アウトロー

 あ、コレは絶対映画化されるだろうな・・・・っていうか、是非とも映画されて欲しい!って思っていた本が実際に映画化された時、「やったー!嬉しい~!」とただ自己満足で終わればいいものを、僕はいつだって「前に何かの回(映画コラム)で書いたことがあっただろうか?」と嫌らしくもまず思ってしまう。もしも何かで書いていれば「あぁ、あいつが前に書いてたな、すげー、預言者かよ!」と思って貰えるではないか、と。それはいつだって今更言っても何の説得力もないものだから尚更「あぁ~、あの時迷わず書いとけば良かった・・・・」と後悔の念が残るんだなぁ。そう考えると“ジャック・リーチャー”の映画化は随分と遅かったように思う。

 仕事も家族も友人も、住所さえも持たない(更には今どき携帯電話さえ持っていない)放浪者である凄腕・元軍人“ジャック・リーチャー”を主人公にした物語はこれまで既に17作も発刊され数々の賞を受賞している大ヒットシリーズだ。で、その初映画化となる『アウトロー』はシリーズ9作目「One Shot」(05年)が原作。何故に97年の1作目「キリング・フロアー」から順番通りじゃないのだろう?というベタな思いは、「キリング~」がやたらめったら面白かっただけに尚更疑問が募る。それにリー・チャイルドのデビュー作でもある「キリング~」こそがアンソニー賞最優秀処女長編賞他いくつかの名立たる賞を受賞し(ココ日本でも2000年の冒険小説協会大賞・海外部門で受賞している)作者とジャック・リーチャーの名を一躍有名にした原点ではないか。しかもリーはそれ以降ずっとジャック・リーチャーの物語しか書いていないし・・・・そうれはそうと、いかにもアメリカンな作風にも関わらず意外にも作者リー・チャイルドはイギリス人なのだな。

 1作目「キリング・フロアー」で語られるように「私は法に縛られてはいなかったし、何かを禁じられているわけでもなかった。ミランダ通告のことも、逮捕するのに相当な理由も、憲法で保障されている権利についても考える必要はないし、上司に何かを頼み込む必要もない(中略)それに、他にやることがあるわけでもなかった」という根っからの“アウトロー”であるジャックが、法や常識だけで裁くことが出来ないような事件に巻き込まれ「ならばオレがやっつけてやろう」という。まるで西部劇のような実に古臭い設定なのだけど何故だかコレが斬新な物語に感じるから不思議。原作の方もまたメチャクチャ面白いので興味のある方には是非ともオススメだ。まるで自分自身がジャック・リーチャーとなって数々の難事件や猟奇殺人の謎を解いていくような、物語への“ハマり度”は凄い。で、そのジャックがスーパーマン級に腕っ節が強いのだから頼もしい!気持ちいい!「こいつはやべー・・・・関わりたくな~い!」なんて思うような超極悪どもを軽く2人ほど殺してしまった後「後悔の念は無い。仕掛けてきたのはヤツらの方なのだ。私を襲うなんて、封印されたドアを開けるようなものだ。大変なことが待ち受けている。危険が待ち受けている。それが嫌ならドアを開けるべきではなかった」と言い放つ。すっかりジャックと同化した僕は「うわっ、カッコいい~・・・・強ぇ~・・・・オレ」となるワケで。更にはお決まりのセクシー美女!すっごいイイ女はジャック(オレ)が必ず落とすのだ。イアン・フレミングの『007』をもっとワイルドな現代版にアップデイトしたようなコッテコテのハードボイルド作。こういうの、ありそうでなかなか無いのだよなぁ~。

 6発の銃弾で5人が命を奪われた、真昼の郊外で起こった無差別殺人事件。事件発生後わずか1時間足らずであっけなく容疑者は拘束される。証拠も裏付けもすっかり確認され「もう、こいつしかいないじゃ~ん」と思われる(元軍人で腕利きのスナイパーであった)容疑者ジェイムスが要求したのはたった一言・・・・「ジャック・リーチャーを呼んでくれ」・・・・出た!ジャック・リーチャー!かっこいいぃ~!そうだそうだ、あいつを呼べば大丈夫。もう安心だ。しかし、それにしてもどうやってジャック・リーチャーを探す?となっているところにリーチャーの方から現れて・・・・それからは「おりゃあ~」となって「マジ?!」となってブゥンブゥ~ン!となってバキューン!となるワケだけど、何故にジェイムスは「リーチャーを呼んでくれ」と言ったのか?何故に呼ばれる前にリーチャーの方から現れたのか?が明らかになる感動のラストの1文(ワンシーン)までとことん楽しめる2時間強。

 リー・チャイルドは4作目の「Running Blind」発刊直後の2000年にはシリーズの映画化権を『レインマン』や『グッドモーニング・ベトナム』などを制作したマーク・ジョンソンに売っているのだけど、その際に「ジャック・リーチャーを演じるなら誰が希望?」と訊かれて「ブルース・ウィリスをもっと長身にして更に体格を良くし、顔はウィリアム・ハートです」と答えているのが面白い。で、その“ジャック・リーチャー”のキャスティングが難航してなかなか映画化に至らなかったと噂されているが、とうとうトム・クルーズで決定。作者本人も彼には納得なのだそうだ。僕の中(イメージ)でのジャック・リーチャーは原作通り、6フィート5インチ(195センチ)210ポンド(95キロ)の大男だっただけに、小柄のトム・クルーズにけっこう違和感を感じてしまったのだけど。

 まだ公式発表こそされてはいないものの、今後間違いなく作られるであろう続編が早くも楽しみだ。なにせ大傑作な原作があと16作も控えているのだから!・・・・ははぁ~、もしかして、トム・クルーズが3~4本やった後、今度はヘンリー・カヴィルあたりがジャック・リーチャーを演じて第1作目「キリング・フロアー」をビギンズものとして映画化する魂胆か?!・・・・うわぁ~、おもしろそぉ~!

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