった『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を抑え2週連続1位といういきなりの大ヒットを記録。当初、ラッセル・クロウ主演だとか、スタローンの新シリーズだとか色々と噂されていたが、結論的にはマット・デイモンが主演をすることになり個人的に彼を好きではなかった僕はとても残念に思ったのを覚えている。結果「ボーン」シリーズが彼の最大のヒット作となった今でも尚なんだかアクション・スターには向いていない気がしてしょうがないのだが・・・・。続く第2作目『ボーン・スプレマシー』(04年)と第3作目『ボーン・アルティメイタム』(07年)はポール・グリーングラスが監督。『ユナイテッド93』(06年)に代表されるような彼のドキュメンタリー・タッチの質感はココでも大いに発揮され、それがとても巧く機能しているように思う。いかにも“ハリウッド・アクション娯楽大作”!っていう映画にシリアスなドラマを織り交ぜ、更にはハンディカムによる手ぶれ映像でドキュメンタリー風にすることでちょっと見慣れないアクション映画を完成させている。

 その4作目となる最新作がこの『ボーン・レガシー』だ。当然の流れの如くこれまでの同スタッフ・キャストで進められてきた制作途中で監督ポール・グリーングラスが降板。それに伴い「彼無しでは考えられない」と主演のマット・デイモンまでもまさか?!の降板を発表して一時暗礁に乗り上げるものの、脚本で参加していたトニー・ギルロイが監督も兼任することで製作が再開。コレは巧い!全くの第三者をここで苦し紛れに投入するのでなく、それまでの全作でしかも「脚本」という大事な部分を担っていた人物が監督をするってのはファンにとってはこの上なく安心だろう。しかも!この映画が本当に凄いのは、正確には“続編”ではなくジェイソン・ボーンすら登場しない、いわゆる「スピンオフ作」だということ。降板したマット・デイモンの代わりに他の誰かが“ボーン”を演じるワケではなく、かといって取って付けたようなよくある「スピンオフ」でもない。これほど正当性のある「番外編」ってのもなかなか無いだろう。

 今回は、ジェイソン・ボーン同様「トレッドストーン作戦」で生み出された最後の生き残り“アーロン・クロス”が登場!そのアーロンを演じるのが『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11年)や『アベンジャーズ』(12年)での記憶も新しいジェレミー・レナーだ。遂に本作でブレイクすること間違い無しだろう。しかも、そのアーロンを追い込んで行くのがエドワート・ノートン!ずっとコンスタントに映画には出演していたのだろうけど、日本のファンにとってはきっと08年の『インクレディブル・ハルク』以来じゃないだろうか?しかもその『インクレディブル~』がアレだったけに、彼の大ファンである僕にとっては『ボーン・レガシー』の1番の見所はエドワート・ノートン!といっても過言ではなかった。「ジェイソン・ボーンは氷山の一角に過ぎなかった」というキャッチも巧い!しかしながら、僕はいつもこのシリーズは家に帰り着く頃には内容を何一つ覚えていないのだな・・・・いや、でも観ている間は現実も忘れる程にすっかり夢中になっているのだけど。ポップコーンとビールを片手に夢中になれる映画。コレもまた映画の醍醐味なのだ、と思う。

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