ブラック・スキャンダル

 FBI史上最重要指名手配犯として、“ウサマ・ビン・ラディン”に次ぐ多額の懸賞金をかけられた伝説のギャング“ジェイムズ・ジョセフ・バルジャー(ホワイティ・バルジャー)”の半生を描いた映画『ブラック・スキャンダル』。いやぁ~面白かった!「コレが実話?!」という驚愕性、ストーリー、ファッション・・・・全てに於いて個人的には超ドストライクな一本!映画を観たり音楽を聴いたりして「シビれる~!」とかいう表現があるけれど、正にそんな映画だった。エンドロールが流れてもずっと鳥肌が止まらなかったほど(っていうか、エンドロール直前が鳥肌ピーク)!デート映画には向かないかもしれないけれど、男にとっては世代問わず誰もがシビれる最高の一本だと思う(特に30~40代の元気な中年男子!笑)。なにせ、貧乏な田舎町で育った幼なじみの三人が、マフィア(兄)、政治家(弟)、FBI(親友)となった・・・・という物語なのだから。幼なじみの親友同士がやがて、子供を殺された父親、その殺人犯、刑事、という立場になってしまった『ミスティック・リバー』(03年 クリント・イーストウッド監督)を思い出させる超名作度!しかも、コレが実話だというのだから熱過ぎる・・・・。

 舞台は70年代のボストン(そう言えば、先述した『ミスティック~』の舞台もボストンだったけど、ボストンってそういう街なのだろうか?)。イタリアンマフィアを一掃して手柄を上げたいFBI捜査官のコノリーは、幼なじみであるバルジャーが街のチンピラであることに目をつけ、その犯罪を見逃すことの交換条件として裏社会の情報の提供、いわゆる「密約協定」を持ちかける。やがて、「何をしても見逃される&家族の死」によって歯止めの効かなくなったチンピラ・バルジャーは“ボストンの犯罪王”にまでのし上がり、その見返りとしての情報によってコノリーはFBIで大出世!更には、バルジャーの弟であるビリーもマサチューセッツ州上院議員となりボストンで一番の権力者にまで登り詰めていくという・・・・男として、トントン拍子に出世しデカくなっていく姿は見ていて最高に気持がいいのだけど「いつまでもそんな巧くはいかないぞ・・・・」という危うさも否めなく(特に、どんどん暴走していくバルジャー!)夢中になって魅入ってしまうのだ。野心溢れる男が不正を繰り返しながら大出世し、それが崩壊していく姿を目の当たりにするなんて、これほどスリリングなことはないだろう。しかもスケール感が桁違いだし!因みに、本作の“ボストンの犯罪王・バルジャー”は第79回アカデミー賞で作品賞を受賞した『ディパーテッド』(06年 マーティン・スコセッシ監督)でジャック・ニコルソンが演じたフランク・コステロのモデルとなったのだそう(っていうか、この『ディパーテッド』も舞台はボストンだ・・・・ボストン、死ぬまでに一度は行ってみたくなった)。

 主役のバルジャーを演じるのが、ジョニー・デップ!ハゲヅラ&カラコンという出で立ちに最初は違和感満載なのだけど、見ているうちに本気で怖くなってくるから凄い。正に「鬼気迫る演技」!改めて「ジョニデ、やっぱスゲー・・・・」と思った。そして、その弟である政治家ビリーに『スタートレック イントゥ・ダークネス』(13年)や『それでも夜は明ける』(13年)、『イミテーション・ゲーム』(14年)などのベネディクト・カンバーバッチ!最近ではテレビ・ドラマ「シャーロック」のイメージが強いかもしれないが、相変わらずの存在感はバツグンだ。そして、FBI捜査官コノリー役にジョエル・エドガートン。正直、12年の『ゼロ・ダーク・サーティ』くらいしか思い出せないけど、本作ではジョニデを超えて一番印象に残った俳優だった。更に!そのFBIコノリーの上司に、先述した『ミスティック・リバー』(03年)や名作『フットルース』(84年)などのケヴィン・ベーコン!・・・・シビれる~(笑)。

 で、特筆すべきは何と言ってもそのファッション。物語のメインが75年~85年を描いているのだけど、登場人物の服装からサングラス、ネックレス、時計などの小物に至るまで当時を細かく忠実に再現した映像がまた相当に凄いのだ。室内にしても、テーブルや椅子、照明器具、壁紙などに至るまで・・・・更には、車!70年代の~今で言う「旧車」なのだけど、それがまるで新車のようにピカピカ!車にしても人(ファッション)にしても、街並み~室内にしても、とにかく画面に映る全てが70年代!それがあまりにも普通過ぎて逆に意識しなくなるのだけど、改めて考えるとコレは相当に凄いと思う。実話だけあって、ラストに登場人物のその後(っていうか、現在)が紹介されるのだが、誰が裁かれて誰が裁かれなかったのか?そしてそれぞれの罪の重さは?に、また驚愕する。「あ、こいつ意外と刑が軽いんだ?」とか「なるほど、この一連の事件ではこいつが一番“悪”ってことになるのか」とか。正に「ブラック・スキャンダル」!ゲス&ベッキーのスキャンダルなんて語るに足らず、清原の件にしても本作に比べたらそれこそ“蚊”みたいなもんだろう。今、観なければいけない一本はコレだ。

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