コードネーム U.N.C.L.E.

 ココ鹿児島では“全国ロードショー”ではない映画の劇場公開はほぼスルーされるものだ。凄い楽しみにしていたのに公開間近にチェックすると「えぇ〜!鹿児島では無いの〜?!」という、田舎者をバカにされたような挫折感を今まで何度味わってきたことか。まだ自身の会社が儲かっていた頃は映画を観るためにわざわざ東京とかまで行っていたものだけど、金も時間も無い今ではただただ黙ってうつむくしかなく・・・・。ミニシアター系も充実したテンパラができてからその環境は随分と良くはなったけれど、それでも“全国”のタイミングとはまだ遅れるのは事実(観れるだけでも充分に幸せだとは思うのだが)。DVD化まで待てないとかそんなことではなく、僕はそもそも劇場と自宅のDVDで観る映画は全く“別モノ”だと思っているので、とにかく映画は劇場で観たいのだ(例えどんなにデカいTVが自宅にあったとしてもやはり全く“別モノ”。ホームシアターなんてクソだ)。でも、そのお陰で僕らは「ハズレ映画」を高い金出してまで劇場で観なくてすんでいるのかもしれない。全国ロードショーってのは、それなりの何かの“検問”を通ってきているのだろう。それに外れた映画ってのは結局なんだかんだ言って「イマイチ・・・・」ってのが殆どで、例えば、最近だとマイケル・ナイト・シャマランの『ヴィジット』とか、僕的には近年稀にみるほど楽しみにしていたのだけど、結果的に鹿児島では上映されなかったということは、きっとそれほど面白くなかったのかもしれない。

 そんな中の『コードネーム U.N.C.L.E』。ロバート・ダウニー Jr とジュード・ロウの『シャーロック・ホームズ』(09年)『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』(11年)のガイ・リッチー監督最新作で、64年〜68年に全4シーズン製作・放送された人気テレビシリーズ「0011ナポレオン・ソロ(原題:「The Man from U.N.C.L.E」・・・・「叔父さんからやってきた男」ってどういう意味なんだろう?笑 それとも他に訳し方があるのか?)」の映画化だ。最初この映画の情報を知った時「うわぁ〜面白そぉ〜!」と思いつつも、でも絶対にココ鹿児島では劇場では観れないのだろうと諦めていた。まさかコレが全国ロードショーとは!先述した持論を逆説的に言えば、この映画はそれほど面白いということだ。舞台は、60年代冷戦真っ只中のヨーロッパ。敵であり個人的にも最大のライバルであるCIA(アメリカ諜報機関)の敏腕エージェント“ナポレオン・ソロ”と、KGB(ソ連諜報機関)のトップ工作員“イリヤ”が、ひとつの大きな作戦の為に手を組むハメに・・・・いわゆる、王道のスパイ&バディ・ムービー映画だ。監督のガイ・リッチーは「シャーロック・ホームズ」シリーズでバディ・ムービーの手腕は実証済みだが、主演二人を演じるのが『マン・オブ・スティール』(13年)のヘンリー・カヴィルと、同じく13年『ローン・レンジャー』のアーミー・ハマー!コレで面白くないワケがない。ヘンリー・カヴィルはどうやっても“スーパーマン”にしか見えなくて『マン・オブ〜』たった一本で凄いイメージ定着だよなぁ・・・・と思っていたけれど、なるほど、この人はクリストファー・リーヴにそっくりなのだな。

 特筆したいのは、何と言っても本作がガイ・リッチー監督作だということ。さっきから「シャーロック・ホームズ」の〜と書いているけれど、往年の映画ファンはそれが彼の名刺代わり的一本だとは誰も思っていないだろう。ガイ・リッチーと云えばやっぱり98年の『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』!公開当時、類似映画もたくさん出てきたほど一大ムーブメントを築き、遂にはテレビシリーズ化までされた英国産クライム・ムービーの最高傑作だ。“悪”ばかり強面だらけのギャングスタムービーのイメージだけど、今考えるとジェイソン・ステイサムのデビュー作でもあり、スティングやマシュー・ヴォーン、ヴィニー・ジョーンズといった超豪華な俳優陣。続く『スナッチ』(00年)でも作風は変わらず、ブラッド・ピットとベニチオ・デル・トロを迎えパワーアップ!(02年の『スウェプト・アウェイ』は無かったことにして)その後、『リボルバー』(05年)、『ロックンローラ』(08年)と良質クライム・ムービーを経ての「シャーロック・ホームズ」シリーズ・・・・ガイ・リッチー的には遂に世界規模のハリウッド映画での大成功だったワケだが、彼のファンにとっては正直ちょっと残念だったのも否めないはずで。そしてこの『コードネーム U.N.C.L.E』。まるで、「シャーロック〜」で手にした経験と自由(&お金)そして名声をフルに活かしつつ、一番好きな作風を作ってみました的“会心の一本”だ。

 アメリカでは“アメコミ・ヒーロー”が文化だとすれば、イギリスではそれに値するのが“スパイ”なんじゃないだろうか。両者とも同じように悪を倒したり世界を救ったりするけれど、決定的に違うのは例えばスーパーマンみたいに特殊な能力が無くても誰でもスパイになれる可能性があるという点。ある意味、アメコミ・ヒーローよりも親しみやすく感情移入しやすいヒーローなのだと思う。近年、にわかにブームになりつつある“スパイ映画”。シリアス路線を追求していく“アメコミもの”に反して、本作『コードネーム〜』然り、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』、『キングスマン』など、スパイ映画はどんどんエンタメ娯楽作になっていくように思う(「007」シリーズ最新作『スペクター』も、かつてのマンガチックな超娯楽作になっているようだし)。いやぁ〜、面白かった。60年代レトロポップ満載のファッションも必見!

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