ポリス・ストーリー レジェンド

チープな音楽に解像度が低く安っぽい原色(個人的には嫌いではないけれど・・・・)が“いかにも”な、映画製作会社等のロゴが幾つも登場する冒頭から中国語が並ぶオープニング・ロール・・・・これほどコッテコテの中国映画は実に久しぶりな気がする。しかもその映画が日本国内で大ヒットを記録しているのだから凄い!本作は「中国映画」ではなく「ジャッキー映画」なのだ。ジャッキーが“親日家”であるということを差っ引いたとしても、最近の日中関係を敢えて書くまでもなく(っていうか、書きたくもないが)ジャッキー・チェンという“個人”が国境を超えてどれほど日本人に愛されていたのかが分かる。

「身体を張った本格アクションからは本作で引退」と公言し“ジャッキー最後のアクション映画”と謳われた前作『ライジング・ドラゴン』(12年)がなんとジャッキー映画史上歴代1位!という興行成績を記録し、アクションスター(当時)58歳にして、まさか?!のピークを迎えたジャッキー・チェンの最新作がこの『ポリス・ストーリー レジェンド』だ。「もう2度とジャッキーのアクションは見れないのか?」と寂しく思っていたのだけど、やっぱりバリバリのアクション映画!(笑)更には、前作『ライジング~』を超えてジャッキー映画最高記録をまたも更新したのだから本当に凄い!

ジャッキー扮する刑事ジョンが娘との待ち合わせ場所(若者が集まるクラブ)で事件に巻き込まれ娘共々人質に捕られてしまい「さぁ、どうする?」という『ダイ・ハード』を筆頭にした“よくある”物語なのだけど・・・・予告編での“ジャッキーが頭に銃を当て引き金を引く”衝撃的なシーンから始まる本作はフラッシュバック(回想シーン)が駆使され、犯人の目的は何なのか?冒頭のシーンは何故なのか?が徐々に明らかにされていくに連れ、切なさと悲しさが増していく極上の人間ドラマでもある。コレにジャッキーの王道アクションが絡まるのだから、そりゃあもう面白くないワケがないだろう。

自ら監督・主演をしているジャッキー・チェン本人も「自身の最高傑作」と言っているほど、『プロジェクトA』(83年)と並びジャッキー映画の最高峰と言える85年の『ポリス・ストーリー/香港国際警察』。本作『ポリス・ストーリー レジェンド』は、その「シリーズ第6弾!」と謳われているけれど、正確には『新ポリス・ストーリー』(93年)と『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(04年)同様、本編シリーズとは関係の無い映画である。そもそも『ポリス・ストーリー』は『ポリス・ストーリー2/九龍の眼』(88年)と(アクション映画としてはシリーズNo1である)『ポリス・ストーリー3』、それに(タイトルからして一般的に『プロジェクトA』の続編だと思われている)92年の『ファイナル・プロジェクト』(96年)だけが正真正銘の「ポリス・ストーリー」シリーズなのだ。(因みに『プロジェクトS』(93年)も『プロジェクトA』とは関係なく、『ポリス・ストーリー3』に登場したヤン刑事(ミシェル・ヨー)を主人公にしたスピンオフ映画だ・・・・ややこしい!笑)

ブルース・リー映画のエキストラやスタントマンからスタートしたジャッキー・チェンは、70年~80年代を通し「カンフーアクション」の第一人者となるワケだけど、72年生まれの僕にとっては『少林寺木人拳』(76年)や『スネーキーモンキー蛇拳』(78年)『ドランクモンキー酔拳』(78年)なんかの「~拳」シリーズが印象深く、70年代の作品がやっぱり大好きだ(それにしても78年の1年間に6本もの主演作をリリースしているってのは凄い!)小学生の頃にテレビでしょっちゅうやっていたからだろう。どこかふざけていてユーモラスで、それでいて人間味が温かく絶対的な強さを誇る我らがヒーロー、ジャッキー・チェン!しかし、本作『ポリス・ストーリー レジェンド』ではジャッキーの強さが“絶対的ではない”という点も見どころの1つだ。年相応の役で挑んでいる為、若いファイターには全然敵わず・・・・「ジャッキー、負けるかも」っていうか「ジャッキー、もう立たなくいい!充分頑張ったじゃないか!」と思わず言いたくなる、こんなジャッキー見たことない。肉体的な強さよりも精神的な強さで魅せる“男らしさ”、やっぱカッコ良い~!(それでも60歳にしてこの身のこなしはナンパないけど)

ジャッキー・チェン60歳を記念して作られた『ポリス・ストーリー レジェンド』。先述したように、ジャッキー映画最高の記録を更新したってのが、いや、改めて凄い。今後も『ラッシュアワー4』や(リメイク版)『ベスト・キッド2』などのハリウッド作を含め、既に6本もの新作が控えているというのだからファンにとっては嬉しい限り!まだまだ彼の“レジェンド”を観ていたい。王道のカンフー・アクション映画でありながらミステリーの要素を含む物語。それでいてこんなに泣ける映画ってのはなかなか無い。

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