オールド・ボーイ

 「韓国映画で面白かったのは?」を挙げればキリがないくらいに次から次へと思い浮かぶ。ハリウッドにも日本映画や中国映画にもないあの独特の雰囲気と作風は正に“韓国映画”の独壇場で、特にココ日本では「韓国映画(ドラマ)は面白い!」ってのは“敢えて言うまでもなく”的なくらい認知されているだろう。00年の『シュリ』で「・・・・おぉ?韓国映画って、意外と凄くない?」から、02年の『冬のソナタ』で一気に巻き起こった“韓流ブーム”だが、ちょうどその同時期、「冬ソナ」の真裏で『復讐者に憐れみを』(02年)『オールド・ボーイ』(03年)『親切なクムジャさん』(05年)のパク・チャヌク監督の「復讐三部作」があったことが“韓流ブーム”を決定付けたのは間違いないと思っている。お涙頂戴的なほのぼの恋愛ドラマだけじゃなく・・・・どころか、こんなにもダークな真逆面も持っている奥深さってのが韓国映画&ドラマの真の魅力だったのだ。しかも、それがメチャクチャ、クオリティ高いし!お陰で「韓国映画(ドラマ)って、チャラいでしょ?」と誰も言えなくなったのだから、パク・チャヌクの功績は相当に偉大だと思う。その「復讐三部作」の中でも一番の傑作は『オールド・ボーイ』だろう。個人的にも大好きな作品だ。思えば、この『オールド~』が公開された03年ってのは他にも『殺人の追憶』とか『箪笥(たんす)』などの大傑作が相次いで公開された大豊作の年。韓流ブームを決定付けた年だったのだろう。

 本作は、その『オールド・ボーイ』のハリウッド・リメイク作だ。第57回(04年)カンヌ国際映画祭で審査委員長を務めたクエンティン・タランティーノが大絶賛して“審査員大賞”を受賞したことで世界的に有名になり(逆に「タランティーノが審査委員長じゃなければ本作が陽の目を浴びることはなかっただろう・・・・」ってのも定説だが)08年にドリームワークスとユニバーサル・ピクチャーズがリメイク権を獲得。当時はスティーブン・スピルバーグ監督×ウィル・スミス主演!という豪華な超大作として制作されるという噂もあったが、契約等のトラブルから結局スパイク・リー監督×ジョシュ・ブローリン主演に。コレはもう絶対に後者の方が正解だろう。(そもそもスピルバーグとウィル・スミスでどんな超大作にするつもりだったのだ!?って感じだし 笑)まず、主演のジョシュ・ブローリンが大正解!(笑)『グーニーズ』(85年)から『アメリカン・ギャングスター』(07年)『ノーカントリー』(07年)『ミルク』(08年)『トゥルー・グリッド』(10年)に『メン・イン・ブラック3』(12年)『L.A.ギャングストーリー』(12年)などなど・・・・数々の話題作にほぼ主役級として出演しているにも関わらず、毎回「この人、誰だっけ?」という存在感の無さは凄い!(笑)いやマジで、主役級をはれる演技力を持ちながらも“存在感のない”位置付けでいられる俳優ってのは本当に貴重で凄いと思う。オリジナルの韓国版でチェ・ミンシクが演じた“あまりにも衝撃的且つ印象に残る”あの「ハンマーを振りかざした狂気的な画」に真っ向勝負を挑み、それに全く引けをとらない「画」・・・・やはりジョシュ・ブローリン、相当に凄いだろう。そして、何と言っても監督のスパイク・リー!度々話題になる歯に衣着せぬ過激発言も含め、個人的に大好きな監督(というか、人物)で、永年に渡り僕が「一緒に飲みたい有名人」ナンバー1のあの人なのだ!(笑)特に、92年の『マルコムX』は必見。

 酔いつぶれたある夜、行きつけのバーの前で突如“拉致監禁”される主人公。更にその間、元嫁の殺人事件の容疑者として指名手配されているという無念さ・・・・そのまま20年もの間監禁された後、ある日突然解放される。何故に自分が監禁されたのか?(しかも20年間も!)そして、何故に「今」解放されたのか?・・・・おもしろっ!!!もう、この設定を思いついた時点で勝ちだろう。既に韓国版のオリジナルを観ている僕からしてみれば、ストーリーを知らずに初めて本作を観る人が羨ましくて仕方ない。とは言っても、今回のハリウッド版は韓国版とはまた微妙に設定が違っているので、オリジナル版を観た人も絶対に楽しめるだろうと思う。韓国版は僕が今まで観た映画の中で『ミスト』(07年)と並び「一番後味が悪かった」映画なのだけど、本作はハリウッドらしく鑑賞後が実に爽やか!(笑)この振り幅が凄い!「やっぱ、スパイク・リー、すげーなぁ・・・・」と思いつつも、今でもトラウマになっている“あのシーン”が変更されているってのは、残念なような、良かったような・・・・。でも、監禁室での食事が“餃子ばっかり”という設定は変更なく(笑)このシュールさがたまらないのだなぁ・・・・。

 原作は、土屋ガロン(作)嶺岸信明(画)による全8巻の「ルーズ戦記 オールドボーイ」という日本の漫画なのだそう。僕はこの漫画の方は読んだことないのだけど、先日の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』といい・・・・ハリウッドではこれから日本の漫画をベースにした映画化作が量産されていくのは間違い無さそうだ。最高に面白くて不愉快な映画。勿論「R指定」。

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