L.A.ギャングストーリー

 正に「映画黄金時代」とも云われた1951年(昭和26年)4月末~5月頭に、日本映画界を松竹と二分していた大映の『自由学校』が大映創業以来最高の売上を記録。正月映画とお盆映画(夏休み映画)ってのが1番の“稼ぎ時”だったそれまでの歴史を覆して盛り上がったものだから、大映がこの時期の連休を映画の宣伝用語として「ゴールデン・ウィーク」と命名。以降、一般にもそのネーミングが普及し「5月の連休には映画を観に行こう!」的に国レベルで定着するのだけど、果たして今はどうなのでしょう?GWに映画を観に行った人~?!・・・・今年も『スーパーヒーロー大戦Z』をはじめ、子供向けばかりが増え「これぞGW映画!」っていうような映画があまり無かったような気がする。ま、「これぞ~!」ってのは人それぞれ好みの問題もあるので一概には言えないのだけど。因みに僕にとって「これぞ~!」って感じの映画は『アイアンマン3』くらいだったかな。それにしても、GWに続いて大映が文化の日を中心とした11月の連休を「シルバー・ウィーク」と名付け映画週間にしようとしたのはいくらなんでも調子に乗り過ぎってものだろう。

 今年のGW映画で目玉の1つであった『L.A.ギャングストーリー』。一時期はあのアル・カポネの弟マッティー・カポネと組んでシカゴでギャンブルの胴元をした後、カリフォルニア州に移りロサンゼルスを支配した、伝説とも云われる悪名高いギャングの大物ミッキー・コーエン。そして彼の組織に無謀にもたった6人で戦いを挑む警察官・・・・簡単に言えばこの『L.A.ギャングストーリー』はそんな物語だ。ストーリーや予告編だけでは実に骨太で男臭い映画だと思うだろう・・・・いや確かにそうなのだけど、なんて言うか「それだけでは無い」ってのがこの映画の最大の魅力だと思うのだ。

 麻薬に銃に売春・・・あらゆる犯罪が横行し警察や政治家までも“金”で動く、ギャングにとって正に自由な“楽園”であったロスを舞台に、短期間で一気に街を支配した超大物ギャング。それに立ち向かおうにも何処(内部の誰が?)にギャングの仲間がいるかすら分からず疑心暗鬼になる警察組織。むしろ、出世している警察や政治家はギャングの息が掛かっていると思ってまず間違いないっていう時代に、そこに立ち向かおうというのだからなかなか一筋縄ではいかないのは当然で・・・・。そんな中「街をギャングの手には渡さない!」と正真正銘の“警察本部長”が正義(もしも自分が潰されれば次はギャングの息の掛かったヤツが自分の後釜に就くってのを防ぎたい!)を賭けて大物ギャングを倒しに!任命されたのは、大活躍した実力ある退役軍人であるにも関わらず全然出世せず貧乏生活を送っている(間違いなくギャングの息の掛かっていない)根っからの真面目男ジョン巡査部長(ジョシュ・ブローリン)。しかしそれはあくまで極秘任務であり公には一切公表されることなく遂行されるってのがキモだ。警察組織の後ろ盾もなく「失敗したら殺される、成功しても自分の名前は一切公には明かされない」どころか、身分を明かされないよう任務の前にまず警察バッジを外して行くという・・・・その仲間たちを集めに行く序盤の『荒野の七人』(っていうか、元ネタである黒澤明の『七人の侍』)な流れからしてもう最高に面白い!ちょっと“まとも”ではない個性的過ぎる6人のメンバーはいつだって無計画でメチャクチャだし、標的であるミッキーを逮捕しても(例え殺したとしても)すぐに次の後釜が現れるだろうからと、とにかくギャングの息の掛かった店や場所を手当たり次第に襲撃し、資本である“現金”を(奪うのではなく)焼いていく!もうどっちがギャングなのか分からなくなっていくような終盤まで最高に楽しめる映画だ。先述したように、これだけエンターテインメント性に富んだ映画をただただ骨太な男臭い映画だとするには物凄く勿体無いと思うのだ。こんなにバカバカしくて実に“映画向け”な話なのに“実話”だというのだから尚更・・・・

 僕はこういう「ギャング映画」ってのが大好きなのだけど、Wikipediaで「ギャング映画」ってのを調べてみると「1920~30年代にかけて暗躍したアメリカのギャングの抗争を描いた犯罪映画のこと」とあった。へぇ~・・・・そうなんだ、例えば何だろう?・・・・全く思い出さない。個人的なことを言わせて貰えば僕は30年~50年代を舞台にしたモノが好きだ。フランシス・F・コッポラ監督×マーロン・ブランド&アル・パチーノの『ゴッドファーザー』(72年~)を筆頭に、セルジオ・レオーネ監督×ロバート・デ・ニーロ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84年)、それにブライアン・デ・パルマ監督×アンディ・ガルシア&ケヴィン・コスナーの『アンタッチャブル』(87年)にカーティス・ハンソン監督×ラッセル・クロウ&ケヴィン・スペイシー&ガイ・ピアースの『L.A.コンフィデンシャル』(97年)とか・・・・。コレ系に直結した映画ってのは実に久しぶりじゃないだろうか?(『ディパーテッド』(06年)?『アメリカン・ギャングスター』(07年)?・・・・いやいやそれは全然違う気がする)この『L.A.ギャングストーリー』はそんなギャング映画の傑作を盛り沢山にしたような・・・ストレートに言うならばそれら名シーンの「パクりオンパレード」のような、そんな映画である。最高じゃないか!しかも!もっと言えば(個人的にはギャング映画の最高傑作だと思っている)ブライアン・デ・パルマ監督×アル・パチーノの『スカーフェイス』(83年)に、シドニー・ルメット監督×アル・パチーノの『狼たちの午後』(75年)やらマイケル・チミノ監督×ミッキー・ローク(の最高傑作!)&ジョン・ローン『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(85年)!それににマイケル・マン監督×ロバート・デ・ニーロ&アル・パチーノ(奇跡の共演!)の『ヒート』(95年)、マーティン・スコセッシ監督×レイ・リオッタ&ロバート・デ・ニーロの『グッドフェローズ』(90年)、ブライアン・デ・パルマ監督×アル・パチーノ&ショーン・ペンの『カリートの道』(93年)やら・・・・とにかく傑作ギャング映画のパクりオンパレード!更にはスタローンの『コップランド』(97年)やらリチャード・ドナー監督&メル・ギブソンの『リーサル・ウェポン』(87年)まで登場!という・・・・僕が気付いただけでもこんな感じなので映画通の方はきっとまだまだ沢山気付くのではないだろうか?よくもまぁ、これだけの名作を盛り込めたものだなと感心するくらいだ。

 「傑作ギャングスタ・ムービー」には“大御所監督”と“ハリウッドスター”ってのが必須だ。実話を原作にコレだけのエンターテインメント作に昇華させた大傑作ならば尚更。なのでこの『L.A.ギャングストーリー』には『メン・イン・ブラック3』(12年)のジョシュ・ブローリンを筆頭に、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、マイケル・ペーニャ、それにジョヴァンニ・リビシ、アンソニー・マッキーにニック・ノルティまで!超豪華キャストに加え、悪のボス・ミッキー・コーエンにショーン・ペンを配置しているのがもう決定打!って感じである。実話がベースとは言えこれだけの娯楽作に仕上げているのにも関わらず映画全体がとても重たく感じるのは絶対的に「悪のボス」=「ショーン・ペン」だからであることには間違いない。この存在感・怖さは何なのだろう?他がいくらコメディ・タッチでいこうが、ショーン・ペンが出てきた瞬間ピーンと張り詰める空気・・・・マジ怖いんですけど。そう言えば、ショーン・ペンの1番の大傑作である『ロンリー・ブラッド』(85年)のパクりシーンもあったなぁ・・・・で、監督はルーベン・フライシャー!って誰?!ゾンビ映画史上最高の興行成績を残している『ゾンビランド』(09年)のあの人だそうだ。ま、その記録もこの夏ブラピの『ワールド・ウォーZ』に抜かれるのだろうけど、それにしても「次作が楽しみな監督」の仲間入りを果たしたのは間違いない。

 話は変わって、なんと!先日とうとう『トレイン・スポッティング』(96年)の続編制作が正式に発表されてしまった。勿論、ダニー・ボイル監督にユアン・マクレガー、ロバート・カーライル、ジョニー・リー・ミラー、それにケリー・マクドナルドにケヴィン・マクキッドといった前スタッフ・キャストを全員集めて・・・ということらしい!その意図したものは全く分からないのだけど「コレぞギャングスタ・ムービーの最高峰!」な1本だと永年思って疑わない僕としてはもう誰が何と言おうと無条件に楽しみだ!早く観たい~!

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