ジョン・ウィック

 ちょっといい回転寿司屋さんでたまに見る「シャリを半分にして残すオバさん」。僕はアレが大嫌いだ。“オバさん”と書いたけど、だって大体それは50〜60のオバさんなのだ。何なのだろうアレは?どういう教育を受けてきて、どういう教育を子や孫にしたいのだろうか?ならば刺身頼め!と言いたいし、そんなに贅沢できるくらい金あるんならもっとちゃんとした寿司屋で半分にしたのを注文してもらいたい。そもそも寿司ってのはネタとシャリの絶妙なバランスがあって、それをプロの職人が提供しているものだと思うのだ(因みに僕みたいな“ご飯好き”には高いお寿司屋さんほどむしろシャリが足りないくらいだけど)。それを生半可知ったかぶってシャリを半分にし、残った御飯は空いた皿に山盛りに。お腹いっぱいにならないよう出来るだけ沢山好きなネタを食べようとでも言うのか・・・・やっぱり「刺身食っとけ!」と思う。

 ココ数年でアメドラのレベルが格段に上がり、映画とのクオリティの差が無くなってきつつあったけど、最近ではむしろそれが逆になっている作品すらある。メインのネタばかりを見せようとし、大事な中身(シャリ)が半分になっているような、正に「オバちゃんの半シャリ寿司」映画。プロの職人が「コレがベスト!」というバランスで作っているにも関わらず、何も知らないド素人が勝手にシャリを半分にする「ババァの半シャリ」映画。そうだ、コレから中身の無い映画を「クソババァ半シャリ映画」と呼ぼう。

 最愛の妻を病気で亡くし悲しみに暮れている男の元に一匹の仔犬が届く。それは生前の妻が自分がいなくなった後の彼を心配して手配していたものだった。仔犬のデイジーと穏やかな日々を送っていたある日、彼の愛車目当ての強盗に突如襲われ、デイジーを殺されてしまう。それはロシアン・マフィアの大ボスであるヴィゴのバカ息子ヨセフの仕業で・・・・で、それを知った大ボス・ヴィゴは「なんてことをしたんだ・・・・」と窮地に陥ることに。何故なら、息子ヨセフが襲ったのは引退した伝説の殺し屋“ジョン・ウィック”だったのだ。コレはヤバい!と早速の交渉を試みるもあっけなく失敗したヴィゴは先手を打って寝静まったジョンの元に手下を送り込む!が、全滅。そこで、ジョンの首に多額の懸賞金を懸けて多くの殺し屋たちを雇い・・・・「闇の裏社会 VS 伝説の殺し屋(ジョン・ウィック)」の抗争が勃発!という物語。設定が設定なだけに全編“悪者”しか出てこなくて実に痛快。中でも個人的には、どんな役をやらせても悪人にしか見えないウィレム・デフォー!ジョンの親友でありながら彼の暗殺をあっけなく引き受ける敏腕殺し屋役を演じるのだからコレほどのハマり役は無いだろう。それと、チョイ役だけど誰より記憶に残った“ミスター悪人面”ジョン・レグイザモ!他にも、とにかく強面ばかりが登場する本作に、観客であるこっちは「あぁ〜、こいつはヤバイな」とか「こいつには敵わなそうだからやめとこう・・・・」と本能が思っているのに、それに躊躇せず立ち向かうジョン・ウィック!これが痛快なのだ。

 主人公ジョン・ウィックを演じるのが“キアヌ・リーブス”〜!超名作『ハートブルー』と『マイ・プライベート・アイダホ』(共に91年)を皮切りに『スピード』(94年)、『マトリックス』シリーズ(99年〜03年)で一時代を築いた“誰もが知る”キアヌだが、僕の中では06年の『イルマーレ』辺りを最後にいなくなっていて・・・・っていうか、きっと世間一般的にもそうだったんじゃないだろうか?にも関わらず全く衰えない彼の「イケメン大スター像」は凄い。ま、言っても、03年の『マトリックス』以降もずっとコンスタントに主演作があり、13年には真田広之や浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウらと共演した『47RONIN』という話題作もあったのだけど。肝心の映画よりも「彼と一緒に二泊三日でツーリンできる権利が1,800万円で発売中(約1,000万円のバイク付き)」という話題の方が大きくなってしまうようなアクション大スターが、ストレートに原点回帰的アクション映画に主演!ってのが、一番「クソババァ半シャリ映画」に陥りやすいパターンなのだろうが、本作『ジョン・ウィック』は決してそんなことにはなっていない。ただとにかくキアヌ・リーブスのアクションをカッコ良く魅せよう!に徹底したとしてもそこそこのヒットはしたはずだ。あくまで「クソババァ半シャリ映画」として。本作がそこに留まらなかったのは、キャラ(キアヌ)が一人歩きしないような裏付けが物語にあること。複数の濃ゆいキャラでキアヌと同じくらいの存在感を作り出していること。要はネタ(キアヌのアクション)とシャリ(物語・脇役)のバランスがしっかり取れているという、コレに尽きるのだ。

 現代版『マッドマックス』とも云える本作は、ガンとカンフーを組み合わせた“ガンフー”という新たな銃術を駆使したアクションが軸となるのだけど、51歳となるキアヌ・リーブスのキレッキレの動きがとにかくカッコ良い!エロシーンは一切ないのにR指定なのは何故か?銃での殺人シーン?それもまた他にも幾らでもあるだろし、「一体何人殺したんだ?」っていう『エクスペンダブルズ 2』(12年)でさえPGだったのに・・・・と思うも、その理由はきっとこの“ガンフー”にあるのかもしれない。至近距離で蹴りやパンチを繰り広げながら初めに狙いやすいところをとにかく撃って、怯んだところで頭を撃ってとどめを刺す!全ての敵に対し、最後は確実に頭を撃つってのは今までありそうで無かったような気もするし。既に続編も決定している『ジョン・ウィック』はキアヌ・リーブス完全復活となる新たな人気シリーズとなるのだろう。面白かった。

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