ジュラシック・ワールド

 「意表を突かれる」という言葉があるけれど、その表現を超越するくらいにこっちの予想(想像)に無かった角度から“ポン”とこられると思わずニヤッとなってしまう。例えば“Foo Fighters”の名曲「Monkey Wrench」のイントロ。聞き手を安心させる爽快でベタなイントロ〜と思いきやAメロに入る前のブレイク!「何故にこの尺なんだ?」っていうか「なんでこんなことする?」っていう肩透かしを食らった瞬間、きっと誰もが思わずニヤッとなるんじゃないだろうか。

 そんなニヤッと感が2時間ずっと続くような、本作『ジュラシック・ワールド』は正にそんな映画だ。舞台は『ジュラシック・パーク』(93年の第一作目)の悲劇から20年後。当時はその悲劇のお陰で実現に至らなかったものの、遂にパークはオープン!世界中から観客が集まり連日大盛況なのだけど、次第に観客は“普通の恐竜”では満足しなくなってきて・・・・。そんな観客を楽しませ続け収益を上げていくためにはパークの目玉となるアトラクションが必須だという経営陣が考えたのが“あらゆる種類の遺伝子を組み合わせた最凶・最悪なハイブリッド種”、要は子供のみならず大人までもゾッとするくらいに怖い見世物だ。でも実は、それを研究・開発しているのは最強の殺人兵器を求める軍事会社だったという!で、想像通りこのハイブリッド種が檻を脱走しパーク内に放たれて・・・・。ま、中身的にはこれまでのシリーズと一緒なのだけど、先述したように観客の想像を超越する映像・展開に思わずニヤッとしてしまう。そもそも恐竜が出てくる映画なんてのは別に珍しくも画期的でもなかったはずなのだけど、それを映画界の金字塔にまで押し上げたのがこのシリーズであったことを改めて認識させられた。

 巨匠スティーヴン・スピルバーグが大ベストセラー作家マイケル・クライトンの「5人のカルテ」を映画化する過程でクライトンが「コレはどう?こっちにしない?」って感じで変更された93年の『ジュラシック・パーク』(因みに、そもそもの「5人のカルテ」は『ER 緊急救命室』として二人がTVドラマ化)は、数多くの大傑作を手掛けるスピルバーグの映画の中でも最大のヒット作となり、97年には続編である『ロスト・ワールド』を同スタッフ陣で製作。コレを観たジョージ・ルーカスが「映像技術がココまで進化しているのならば実現できるかもしれない」と『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99年)を作ったってのは有名な話だろう。そして、クライトンが絡んでいるにも関わらず、その原作とは別に「映画版」として独立した感のある01年の『ジュラシック・パークⅢ』を経て、実に14年ぶりとなる最新作が本作『ジュラシック・ワールド』だ。(とは言っても、元々『Ⅲ』の翌年02年には『Ⅳ』の製作は発表されていたものの、何故か04年にキャンセル。で、11年に再び製作が開始され本作に至る・・・・って感じなのだけど)

 物語的には一応、親子や夫婦・姉妹の関係や、巨大パークを運営する経営陣とスタッフの確執・対立なんかも描かれていはいるけれど、まぁ、そんなのは二の次。本作はとにかく“恐竜”を満喫するのが正解だと思う。中でもキモとなるのはやっぱりハイブリッドの新種“ディアボルス・レックス”!超大型肉食獣なのだからただでさえ充分に怖いのに、それがやたらと知能が高く厄介な存在となればもはや“恐竜”というより“怪獣(モンスターか?)”って感じで反則気味な気もするが、そもそもマイケル・クライトンの原作自体が「生命の進化・論理・倫理」という哲学的なテーマなのだそうで。僕は原作を読んだことはないのだけど、そう言えば第一作目で最大の脅威として描かれていた小型の肉食獣“ヴェロキラプトル”も「知能が高く厄介な存在」だと言っていたのだな。例えば、混雑した休日の動物園でその檻が全て解き放たれてしまっただけでそこはもう前代未聞の地獄絵図になるのと同様、観客にとってただのアトラクションに過ぎなかった恐竜たちが突如、壁や檻を超えて襲ってきた時の唖然としたパニック感がリアルで凄い。大阪のUSJに行った時、「全部造り物だから全然怖くない」と強がる当時小学1年生だった長男と一緒に“ジョーズ”のアトラクションに乗ったのだけど、ラストのジョーズ登場!に「まさか本物のサメが出てくるとは思わなかった」と号泣していたのを思い出した。

 とにかく、マイケル・クライトンとスティーヴン・スピルバーグが絡んでいる時点で安泰!と思っていると、なんと早くも『アベンジャーズ』(12年)を抜いて『アバター』(09年)『タイタニック』(97年)に次ぐ映画史上歴代3位の興行成績を記録!「3D・日本語吹替版」がオススメです。

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