レヴェナント:蘇えりし者

 いやぁ~凄い。物凄い映画だった。これほど重厚な“映画力”を持つ作品はなかなか無いのではないか。何が凄いかって、やっぱりアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督だろう。00年の監督デビュー作『アモーレス・ペロス』でいきなり世界中に(特にハリウッドに)「メキシコ映画すげー・・・・」と衝撃を与え、直後すぐにハリウッドに渡り、ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロという大御所陣で撮った『21グラム』(03年)が決定打に(個人的には映画史上間違いなくTOP5に入る超名作!もしも未観の方は是非ともオススメです)。そして『バベル』(06年)、『BIUTIFUL ビューティフル』(10年)と立て続けに問題作を発表し、14年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が去年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞と主要部門を独占。で、監督最新作となるのが本作『レヴェナント:蘇えりし者』である。本年度第88回アカデミー賞で主要部門含む12部門で最多ノミネートされ、アレハンドロ・G・イニャリトゥはなんと二年連続で監督賞を受賞!作品賞は『スポットライト 世紀のスクープ』(15年)に持って行かれたが、本作が受賞してもおかしくなかった・・・・というか、ホントはこっちだったような気すらする(『スポットライト~』も観たけど、いや絶対『レヴェナント~』の方が圧倒的に面白かったし!)。実情としては、流石にイニャリトゥ監督が二年連続で監督賞に加え作品賞まで受賞するのはちょっとアレだろう、と。そんな感じじゃないだろうか。

 更には、本作『レヴェナント~』でレオナルド・ディカプリオが念願の主演男優賞まで受賞!96年の『ロミオ+ジュリエット』のロミオ役を経て97年の『タイタニック』で大ブレイクしたディカプリオ。だが、本来のバツグンの実力(演技力)にも関わらず、その見た目からどうにもアイドルっぽいイメージを拭えず歳を重ねてきた感があり、これまで『アビエイター』(04年)、『ブラッド・ダイアモンド』(06年)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)と三度(『ギルバート・グレイプ』(93年)での助演男優賞も含めれば今回で五度目!)もオスカーにノミネートされながらもなかなか受賞できず・・・・意外な気もするが、コレがようやくの初受賞なのだ。ついでにアカデミー賞ネタでいくと撮影監督のエマニュエル・ルベツキは、なんと『ゼロ・グラビティ』(13年)、『バードマン~』、『レヴェナント~』と三年連続でのアカデミー撮影賞を受賞するという快挙を成し遂げている。まるでテレンス・マリックの映画のような幻想的な映像は「マジックアワー(wikipediaによると、日没後に数十分程度しかない薄明の時間帯を指す撮影用語で、光源となる太陽が姿を消しているため限りなく影の無い状態が作り出される状態となり、色相がソフトで暖かく、金色に輝いて見える状態。とのこと)」をメインに照明を一切使わず自然光だけで全編を撮っているのだという!世界一の映像作家が撮る、その最先端の“画”を大画面で見るってだけでも充分にお金を払う価値はあるだろう。

 舞台は1823年アメリカ西部開拓時代。実在した探検家ヒュー・グラスを描いた物語だ(実話だというけれど、コレだけ昔の話をどうやって語り継いできたのか?甚だ疑問ではあるが・・・・)。ストーリーに関しては敢えて一切触れないことにしたい。っていうか正直、“あらすじ”を書いてしまえば二行くらいで書き終わってしまうのだけど「そんな映画か」と単に思われたくもないので、全ての先入観無しで観て頂きたいのだ。その方が圧倒的に楽しめると思うので、できればウィキペディアはじめネット上に蔓延する“あらすじ”なんかも極力見ずに挑んで頂きたいほど。とにかく、主人公“ヒュー・グラス”と彼の宿敵“ジョン・フィッツジェラルド”の心理戦が凄い!そしてそれを演じるディカプリオと『マッドマックス 怒りのデスロード』のトム・ハーディの演技合戦が凄いのだ!とりわけ冒頭の『プライベート・ライアン』を思い出させる戦闘シーンと、グラス(ディカプリオ)が熊に襲われるシーンは圧巻である。二時間半もの長尺にも関わらず一瞬も飽きさせること無く高いレベルでの緊張感がずっと続くので精神的にかなり疲れそうな気もするのだけど、そんなこともなかったのは、先述したエマニュエル・ルベツキの“映像”のお陰だろう。そして、全編通してセリフの少ない“間”を埋めるのが坂本龍一の音楽。極上の一本だ。

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