サイレントヒル リベレーション3D

  ま、タイミング的には今回は『風立ちぬ』を書くべきだろう。なんてったって社会現象まで起こした『崖の上のポニョ』から実に5年ぶりの宮崎駿監督の最新作が公開されるのだから。そんなことは充分に分かっているのだけど、こんなタイミングだからこそ「私はむしろ逆で・・・・」と、“ワールドダウンタウン”のナタリアみたく言ってみたい。「夏といえば“ホラー”!暑さが吹き飛ぶくらい寒気のするような。それが一番だと思うの」と。“夏”のキーワードと言えば、やっぱ“怖っ!”だろう。僕が子供の頃の夏休みは毎日のようにテレビでは「心霊特集」みたいな特番があり、洋画劇場では『13日の金曜日』を飽きるほどやっていたものだけど、最近はどうなのだ?この夏ジェイソンを見たか?心霊写真は?・・・・こんなクソ暑い時に『風立ちぬ』を観て更に温かくなってどうするのだ?だから温暖化が進むのだ。我が家では「夏と言えば“ゾンビ”」。ジョージだったらきっと「欧米が今一番“ゾンビ”だと思っているのが坂元家なんだけど・・・・」というくらいにゾンビだ。毎晩、寝る前には「ゾンビU」。確かR指定のゲームだったと思うので、それをしながらの家族団欒の模様は書けないけれど、とにかく毎夜のようにゾンビ祭り。皆さん知っているだろうか?「ゾンビU」を。いやコレは凄い!まず“死んだらコンティニュー”ってのが通じない時点でヤバい。死んだらそれで終わり。どれだけアイテムを集めても、殺られたらそれで終わり。また新たなキャラで1から始めるのだけど、さっきまで集めたアイテム類を回収するには・・・・そう、ゾンビになってしまったさっきまでの“自分”を見つけて殺っつければ良い!そしてそのリュックを奪えば一気に“最強”の自分になれるのだ!たった一回のミスで全てが終わる緊張感、それに加え、今までプレイしていた自分をやっつけなければいけないシュールさ・・・・に、大いに盛り上っている我が家。それでも、そんな「坂元家」でも、この『サイレントヒル リベレーション』は度を超えてヤバいと思い、流石に子供たちは連れて行けなかったほどだった。

 『サイレントヒル リベレーション』はPG12指定ってことで「12歳以下は成人保護者の同伴・指導が必要」、つまり親と一緒ならば連れて行ってもいいのだけど、そもそも12歳以下の子供に見せるべきではないと思う。怖すぎ!気味悪すぎ!正に「悪夢」! 究極の悪夢をそのまま映像化したような・・・・大人でも相当にくるので子供ならば生涯の“トラウマ”になることはまず間違いないだろう。「初期の『エルム街の悪夢』もこんな感じの良質ホラーだったのにな」と、ふと思い出したが、それにしてもココまではなかった。そう、でもホント、初期の『エルム街~』を思い出させる・・・・というか『エルム街~』以来、とも言える圧倒的な“悪夢感”はハンパない。最近のハリウッドでは、往年のホラー映画の金字塔『死霊のはらわた』や『悪魔のいけにえ』なんかもリメイクされたり正式な続編が作られたりしているけど、それらと比べてもこの『サイレントヒル~』は、怖さ・ストーリー共に頭ひとつ抜きん出ていると思う。まず、登場するキャラの“不気味さ”が尋常じゃない!特に、音に反応する看護婦(「バブルヘッドナース」という名前が付いているらしいが)こいつはヒドい!置物のようにピタリと(しかも変なポーズで)止まっているのだけど物音に反応して突然動き出し、音のする方へ注射器やナイフや振り回しながら向かってくる!ヤバい!こいつはヤバい!またこいつらがやたらとスタイルが良くてセクシーなもんだから尚更不気味さが増して・・・・と、そこで、コレってどっかで見たぞ?と思ったら、そうか06年の『サイレントヒル』の続編なのか。そう言えばキャストも同じだ!

 前作の『サイレント~』も個人的にはかなり気に入っていたのを改めて思い出したのだけど、それを忘れているほどのこの“ノーマーク感”は何なのだろう?・・・・と突き詰めたら、そうか、ゲームが元ネタだからなのか。コナミからリリースされているこのホラーゲームは全世界で累計・・・・何百万本なのか?は知らないけれど、とにかく映画化されるくらいにバカ売れした大ヒットシリーズなのだそう。ネットで調べてみたけど、ハードの移植版だとか番外編だとか何か色々出ていて結局よく分からなかったが、とにかく既に10本くらいのソフトが出ているようだ。06年の『サイレント~』がゲーム版の第一作目、そしてこの『リベレーション』が第三作目を元に映画化されているらしい。ま、既にあと7~8本分はネタがあるということなのだろうけど、ホラーゲームの映画化と言えば、もう『バイオハザード』シリーズしか思い付かなくて、だからこそこの『サイレント~』は物凄く損しているとも思うのだ。「なんだ、アレ(バイオ~)の二番煎じか」と。いやいや、コレは相当に独立して凄いホラー映画だぞ。「ゲームの映画化」という足枷を外せばもっともっとホラー映画史に残るような金字塔になり得るのに!“ホラー映画”によくある殺人鬼とかゾンビとかウィルスとかではなく、人間の心理的なものを描いた“宗教”や“集団”がテーマというのも本作の異端的な要素だ(宗教がテーマ?それはちょっと苦手・・・・と思ったあなた、僕も全く同感です)とにかく一番怖いのは“人”。何だかんだ言って、人間の“思い”ってのが一番怖いんですよ。その“思い”がとんでもないモンスターを生み出すのですよ、という。そして、この映像美!現実世界の灰(雪?)の「白」に対し、ダークサイドの「黒」のコントラストが物凄く美しい。コレはもう究極の「ホラー美」!ラスト、エンドロール直前の映像が象徴するように、ココまでくればもう完全に“アート”だと思うほど。

 「エイリアン」以来、久しぶりに「バブルヘッドナース」のフィギュアが欲しいと思っているのだけど、ネットを見ながら9,800円はちょっと高いよなぁ・・・・と迷っているトコに「お願いだからそれだけは絶対に止めて」と嫁に言われ、迷う必要すら無いという結論に。嫁に「お願いだから」とまで言われたのは初めてのような気がする。

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