64 -ロクヨン- 前編

 そのうちブラッド・ピットとかが主演で映画化しそうな“パナマ文書”ニュース。一体誰が何を目的としてリークしたのか?まるでリアル都市伝説のような話に、この類が好きな僕にとっては興味が尽きない。「いい歳して」と言われるかもしれないけど僕は“都市伝説”ってのが大好きで、眠りにつく前にベッドに寝転がって読んでいた本に飽きた時や銀行で順番を待っている時、つまらない飲み会や会合などで間が出来た時・・・・など、ちょっと隙が出来ればネットで“都市伝説”を検索してみるほど。あまりにもバカバカしいのもそれはそれで面白いのだけど、微妙な信憑性を持つ話のあのワクワク感は何なのだろう?(笑)特にお気に入りは関暁夫のフリーメイソン・ネタ。そんな中「実は昭和64年が存在していた!」という“都市伝説”を前に読んで驚いたのを覚えている。何故にそれが“都市伝説”なのだ?確かに昭和は63年までで翌年は平成元年なのだけど、そもそも何故に元号が変わるのかを知っていればそんな事を不思議にも思わないワケだし、しかもそれが“都市伝説”と云われているってのが、僕にとってはある意味“都市伝説”であった。

 その昭和64年のわずか7日間に起こった誘拐殺人事件を描いているからのタイトル『64 ロクヨン』。7才の女の子が誘拐され、その身代金を犯人の指示通りに持って行くも金は捕られた挙句、少女も遺体で発見される。正にちょうどその時、昭和天皇の崩御により時代は新元号「平成」へと変わることになり、この歴史的出来事の大きさから「ロクヨン」と呼ばれた少女の誘拐殺人事件は世間からあまり注目されないまま時が過ぎる・・・・。そして時効まであと一年と迫った平成14年、ロクヨンを模倣した誘拐事件が起こり当時の関係者は「昭和」に引き戻されることに。やがて二つの事件が交差して・・・・というのが粗筋。これだけでも充分に骨のある話なのだが、あくまでもコレは物語の“軸”であって、それに加えて幾つかの事件・事故が肉付けされてくるから物語は更に骨太に重厚になってくるのだ。主人公は、かつてのロクヨン事件の際に身代金を運ぶ父親の車の中に潜入捜査をした三上義信(佐藤浩市)。今は警察御用達のマスコミ記者(通称“記者クラブ”)に対して事件の詳細を伝える部署である“広報室”のトップとなっていて、そこでの衝突や警察内部の裏話が繰り広げられるのだけど、それらが全て「ロクヨン」に繋がっていく様が圧巻!

 原作は「半落ち」や「クライマーズ・ハイ」などの横山秀夫の同名小説で、13年の「このミス」での1位他、数々の賞を受賞した大傑作だ。が、僕はこの原作を読んだことがない上に、去年のピエール瀧主演のNHKドラマ(全5話)も観てなくて今回の映画が初めてになるので、こうなったらもうなるだけ予備知識無しで観に行こうと決めて挑んでみた(しかしながら今の情報社会、特に話題性のあるものについての一切の情報を入れないようにするのもなかなか大変なものだと気付かされたが・・・・)。それはそうと、邦画では最近流行りなのか?前編・後編に分けて公開される形式。僕はこの手の映画が大嫌いだ。だらだらと二本に分けて公開して二回分の鑑賞料を取る。僕にはあからさまな金儲け目的だとしか思えないのだけど、同時に制作サイドにもかなりのリスクがあるんじゃないだろうか?我々観客は最初から『後編』を観に行く覚悟がなければ『前編』に足は運ばないだろうし、『前編』を見逃していれば当然ながら『後編』だけは行かないだろうし・・・・。でも、本作『64 ロクヨン』に至っては「前・後編 二本立て」に全然納得出来るから不思議なほど。そもそも横山秀夫の原作が「上・下巻」の二作に分かれているのもそうだし、2時間にも及ぶ本作『前編』だけでも充分に見応えがあり過ぎて「これ以上減らせないだろう」と唸らせるから。因みに『64 ロクヨン 後編』は6月11日公開。あ~、早く観たい!ここ最近の邦画はチャラいのばっかりだったのだけど久しぶりに超骨太な大傑作。俳優も(チャラいのが出てなくて)主役級ばかりが勢揃い!というこの豪華さも凄い。絶対のオススメです。

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