パシフィック・リム

 「超時空要塞マクロス」がハリウッドで実写映画化される!しかも主演にトビー・マグワイア!という、なんとも心躍るニュースを聞いたのはもうかれこれ5~6年前になるだろうか?正確には「マクロス」と「超時空騎団サザンクロス」それに「機甲創世記モスピーダ」の3シリーズを海外向けに独自再編成した「Robotech(ロボテック)」っていうアニメの映画化なのだそうだけど、僕は「サザンクロス」とか「モスピーダ」?とかは知らないので、もう「マクロス」のハリウッド版という認識しかなかったワケで。しかしいつの間にか全く新情報を聞かなくなり忘れかけているところにリドリー・スコットの『プロメテウス』が公開。流石にその時は「あぁ、『マクロス』はもう無しってことか・・・・」と諦めたほどだった。だって“巨人”が出てくる設定とか、その描き方とか、全く持って名作『マクロス 愛・おぼえていますか』と一緒だったので「設定だけパクられて終わりなのね」と。・・・・が!遂に“ニック・マチュー”が監督する、というニュースが!・・・・っていうか誰それ!?って感じではあるけれど、とにかく監督が発表されたってことは企画がまだ動いているということには間違いない。

 太平洋の海底から突如現れた巨大生命体“カイジュウ”。その圧倒的な破壊力に為す術もなく世界中の主要都市は壊滅寸前となり人類は滅亡の危機に陥る。そこで世界中が一丸となって結成された国際的軍事組織「環太平洋防衛軍」が対“カイジュウ”用に巨大ロボット“イェーガー”を開発。コレが功を成しカイジュウは次々と倒されイェーガーとその乗組員はロックスター並の扱いを受けることに!が、その“カイジュウ”は倒される度に何かを学んでいくようにどんどん進化して(強くなって)いき・・・・とうとうイェーガーでも歯が立たなくなったカイジュウに対し「イェーガー計画」は中止となり、代わりに「命の壁」という巨大な壁(「進撃の巨人」のアレ)で街を囲む計画に変更される。なのだけど、遂にはその「命の壁」までも更に巨大化したカイジュウに突破され・・・・そして環太平洋防衛軍は、わずかに残った数体のイェーガーとそれを操縦する最高に優秀な操縦者を世界中から集めて人類の存続を賭けた最後の計画を遂行することに!・・・・何から何まで何処かで聞いた話だろう?・・・・そう、まんま日本の“怪獣モノ”と”ロボットアニメ”を描いた物語だ。しかも巨大生物は“カイジュウ”って名前だし巨大ロボにはなんか漢字が書いてあるし、ヒロインは菊地凛子だし、それはもう疑いようのないくらいなのだけど、何故だか監督のギレルモ・デル・トロは「そういった日本の怪獣モノやロボットものにオマージュを捧げたものではない」と頑なに拒否ってるのが意味不明(加えてサブ舞台となるアジアが日本ではなく香港ってのも何故?と思ったけど、ま、コレは“カイジュウ”すらも売り物にするっていう設定を思えば妙に納得)。それにしてもヒロインの菊地凛子がイイ!実は今まではあまり好きではない女優さんだったのだけど、そんな僕でも初めて「素敵な人だな・・・・」と、「彼女は日本を代表する女優だ!」と、強く思ったほど。更に、僕が個人的に“キモ”だと思ったのが“カイジュウ”対“イェーガー(人類)”の戦いが既に数年に渡る長期戦に入っているという物語設定。コレも「ガンダム」を筆頭にロボットアニメの定番設定ではないだろうか?で、意外とハリウッドものとしてはそう多くはない設定だとも思う。先述したように、監督はギレルモ・デル・トロで、一般的には『パンズ・ラビリンス』(06年)の~と紹介されているけど、むしろ『パンズ~』がどれほどの知名度なのだ?と訊いてみたい。でも、映画ファンには『ミミック』(97年)とか『デビルズ・バックボーン』(01年)それに『ブレイド2』(02年)や『ヘルボーイ1&2』(04年・08年)など、どっか収益を度外視したような“オタク”映画を撮る監督として結構人気があるのではないだろうか?

 出来ればこんな映画は「邦画」として観たかった・・・・そう思うのは絶対に僕だけではないだろう。怪獣&巨大ロボってのは日本の文化じゃないか!日本の特撮技術では不可能?・・・・そんな事はないと思うのだけどな。初めて「僕らが“観たい!”と思っていた巨大ロボ同士の戦いが遂に実写化された!!!」と興奮したのは07年の『トランスフォーマー』だったのだけど、ロボットアニメで育ってきた僕らにとって1つだけ満足出来ず且つ致命的だったのがやっぱあのロボットの設定だったワケで・・・・巨大ロボが「知的生命体」って何?っていう。サイズ的に小さい“人間”がそれに乗り込んで操縦するってのが“巨大ロボ”の醍醐味じゃないだろうか?今回の『パシフィック~』でようやくそれも実現した!と喜びたかったのだけど・・・・いや、コレでもないんです、惜しいんですが・・・・と、やっぱり僕は難癖付けてしまいます。ホントすみません。コレはどっちかというと、最近のヒーロー戦隊モノの巨大ロボの操縦の仕方というか・・・・ましてや「神経をシンクロする」とか、右脳と左脳を担当するために2人1組みで操縦するとか・・・・こんなこと言われると『エヴァンゲリオン』の領域まで片足突っ込んでしまうんじゃないか、と。もっとこう、普通に飛行機とか工事車両的なものを操縦してる感じが良かったんですけど・・・・。と、最初は思ったのだけど、なるほど!コレは凄い!この操縦方法にすることでグッと物語に深みが生まれるのだな。一気に「人間ドラマ」としても持っていけるような。

 とにかく楽しかったし面白かったんで大満足な1本。2時間強にも及ぶ長尺のその8~9割に出し惜しみなく巨大ロボと怪獣が出てくる映画なんてコレまであっただろうか?一緒に行った小1と小4の息子たちも長時間トイレも我慢するほど大満足で、大人にとっては「なんかもうメチャクチャだなぁ~・・・・」って感じなくらい(笑)男女のドラマ、男同士、更には親子の物語まで盛り込んだ設定に加え、「昼ドラかよ!」と突っ込みたくなるいちいちワザとらしいくらいに大げさな演出!そして「おいおい、ビルに向けて怪獣を投げ飛ばしたら被害が拡大するだろ!」「っていうか、お前が街中を歩き廻るだけで大損害なんだよ!」といった、まるで日本サブカルの「基本」をなぞったようなベッタベタな1本。クドいけど、コレが国産じゃないことが残念でならない・・・・。一般的にこの手の映画は「子供向け」とか括られがちだけど、僕はこういう“rock”な映画が大好きだ。例えばブルーハーツのマーシーが「冗談みたいな世の中だからさ、やりたいようにやらせてもらうさ、やりたい放題やらせてもらうさ」と歌いそうな、正にそんな映画。莫大なお金を使って大の大人たちがこんなにやりたい放題作るなんて、最高にrockじゃないか!

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