猿の惑星:新世紀(ライジング)

 小学生の頃、毎週末の洋画劇場が何より楽しみでいつも夢中で観ていたものだ。学校でも「昨日の『ランボー』観た?」とか「来週は『ポルターガイスト』があるよ!」とか友達と盛り上がっていたので、それはきっと僕だけではなかったはず。小学校の5~6年生の頃には一人でバスに乗って映画館に行ったりしていたけれど、今の子はどうなのだろう?映画に夢中になったりするのだろうか?少なくとも、僕らの頃よりは盛り上がっていないように思うのだが・・・・。ちょうどその頃に『猿の惑星』を初めて観た時の衝撃は今でも忘れられない。何と言ってもあのラストシーン!絶望的なまでの“救いの無さ”には誰もが呆然となったに違いない。

 フランスの小説家ピエール・ブール(57年の名作『戦場にかける橋』の原作者でもある)が63年に発表した同名SF小説の映画化作『猿の惑星』は、その奇想天外な設定とラストの衝撃さで一躍「映画史に残るSF映画の金字塔」となったワケだけど、世間的には『猿の惑星』(68年)と『続・猿の惑星』(70年)の、最初の2作だけが“SFの金字塔”である「猿の惑星」の全てであり、3作目以降の『新・猿の惑星』(71年)、『猿の惑星・征服』(72年)、『最後の猿の惑星』(73年)はヒットに便乗して作られた駄作だと云われている。けれど、僕個人的には“コーネリアス”と“ジーラ”、それに“シーザー”に、よりスポットを当てた3作目以降も大好きな作品だ(ま、確かに物語りとしては2作目の『続・猿の惑星』で完結しているのだけど・・・・)。最初の2本は洋画劇場とかのゴールデンタイムにやっていたのに、3作目以降は深夜12時くらいからやっているのを目をしょぼしょぼさせながら観たのを覚えている。

 今や伝説ともなっていた「猿の惑星」シリーズ。それから約30年の時を経て、01年には『PLANET OF THE APES 猿の惑星』が公開されている。ピエール・ブールの原作をより忠実に描いたという本作は、ティム・バートン監督に、マーク・ウォールバーグ主演!それに、ティム・ロス、マイケル・クラークダンカン、ヘレナ・ボナム=カーターにポール・ジアマッティ、更にはオリジナル・シリーズの主演を演じたチャールトン・ヘストン!という超豪華キャストで制作された快心の一撃だったのであろう。・・・・でもまぁ、それは無かったことにして、今回紹介する『猿の惑星:新世紀(ライジング)』は、その更に10年後の11年に公開された『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の続編だ。シーザーが猿たちのリーダーとなり、遂に人類に対して反乱を起こすという『創世記(ジェネシス)』は、全5作からなるオリジナルシリーズの第4作目『猿の惑星・征服』(72年)に近く、それのリメイクというかリボーン版のような感じだけど、同時に「猿の惑星」に行き着くまでの原点を描いた大事な物語であった。「絶対に続編があるんだろうなぁ~」という期待通り(っていうか、当時からルパート・ワイアット監督は「本作は始まりにすぎない」と公言していたし)『創世記』の10年後という設定が今回の『猿の惑星:新世紀(ライジング)』となる。僕はピエール・ブールの原作を読んだことがないので本作が原作にあったのかどうかは分からないけれど、この物語が今までの「猿の惑星」の中では一番面白かったと思う。

 そのストーリーは・・・・ココでそれを書いてしまうとあまりにも陳腐で単純な物語だと誤解されそうなので敢えて書かないが(猿VS人類のそれぞれのリーダーが結局は自分の家族の為だけに戦っている・・・・という、単純且つ生物の基本的設定)しかし、単純だからこそ色々な角度からの解釈ができるワケで、その奥深さは図り知れないのだ。その「深読み」を助長するように、人類にも“人種”があるのと同じく猿にもゴリラとかチンパンジーとかオランウータンとかの種類がありそれぞれ特徴や性格が異なるってのも面白い。猿たちがセリフを喋らない分、内なる感情を“見た目”だけで表現する猿たちの表情がとにかく凄い!一体どうやって撮影しているのだろうと思ったら、前作『創世記(ジェネシス)』にしろ本作『新世紀(ライジング)』にしろ、撮影には本物の猿を1匹も使っていないのだそうで・・・・。

 監督は、08年にJ.J.エイブラムスの新作として大いに話題となった怪獣パニック映画『クローバーフィールド』のマット・リーヴス。で、主演は、前作のジェイムズ・フランコに代わりジェイソン・クラーク。ジェイムズ・フランコが好きだった僕にとってはちょっと残念だったけど、物語を観て納得。彼が演じた“ウィル”はきっと次作くらいにまた核となる役で登場するのだろう。そして、悪役のゲイリー・オールドマンがまたイイ!設定的には徹底した“悪”なのだけど、人間の悲哀とか愚かさとかいったものもきちんと伝わってくるから奥深さが出るのだなぁ~・・・・ただ、彼が悪役を演じるとどうしても漫画チックで軽くなってしまうのは否めないけれど(笑)。で、特筆すべきは何と言っても“シーザー”役のアンディ・サーキス!『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(01年~)のゴラム役で一躍有名になり、05年『キング・コング』での“キング・コング”役、そして11年の『猿の惑星:創世記』の“シーザー”役で、モーションアクターの第一人者となった彼の演技力は本当に凄い!正に「CGに魂を入れる」という感じか(因みに、最近公開された『GODZILLA(ゴジラ)』の“ゴジラ”役も彼だ)。僕は子供たちと母親と3世代で一緒に観に行ったのだけどみんな「面白かった~!」と大満足だったようで・・・・正に老若男女楽しめる「コレぞ映画!」的大傑作。オススメです。

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