007 スペクター

 ダニエル・クレイグ4作目となる「007」最新作『スペクター』。前作『スカイフォール』(12年)が50年も続くシリーズ中で「まさか!」の最大のヒット作となり、映画史的にも歴代12位という空前の大ヒットを記録!「もうネタを使いきったから次は無い」と言っていたにも関わらず、やっぱりサム・メンデス監督が手掛けた続編だ。僕は昔から大の「007」ファンで、その“思い”を色々と書いていたのだけど、そのうち「・・・・コレってデジャブか?」と振り返ってみると、 『スカイフォール』の時に同じことを書いていたと気付いた。が、結構前の原稿だし、それを読んで覚えてくれている人もいないだろうから今回はもうその時のコピペで済まそうかと思ったのだけど流石にそんなワケにもいかず・・・・ハイ、“delete”〜!他に何を書けばいい?すみません、マジで前回の『スカイフォール』を読んで下さい。書きたいことはそこで全て書いているので。

 今回特筆すべきは、何と言ってもそのタイトルが「スペクター」だということ!往年の007ファンはきっと声を上げて歓喜したに違いない。シリーズ初期、そもそも“00セクション”の敵であったのが国際的犯罪組織“スペクター”なのだ。第一作目『ドクター・ノオ』(62年)からずっと戦ってきて、第5作目『007は二度死ぬ』(67年)で遂にその親玉である“ブロフェルド”が初登場!続く6作目『女王陛下の007』(69年)では、なんとそのブロフェルドにボンドは妻を殺されているので個人的にも絶対に許すことのできない憎き敵なのである。一応、その後の7作目『ダイヤモンドは永遠に』(71年)でブロフェルドは殺され、一件落着〜!となるのだけど、本当の「スペクター&ブロフェルド問題」はこの映画から勃発することに・・・・。悪の組織“スペクター”とその親玉である“ブロフェルド”というのは、実は原作者イアン・フレミングではなく映画化にあたって脚本を手掛けたケヴィン・マクローリーが創りだしたキャラなのだけど、それをフレミングが無断で小説に登場させたり、更にそれを無断で映画化・・・・それが、しょーもない泥沼問題になり裁判にまで発展。で、『ダイアモンド〜』を最後に“スペクター”は封印され(とは言っても、81年の『ユア・アイズ・オンリー』とか83年『ネバーセイ・ネバーアゲイン』にも出てくるけど)、新シリーズではその問題を回避するために新たな犯罪組織“クオンタム”を登場させ戦ってきたワケだ。が!なんと今回、スペクター&ブロフェルドの権利問題がクリアー!30年ぶりに満を持しての再登場なのである。そしてそのタイトルが「スペクター」!鳥肌ものじゃないか。で、そこで問題になってくるのが“スペクター”と“クオンタム”の立場・関係性なのだけど、この辺も見事。今後は“00セクション”と“スペクター”、“クオンタム”の三つ巴の戦いも生まれてくるので物語に更なる深みと変化をもたらすことが可能になるのだろう。

 これまでに何人もの俳優が演じてきた“ブロフェルド”だが、今回演じるのはクリストフ・ヴァルツ。09年のタランティーノ映画『イングロリアス・バスターズ』で第82回アカデミー賞助演男優賞並びに第62回カンヌ国際映画祭男優賞、そして『ジャンゴ 繋がれざる者』(12年・同じくタランティーノ監督)で二度目のアカデミー賞助演男優 賞を受賞した超個性派俳優だ。ブロフェルドのトレードマークともいえる顔の傷とか、白いペルシャ猫を飼っているというキャラ設定も忠実に再現。どころか、本作では顔の傷が何故ついたのか?まで描かれ、更にはボンドとの衝撃の関係まで明らかに!ダニエル・クレイグになってからの新シリーズでは初登場だが、実は『カジノ・ロワイヤル』(06年)、『慰めの報酬』(08年)、『スカイフォール』(12年)での全ての事件に関わっていて、前作『スカイ〜』で“M”を殺したのもブロフェルドだと判明!いきなり圧倒的な悪者ぶりを発揮し圧巻の存在感である。暫く“ブロフェルド”はクリストフ・ヴァルツで定着だろう。(そう言えば『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』での宿敵“ミスター・ホワイト”も重要な役で再登場!)

 シリーズ最大のヒット作となった前作『スカイフォール』を超えたかと言えば正直そんなことはないのだけど、銃口の向こう側からボンドがこっちに向かって“バキューン!”と銃を撃つ、あの007シリーズ伝統とも云える冒頭のシーンからラストの「ジェイムズ・ボンドのテーマ」に至るまで、一分一秒その全てに於いて「007」の王道をいく原点回帰的大傑作だ。契約上の話で言えばダニエル・クレイグは本作(4本目)で最後になるのだけど、是非とも次作も彼であってほしいと願う。まだ暫くはクレイグ・ボンドを観てみたいと思うのは僕だけではないだろうから。これまでの最高本数である初代(ボンド)ショーン・コネリーと三代目ロジャー・ムーアの7本を超えてくれればいいのだけど。

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