スーサイド・スクワッド

 アメリカン・コミックスの実写映画化作と云えば、僕らが子供の頃(80年代)は『スーパーマン』シリーズ(78年~:クリストファー・リーヴ主演)が唯一の存在で、90年代は『バットマン』シリーズ(89年~:ティム・バートン版)くらいだったと思う。が、00年代辺りから『メン・イン・ブラック』シリーズ(97年~)や『ブレイド』シリーズ(98年~)、それに『X-メン』シリーズ(00年~)、『スパイダーマン』シリーズ(02年~:サム・ライミ版)などなど話題作が量産されだし、05年の『バットマン ビギンズ』からの「ダークナイト三部作」(クリストファー・ノーラン版「バットマン」)と『アイアンマン』シリーズ(08年~)の真打ちが登場して今に至る一大ムーブメントが確立。この流れは『アベンジャーズ』(12年)からのココ10年間くらい・・・正に今がピークじゃないだろうか。以前のアメコミ映画は「漫画をいかにマンガらしく実写化するか?」がテーマだったのだけど『バットマン ビギンズ』(05年)の登場により「原作が漫画だからこそ、いかにシリアスにリアルに描くか?」にシフト。それに伴い、それまで「ヒーロー VS 悪(ヴィラン)」というルール上でそれが分かりやすければ分かりやすいほど悪者をやっつけた時の爽快感ってのは大きかった定番の流れが、「善悪が微妙にハッキリしない」流れに。現実世界がそうなっているのだからリアル感を求めれば必然的にそうなるだろう。ココ10年で決定的に変わったこの2点が“アメコミ映画”が世の中の流れに乗り次々と大ヒット作を量産しているポイントだと思う。

 先述した「善悪がハッキリしない」という流れの中で公開された『デッドプール』(16年)は、世界平和とか愛とか正義とか、そんな事には全く興味がなくただただ自分自身のためだけに動く無責任ヒーローとしてR指定映画史上最高の大ヒットを記録!「こんなクソ映画が超特大ヒットを記録するなんて世も末だな・・・・」なんて思ったりもしたけれど、それを軽く超える“悪”映画が登場!それが本作『スーサイド・スクワッド』だ。「目には目を」「悪には悪を」ということで世界崩壊の危機に政府が考えたのが“死刑”や“終身刑”が確定している超極悪集団「スーサイド・スクワッド(=自殺部隊)」。任務に背いたり逃亡したりすれば自爆装置が作動するということで超極悪人をコントロールし、仮に任務に失敗して死んでしまったとしても、ま、それはそれで仕方無いってことで(そもそも死刑が確定していたのだから)。ヒーローにも頼めないリスクだらけの超危険な任務の為に結成されたチームが「スーサイド・スクワッド」なのだ。もはやヒーローでも無ければ“世界平和”とか“正義”とは真逆の「裏・アベンジャーズ」といったところか。

 「ヴィラン=悪者」の知名度ナンバー1と云えばやっぱりバットマンの宿敵“ジョーカー”だろう。89年のティム・バートン版『バットマン』では「総製作費の半分が彼のギャラ」と言われた超大物ジャック・ニコルソンが怪演。続くクリストファー・ノーラン版“バットマン”=『ダークナイト』(08年)でのヒース・レジャーは、伝説級のジャック・ニコルソン版“ジョーカー”からのプレッシャーも相まって私生活まで役作りにのめり込み、遂には自殺までしてしまったという映画史に残るキャラだ。そして(初代のシーザー・ロメロ含め)映画史上4人目となる“ジョーカー”はジャレット・レト。『シン・レッド・ライン』(98年)や『ファイト・クラブ』(99年)、『17歳のカルテ』(99年)に『アメリカン・サイコ』(00年)、『パニック・ルーム』(02年)など数々のヒット作に出演しているも正直あまり印象が無く・・・・(最近『ダラス・バイヤーズクラブ』(13年)で高く評価されていたみたいだけど、アレは完全にマシュー・マコノヒーの映画だし)。僕からしてみたらジャレット・レトと云えばキャメロン・ディアスやスカーレット・ヨハンソンの元カレという存在で「彼女らとヤッたのか?!そんなにカッコ良いか?実力もないくせに!」という下世話なイメージしかない。案の定、本作『スーサイド・スクワット』でのジョーカーはかなり酷評のようだ。観る前は「やっぱりジョーカーが主役だろ?」と思っていたのだけど、出演時間はトータル10分くらいか?実際にはボツになったシーンだけで余裕で一本作れるほど撮影はしていたそうで、その殆どがカットされてしまったらしい。ジャック・ニコルソンが『シャイニング』(80年)で確立させた「怖いイメージ」をそのまま“ジョーカー”に持ってきたように、ジャレット・レトもダーレン・アロノフスキーの『レクイエム・フォー・ドリーム』(00年)でのあのダークさを活かしていけば良かったのに、と思うのだけど。

 大物ヴィラン“ジョーカー”=ジャレット・レトのリタイヤにより本作の主役となるのが“デッドショット”演じるウィル・スミス。ヒーローのイメージが強過ぎてウィル・スミスがどうにも悪者には見えないのだけど、やはりその存在感は圧倒的だ。なのだけど、更にそれよりも“ハーレイ・クイン”演じるマーゴット・ロビー!『スーサイド・スクワット』という映画はもう彼女に尽きるだろう。ついこないだ『ターザン』(16年)で“ターザン”の愛する妻ジェーンを演じた彼女を見て「まだまだこんな魅力的な女優がいたのか」とハリウッドの奥深さを実感したばかりだが、あの人がこの“ハーレイ・クイン”か!と改めて驚いた。マーティン・スコセッシ監督の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)でレオナルド・ディカプリオの妻を演じて若干の注目を浴びてたけれど、今度こそこの二本(『ターザン』と『スーサイド・スクワット』)で大ブレイク間違いなしだろう。

 「アベンジャーズ・プロジェクト」を大成功させた“マーベル”だが、そもそも「アイアンマン」や「キャプテン・アメリカ」、「ハルク」なんかよりも「スーパーマン」や「バットマン」の“DCコミック”の方が我々日本人には馴染みがあったはず。にも関わらず完全に“マーベル”にリードされ「どうした“DCコミック”?!」と思っていたけれど・・・・「アベンジャーズ・プロジェクト」と同様“クロスオーバー作品(複数の物語を同一の世界観で描く)”「DC エクステンデッド・ユニバース」として“DCコミック”が遂に始動!本作『スーサイド・スクワット』は『マン・オブ・スティール』(13年)、『バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生』(16年)に続く第3作目となるプロジェクト作だ。来年公開されるガル・ガドット扮する「ワンダー・ウーマン」(『バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生』にも登場)を経て「ジャスティス・リーグ」(来年公開予定)で全てのキャラが集結!個別の登場キャラ的には「アベンジャーズ」を超えると思うのだが・・・・とにかく楽しみに待とう。あ、あと“ハーレイ・クイン”の単独作もできればいいのだけど・・・・。

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