チェイス!

 つい今まで真剣な会話をしていたのに突然踊り出す主人公!「気でも狂ったか?誰か止めてやれ!」と思いきや周りのみんなも一緒にダンス!?ただの通行人だと思っていたのにバッチリ振り付けを合わせてくるなんて・・・・お前ら全員グルだったのか?!というカオス感に混乱していると、突如何事も無かったかのように現実に戻っていく人々・・・・が!僕の思考の方は元に戻る間もなく今度は突然『マトリックス』並みの驚愕VFX満載の超ド級アクションが繰り広げられ・・・・というぶっ飛んだ世界観に加え、単純で解りやすくも実はかなり繊細な“物語”に過剰なロマンスがスパイスされた、最高に泣けて笑える「インド映画」。その魅力は正に唯一無二「インド映画」だけが持つものだろう。日本人にウケるのだろうか?ココ数年ですっかり“韓流ブーム”に取って代わった感があるけれど、確かにハマる人はハマるんだろうなぁ〜と、ファンの気持ちも解らないでもない。因みに僕自身は“物語”を楽しむ方なのでダンスや歌のシーンを「早く話に戻ってくれぇ・・・・」と思いながら観てしまい、どうにもハマれないのだけど。

 インドを舞台にした映画といえば82年の『ガンジー』か、08年のアカデミー賞で作品賞含む主要8部門を独占したダニー・ボイルの『スラムドッグ・ミリオネア』(2作ともイギリス映画)が有名だけど、じゃあ“インド産映画”は?と言われてもつい最近まで全くと言っていいほど思い浮かばなかったはず。その火付け役といえばやっぱり『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95年)だろう。一世を風靡した、とまではいかないまでもかなりの認知度ではないだろうか。今でも「インド映画といえば?」と訊かれればこの映画を挙げる人が多いと思う。今にして思えば、この一本に「インド映画」の魅力が全て詰まっているのだな。最近だと、世界中で大ヒットを記録した『ロボット』(10年)とか、ハエが主人公の『マッキー』(12年)とか・・・・どちらも「コレは酷い!(勿論、イイ意味で!)」というレベルの振切り具合。小学生の頃からずっと映画が大好きで、最近では正直「コレは◯◯みたいな映画だな・・・・」と、何を観ても新鮮味を感じなくなってしまったくらいだったけれど、この2本は流石に今まで体感したことがないくらい、もうメチャクチャにぶっ飛んだ映画であった。“現実味”とか“設定”とかそんなのどうでもよくて「とにかく楽しいでしょ!?」という圧倒的なエンタメ感がインド映画の魅力なのだ。

 インド映画歴代最高の興行成績を持っていた、やたらと評判の良いコメディ映画『きっと、うまくいく』(09年)の記録を抜いて歴代一位となったのが本作『チェイス!』だ。インド映画にも関わらず舞台がシカゴっていう時点で“ハリウッドに真っ向勝負!”な感じがして頼もしいじゃないか。物語は、融資を断られ父を破滅に追いやった銀行に復讐する(コレはちょっと逆恨み的な感がしないでもないが・・・・)サーカス団を率いるインド人サーヒルが主人公で、その銀行を破綻にまで追い詰める強盗の計画と、犯人を追う(インドから来た)刑事が核になっている。次々と支店を襲う犯人、一体どうやって犯行を成功させているのか?と同時に、連日大盛況のサーカス公演、一体どんなカラクリがあるのか?コレらのトリックが明かされる時・・・・「まぁ、そうだと思ったけど」と、正直、意外性は無いのだけど本作の(っていうかインド映画の)凄さはこっからなのだ!過剰な演出とアクション、それに加えベッタベタな展開とロマンス!とりわけ、バイクと車のカーチェイスなんて今更何の新鮮味もないし見飽きたくらいに観てきたけれど、本作のそれはもうバカバカしいまでにドを超えていて、思わず笑ってしまうほど(「バットマン」や「007」でもココまではしないだろうっていうマシンが最高!笑)。インド映画といえば〜の歌やダンスのシーンは本編では殆ど登場しないけど、代わりの見せ場となるのがサーカスのシーン。ある意味、インド映画の持つ魅力としては究極の演出かもしれない。「いや、でもやっぱ歌やダンスがなくちゃ!」という方にも、オープニングとエンディングにはちゃんと用意されているのでご安心を。ココ鹿児島ではTOHOだけの公開のようだ。

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