リベンジ・マッチ

 40歳前後(もしくはそれ以上)の往年の映画ファンが「シルベスター・スタローンとロバート・デ・ニーロのボクシング映画!」と聞けば「うぉ~!絶対!!絶対にぃ~!!!」と意味不明な言葉を発しながら狂喜するか「いやいやいや・・・・」と失笑するか、どっちかだろう、と思う。なにせ“ボクシング映画”の金字塔である『ロッキー』(76年)と『レイジング・ブル』(80年)の対決、正に“レジェンド対決”なのだから。そりゃあもう、泣くか「バカバカしい・・・・」と笑うかどっちかしかない。

 かつて、互いに「無敗」を誇った宿敵のライバルである“レイザー”(スタローン)と“キッド”(デ・ニーロ)は、2戦を戦い、一勝一敗の引き分け・・・・で、今度こそ決着を付けようぜ!という3戦目の直前に“レイザー”は突然の引退表明をし、その決着はつかぬまま30年の年月が経つ。“レイザー”は引退後すぐに無一文になりプロボクサーになる前に働いていた造船所に戻り、片や“キッド”は自動車屋やレストラン・バー等を経営し大成功。(労働者として真面目に働く寡黙な男“レイザー=スタローン”に対し、羽振りが良く女たらしのチャラい“キッド=デ・ニーロ”が最高に良い!分かり易い!笑)各々の葛藤を30年も引きづったまま今を生きる2人に、ある日、いかにもインチキ臭いプロモーターが「決戦」を持ちかけ・・・・という物語。最初は「あの人は今?」みたいな眉唾ものの企画だと誰もが思っていたのだけど、段々と周りを巻き込み世間の注目を浴びることになっていく過程がまた面白く、“レイザー”が引退した理由も明らかになっていくにつれ、人間関係も浮き彫りになってきて物語にも深さが増してくる展開は正にハリウッド黄金期の80年代映画のようで気持ちが良い。(ま、人間関係についてはちょっと・・・・というか、かなり強引な設定な気もするけど、それもまた80年代テイストで良し!笑)

 とは言っても、この映画に『ロッキー』や『レイジング・ブル』のような“熱量”を求めてはいけない。なにしろ、シルベスター・スタローン(67歳)と、ロバート・デ・ニーロ(70歳)の戦いなのだから。本作はかなりレベルの高い“コメディ映画”ではあるけれど、もしも“スタローン=ロッキー・バルボア”の相手がロバート・デ・ニーロでなかったら、この映画は途端に『ロッキー』のパロディでしかなかっただろう、と思う。それこそ名作『ロッキー』ですらコメディに変えてしまいかねない大きな危険を伴うような・・・・。コレは偏に、ロバート・デ・ニーロの存在感は勿論のこと、“ロッキー”という架空のボクシング・ヒーローと、デ・ニーロが『レイジング・ブル』で演じた“ジェイク・ラモッタ”という実在の人物との戦いってのがどこか混沌として、また新たな物語として往年の映画ファンにも受け入れられたのではないだろうか。それにしても、本作の笑いどころはかなり面白い!(特に、試合前の記者会見でプロモーターに対し取材陣から「この試合は老人虐待にはならないんですか?」と質問が浴びせられた時の2人の表情がなんとも哀愁が漂って最高だった!笑)それと、スタローン映画とデ・ニーロ映画の“パロディ”がふんだんに盛り込まれているので往年のファンにはたまらないだろう。バカでかいトレーラーをバックにするスタローンのシーンや、冷凍庫の巨大な“肉”にパンチしようとするスタローンにミッキー似のトレーナーが「それは叩くものじゃない!食べ物なんだから、そんなの叩いたら衛生上よくないだろ?」と怒るシーンなんか「えぇ?!そんな名シーンまでパロっちゃう?!」と驚くほど(笑)。で、この幻の決戦を実現させたプロモーターのダンテが、調子に乗って「まさか?!」の2人にリベンジマッチの話を持ちかけるエンドクレジット中の映像がまた衝撃的で・・・・(笑)!

 スタローンとデ・ニーロの二人は97年に一度『コップランド』(因みに、個人的にはスタローン作で一番好きな映画!)で共演を果たしているのだけど、これほどガチな共演は初めてなワケで・・・・そう考えると、最近のスタローンは本当に凄い!本作『リベンジ・マッチ』と同年(13年)にシュワルツェネッガーとも『大脱走』でガチ共演を果たしているのだから。80年代のアクションスターではあるけれど、2000年代に入ってからも尚、『ロッキー・ザ・ファイナル』(06年)や『ランボー 最後の戦場』(08年)、『エクスペンダブルズ1~2』(10年~12年)などなど、話題作を連発する・・・・この「大物スターなのに“なんでもアリ”」感は大したものだと思う。そして、一方のロバート・デ・ニーロ!僕は昔からこの人が大好きで大好きで・・・・「好きな俳優は?」と訊かれると中学生の頃からず~っと変わらず「ロバート・デ・ニーロ」と答えてるくらい。なのだけど、彼の“なんでもアリ”感もスタローンに一歩も劣らず・・・・。実は結構それがイヤな時期もあったりしたものだ。だって、僕にとってのデ・ニーロと言えば『ゴッドファーザーPARTⅡ』(74年)に『タクシードライバー』(76年)、『ディア・ハンター』(78年)それに『レイジング・ブル』(80年)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84年)、『アンタッチャブル』(87年)、『ミッドナイト・ラン』(88年)、『俺たちは天使じゃない』(89年)・・・・などなど挙げればキリがないけれど、やっぱり80年代までのイメージが強すぎて、それ以降はあまり好きな映画は無く(90年代始めの『レナードの朝』(90年)や『グッドフェローズ』(90年)に『バックドラフト』(91年)辺りはまだいいけれど・・・・)だけど、それでも僕にとっては、80年代までの「好き」という気持ちが未だにずっと続く「大好き」な俳優なのだ。それにしても、70年代からず~っと毎年コンスタントに4~5本の映画に出演し続けているデ・ニーロの“映画魂”は本当に凄い。きっと彼が亡くなった時は「神」と呼ばれるのだろうな、と思う。本作『リベンジ・マッチ』以外にも、アカデミー賞にノミネートされた『アメリカン・ハッスル』や、トラヴォルタとの共演作『キリングゲーム』、リュック・ベッソン監督のコメディ『マラヴィータ』にマイケル・ダグラスやモーガン・フリーマンらとの豪華共演が話題の『ラスト・ベガス』などなど、去年2013年だけでも話題作揃い!・・・・そうそう、あと懐かしかったのがキム・ベイシンガー!ミッキー・ロークと共演した85年の『ナインハーフ』と97年の『L.A.コンフィデンシャル』くらいしか思い出さないにも関わらず何故だか強烈に印象に残っている女優だ。年齢的にも、2人のヒロイン!って感じがすんなりきて素敵だった。それと、デ・ニーロ演じる“キッド”の息子役であるジョン・バーンサルも凄く良かった。どっかで観たよなぁ~・・・と思いつつも、どの映画で見たのかは結局思い出せないのだけど。コメディ映画なのに、何故にこんなに熱くなって泣けるのか?その理由は是非ともご自身で確かめて頂きたい。

一番上にもどる      ホームヘもどる