REC/レック4 ワールドエンド

 スペイン映画と云えば97年の『オープン・ユア・アイズ』か99年の『オール・アバウト・マイ・マザー』、04年の『海を飛ぶ夢』に・・・・古いところだと72年の『ミツバチのささやき』だろうか?世間的にはきっとそうなのだろうけど、個人的には子供の頃に深夜の洋画劇場的なテレビで観た『ザ・チャイルド』(76年)がスペイン映画の代表作だと思っている。同時期のダリオ・アルジェントの『サスペリア』(77年)と並び僕の中で強烈なトラウマとして残っているホラー映画だ。お陰で今でも「スペイン映画とイタリア映画は怖い!」と思い込んでいるほど。実際にはスペインにホラー映画の文化ってのは殆ど無く、むしろ『ザ・チャイルド』が異色だったのだけど・・・・。その歴史を継いで(?)いよいよ「スペイン映画は怖い!」と世界に知らしめたのが07年の『REC/レック』(07年)だ。謎のウィルスによって感染された人々(っていうか、ゾンビ)を隔離するために完全封鎖されたアパートに取り残された生存者。それを取材しようと潜入しアパートから出られなくなってしまったテレビクルーのサバイバルを描くという、想像しただけで「やばっ!」と思わせる設定に加え、手持ちのハンディカメラによる臨場感溢れる映像がリアル感を増幅し(に加え、誰一人僕らが知っている顔が出ていないってのもポイント)まるでドキュメンタリーのような緊張感がウリの、99年の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や83年の『食人族』に代表される、いわゆる“モキュメンタリー”最恐ホラーだ(しかもR指定!)。翌08年にハリウッド・リメイクされた方も相当に怖かったが、やっぱこのオリジナルの怖さは半端じゃない。VFX技術が進化したお陰でとても直視出来ない「痛い死に方」をリアルな映像で見せつける『ファイナル・デスティネーション』シリーズ(2000年~)に代表されるような近年のハリウッド・ホラーには見飽きたタイミングの公開当時、この『REC』シリーズと『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ(07年~)はかなり異色のホラー映画だと云えただろう。

 「今まで観た中で一番怖かった映画は?」と訊かれれば、僕はもう30年くらい躊躇なくサム・ライミの『死霊のはらわた』(81年)だと答えていた。小学校3~4年生ぐらいの頃に、何かの映画との同時上映でたまたま観てしまい相当にショッキングで未だトラウマとなってしまっていたのだ。当時は、同時上映されていた別の映画の方をメインで観に行ったのだけど今ではそのメイン映画を思い出せないほど。アレは子供に観せてはいけないだろう・・・・(案の定、リバイバル上映の際にはR-15指定になっていた)。87年の続編『死霊のはらわたⅡ』と93年の『キャプテン・スーパーマーケット』で「恐怖と笑いは紙一重」という感性を教わった意味でも『死霊のはらわた』シリーズは僕にとってホラー映画の最高峰だと断言でき、アレを超えるホラー映画なんて一生出てこないだろうと思っていたのだけど・・・・しかも、大人になった僕が「コレは今まで観たホラー映画で一番怖い!」と怯えたのが『REC/レック』だった。『死霊のはらわた』?アレってコメディでしょ?って思えるほどに。

 本作は、完全隔離されたアパートに遂に警察の特殊部隊(と医者)が突入するという、一作目『REC/レック』(07年)のエンディングから始まる続編『REC /レック 2』(09年)の、更にそのエンディングから続くストーリーだ。『1』で地獄のアパートから生還した女性テレビレポーターのアンヘラが再び主役で、シリーズ完結編となっているので過去作を観た人には絶対に見逃せないだろうし、12年の『REC/レック3 ジェネシス』にガッカリした人にも本作には大いに満足するはずだろうと思う。なにせ今度の舞台は“船上”。なるほど~、コレは逃げ場がない!(笑)

 じゃ、『3』は何だったのだ?となるのだけど、あの舞台は『1』とちょうど同じ頃に別の場所で起こった出来事という設定になっているのだそう。それを踏まえれば楽しめないこともないのだが、それにしたってこの『4』を観た後では尚更、物語も繋がらなくただのゾンビコメディに成り下がってしまった『3』に対し「やっぱ、アレは何だったんだ?」という疑問が膨らむのは否めない。で、調べてみると1~2作の監督&脚本はジャウマ・バラゲロとパコ・プラサが共同でやっていて、『3』だけはジャウマ・バラゲロが外れ、パコ・プラサが単独で制作。そして本作『4』は逆にパコ・プラサが外れ、ジャウマ・バラゲロが単独で制作とのこと。ってことは、この凄さはジャウマ・バラゲロなのだな。とにかく怖い映画を観たい人には絶対にオススメの一本。こんなに怖い映画はなかなか無い。

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