フランケンウィニー

 まだ太陽が煌々と照りつけるまっ昼間。突如、家の中に大量のゾンビが侵入してきてお母さんと弟、それに妹やお祖母ちゃんまでみんな噛まれてしまう。お父さんだけはなんとかゾンビをやっつけてて自分はその後ろに隠れて逃げていた・・・・小学3年生になる長男に「今までで1番怖かった“悪夢”はどんなだ?」と訊いたらこう答えた。ティム・バートンの『フランケンウィニー』は子供らにとって、いや僕ら大人にとっても正にこんな“悪夢”のような映画だ。

 理科の授業中。死んだカエルに電気を流すと手足が動く、という実験でヴィクターは「コレだ!」と閃く。彼は交通事故で亡くした愛犬スパーキーに会いたくて会いたくて仕方無かったのだ。で、スパーキー復活!折しも少年が通う学校は“サイエンス・コンテスト”に向けて誰もが自身の実験成果で優勝しようと必死。そんな中「ヴィクターが死体を生き返らせる実験に成功した」という噂が学校中に広まり優勝を狙う少年たちは彼の家にこっそり忍び込み、それをパクって“より凄い”のを生き返らせようと競い合う・・・・まぁ、内容的には酷い映画だ。例えば、原作を書いたスティーヴン・キング自身ですら「気味が悪過ぎ!」という理由で完成したにも関わらず長年リリースしなかったという『ペット・セメタリー』のような、っていうかそれと全く同じような物語。そんな不愉快なストーリーに併せて、登場人物(キャラ)が全員不気味過ぎ!“キモカワ”ではない、ただただ“キモイ”。そこにいるだけで不愉快極まりない。エンディングまで「それは違うでしょ!」とツッコミを入れたくなる落とし所。それらが全部、きっとティム・バートン監督には“褒め言葉”となり、彼が意図したものなのだろうけど。分り易く、10~30年代の、例えば『フランケンシュタイン』(1910年)だとか『ノートルダムのせむし男』(1923年)『オペラ座の怪人』(1925年)に『魔人ドラキュラ』(31年)といった往年のホラー映画をリスペクトしています!感満載の、そこは絶対に譲れない“白黒映像”ってのがまた渋いし、にも関わらず最先端の“3D”ってのが一筋縄ではいかなくて斬新。流石はティム・バートン!

 オリジナルは84年、ティム・バートンがディズニーに在籍中に製作された同名の短編だ。実は当初から長編の1本の“映画”としてちゃんと作りたかったそうだけどディズニー社内から「暗過ぎる」と不評だらけで敢え無く短編に。が、妥協を許さないバートンはその“短編”に思いを詰め込んでしまったためか?結果としてそれ(暗過ぎ)が凝縮された1本となり彼はディズニーをクビになってしまうという(笑)。そんな曰く付きの大傑作である『フランケンウィニー』。約30年近い時を経て、きっと彼にとっては“念願の”だったであろう今回の長編化だが、ただ悪戯に薄められて延ばされているのではなく、むしろ更に濃くなり不愉快度が増しているってのがまた凄い。正に「パワーアップ!」といった具合に。で、やっぱり今回もディズニーからリリースされてるのがワケ分からないけどなんか面白いのだな(笑)。

 言わずと知れた故スティーヴ・ジョブズが自ら創業した(はずの)アップルから解雇された後『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスからその特殊効果部門だけを買取り設立した“ピクサー”を、06年に約9000億円(!)で買収したディズニーは、そのわずか3年後には更に約3700億円を投じ“マーベル・エンターテインメント”を買収。『スパイダーマン』に『トランスフォーマー』、それに『アイアンマン』に『ハルク』『マイティ・ソー』(結果として『アベンジャーズ』まで!)といった超1級のハリウッド大作を手に入れることに成功したワケなのだが、勢い止まらないディズニーが遂に『スター・ウォーズ』の“ルーカス・フィルム”までも約3200億円で買収したことは記憶に新しい。これによって“ハリウッド最先端技術”を誇っていたルーカス・フィルム子会社である特殊効果事業部の“ILM”と音響スタジオ“スカイウォーカー・サウンド”も必然的にディズニーの傘下に入ったってことなのだなぁ。

 “ピクサー”と“マーベル”はまぁ分からないでもないとして『スター・ウォーズ』だけは別格というか、なんか違う気がしてしょうがないのは僕だけだろうか?『スター・ウォーズ』の権利をディズニーが受け継いだことで往年のSWファンにとって1番の不安材料となるのは15年からスタートする新シリーズだろう。まさか、ディズニーらしく“みんな幸せ!”的なハッピーエンドで終わるのではないか?異星人たちがみんな可愛らしくなっているのではないか?(笑)そもそも『SW』とは~というウンチクを語るまでもなく、マニアの間では1番ダークでアンハッピーエンドな『帝国の逆襲』こそがシリーズ最高傑作とされているのに!しかし、どうやらコレは要らぬ心配のようだ。先にも書いたようにティム・バートンの最新作『フランケンウィニー』は他でもない、“ウォルト・ディズニー・カンパニー”からリリースされているのだから。

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