ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)

 今年は何と言っても「スター・ウォーズ」の最新作『フォースの覚醒』を筆頭に『ターミネーター:ジェニシス』(アーノルド・シュワルツェネッガー主演!)と『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(こちらはメル・ギブソンこそ出ないもののオリジナル3部作のジョージ・ミラー監督!)が目玉だけど、アメコミものも『アベンジャーズ』の続編『エイジ・オブ・ウルトロン』と『ファンタスティック・フォー』、『アント』と超大作が目白押しだ。で、もっと言えば来年の2016年には『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』(キャプテン・アメリカ VS アイアンマン!)や『X-メン』最新作などに加え、『バットマン VS スーパーマン:ドーン・オブ・ジャスティス』で遂にDCも再始動し、実に7本ものアメコミものが公開予定!年に1〜2本あるかないか?のアメコミ超大作がこの2年で実に10本も公開されるというのだから、ココ数年盛り上がってきたアメコミ映画ブームがピークを迎える形となるのだろう。

 テレビのヒーロー番組に憧れるのび太たちが自分らでヒーローものの映画を撮ろう!と、ドラえもんのひみつ道具で身体能力がUPするマント&スーツを身につけ、同じくドラえもんの道具である“バーガー監督”(撮りたいものを監督に注文すればリアルな大傑作を作ってくれる!)の力を借りて撮影を開始。怪獣をやっつけるシーンを撮っているところを、ポックル星から不時着したアロンが偶然に目撃。のび太たちを本物のヒーローだと思い込んだアロンは自身の星を悪者から救って欲しいと懇願し、のび太たちはそれを“バーガー監督”が仕込んだ映画の撮影だと勘違いしたまま、みんなでポックル星へ・・・・のび太たちは本物のヒーローになってポックル星を救うことができるのか?!・・・・という、超王道物語。のび太たちが憧れる“ヒーロー”は、日本では当然ながら「仮面ライダー」とか「戦隊モノ」なのだろうけど、本作では明らかに先述した“アメコミ”もので(悪者なんて既に何かのアメコミで見た気すらするし・・・・)、ココが本作の最大のポイントだ。

 毎年春休みに公開され、邦画史上初となるシリーズ累計動員一億人を突破しているモンスターシリーズ「ドラえもん」。去年の『新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜』と『STAND BY ME ドラえもん』は過去作のリメイクだったので、今回の『のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』は2年ぶりのオリジナルストーリーとなる。しかも、1980年の一作目『のび太の恐竜』から35本目&35周年という記念作!ってことで、興行収入の方もココ数年は軒並み30億円後半の特大ヒットとなっている中で本作は過去最高の記録を持つ前々作『のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』の39億8千万を抜いてとうとう40億の大台に乗るのか?!・・・・だったのだけど、「まぁ、正直それはとても無理って感じ・・・・」となったのは仕方がない。なにせ去年から遂にアメリカでの放送も始まったのだから。歴史が長いからこその「誰もが知っているであろうドラえもん」の今までの伏線や小ネタを封印し、且つ解りやすく単純な展開&物語。老若男女誰からも愛される“純粋な漫画”を世界基準にするために、一度ココまでストレスの無い一本をこのタイミングで作っておく必要があったのではないだろうか、と思う。明らかにアメリカ市場も意識して作られたと思われる記念碑的作品なのは間違いない。あと、「007」シリーズに必ず名曲が伴うのと同じくらいに「ドラえもん」の劇場版といえばそのエンディング曲も毎回楽しみなのだけど、今回のmiwaが歌う「360°」もなかなかの名曲だ。ただ、欲を言えば画面比率が(正確には分からないけど)TVサイズの16:9くらいだったのが残念。DVDのセルやレンタル、テレビ&ネット放映などの二次・三次興行収入を考慮してのことかもしれないけど、せっかく劇場に行ったのだから 2.35:1 のフルスクリーンで観たかった。

 藤子・F・不二雄が正式に発表したものだけでも何本か存在する「ドラえもん」の最終回だけど、中でも「さよならドラえもん」が真打ちだろう。後に、その後日談として「帰ってきたドラえもん」を作者が描いてくれたことで“永遠”の存在になったドラえもん。今ではこの2本がセットで「最終回」と認知されているのではないだろうか。あと、藤子プロが認めない非公式の最終回も多く出回っていて、そちらの方も本家と同様なくらいに知名度が高いってのも「ドラえもん」の人気の深さを図り知れることだと思う。そちらの中では「故障したドラえもんを修理すべく猛烈に勉強したのび太がやがて修理に成功。それがドラえもんの第一号となり・・・・実は“ドラえもんの開発者はのび太だった”という、いわゆるタイムパラドックスものが有名だろうか。でも僕は子供の頃に何かで見たか聞いたか?「のび太は本当は植物状態で、全ての物語はのび太のみている夢」だというのがもうトラウマ的に残っている。確かラストは、病院のベットで寝るのび太をしずかちゃんやジャイアン、スネオらが泣きながら囲んでいて、ドラえもんとのび太が二人で“どこでもドア”を使って天国に行くシーンで終わりという・・・・コレを見てからは「ドラえもん」の話が全て切ないファンタジーに思えてしまい困る(笑)。日本国外では「帰ってきたドラえもん」は公開しない方針を藤子プロが取っていて「さよならドラえもん」で本当に終わっているというから、きっと海外のドラえもんファンはこんな切ない気持ちを抱きながら見ているのだろうか、と思ったり・・・・。老若男女全てのドラえもん世代に送る一本。本格的にアメリカに進出した今後の活躍が楽しみだ。

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