ルドルフとイッパイアッテナ

 これは、ひょんなことから長距離トラックに飛び乗ってしまい気が付くと見知らぬ街(東京の江戸川区)へと辿り着いてしまっていた黒猫ルドルフと、その街のボス的存在である“イッパイアッテナ”の物語。以前は飼猫だったイッパイアッテナは、飼い主がアメリカに引っ越してしまったため今では神社に住み着き色んな人間から食べ物を貰って生きているノラ猫だ(元の飼い主からは“タイガー”、猫の間では“ステトラ”、エサをあげる人たちからは“ボス”、“デカ”、“ドロ”などなど思い思いの名前で呼ばれているのだけど、初めて会った時にルドルフから「なんて名前なの?」と訊かれ「オレか?名前はいっぱいあってな・・・・」と答えたことから“イッパイアッテナ”という名前だと勘違いされ、そう呼ばれるようになっている)。イッパイアッテナは以前、飼い主から教わった“人間の文字を読めること”の重要性をルドルフに教え「これからノラとして生きていくには必要だ」と読み方を伝授。そんなある日、偶然に観ていたテレビの甲子園中継で「岐阜商業高校」の地元紹介VTRの風景に見覚えを確信したルドルフは自分の家が岐阜だと判明。しかし、そこまでの距離は程遠く・・・・。大好きな飼い主リエちゃんに会いたいルドルフのために知恵を絞るイッパイアッテナと近所の金物屋の飼猫ブッチーのアイディアで遂に家に帰れる方法を思いつくのだが・・・・。

 なんの捻りもなく物凄く単純で分かりやす過ぎなくらいの話なのだけど、なるほど、原作は斎藤洋の児童絵本なのだそう。絵本が元ネタの映画といえば、浜田廣介の「泣いた赤鬼」(1935年)を原作とした『friends もののけ島のナキ』(11年)とか、洋画だとモーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』(09年・スパイク・ジョーンズ監督)辺りが有名だろうが、本作はそれらに引けをとらないくらいの名作だと思う。なにせ監督は「ポケモン」シリーズの湯山邦彦と『ファイナルファンタジー』(01年)のCGディレクターである榊原幹典なのだから!原作である絵本は手にとったことすらなかったのでネットで見てみると“画的”に(個人的に)正直好きな感じではなく・・・・なのだけど、最新の技術を駆使した3Dアニメの映画化の方は何とも心地良い雰囲気に満ちた作風であった。物語はシリーズ第一作目「ルドルフとイッパイアッテナ」(87年)と続く「ルドルフともだちひとりだち」(88年)を足したものだろうか。他にも「ルドルフといくねこくるねこ」(02年)と「ルドルフとスノーホワイト」(12年)の続編が既にリリースされているのでそちらの映画化にも期待したい。

 実を言うと僕は猫が苦手だ(犬は大好きで飼っていたこともあるのだけど)。猫が近くにいるだけで、くしゃみ、鼻水、涙が止まらなくなる、いわゆる“猫アレルギー”というやつで。猫を飼っている人の車に乗ったりするだけでその症状が出たりするのでどうにも困っている。幼い頃はそうでもなかった気もするのだけど、そもそも猫と遊んだ記憶すらないので昔から本能的に猫が苦手だったのかもしれない。加えて「三日飼えば三年恩を忘れぬ」という犬に対し、猫は「三年の恩を三日で忘れる」という薄情さも苦手意識を持ってしまう一つの要素なのだけど、本当なのだろうか?だけど、本作のお陰で少し猫が好きになった気がしている。少なくとも「猫ってなかなか可愛いな」と思えるようになったので僕にとっては大きな進歩なのだ。夏休み、子供と一緒に観に行くにはオススメの一本。

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