ザ・ギフト

 仕事の関係でカリフォルニア州の郊外に引っ越してきたサイモンとロビン。なかなか子宝に恵まれないということを除けば、仕事も順調で金回りもよく人が羨むような夫婦だ。そんな順風満帆な日々を新しい地でスタートさせたある日、とある地元のスーパーで偶然にもサイモンの高校時代の同級生ゴードンに再会する。正直、サイモンは相手が誰だかすぐに思い出せないくらいに忘れていたのだが、社交辞令的に挨拶を交わしその場をしのぐことに。が、翌日に帰宅すると玄関前にギフトカード付きのプレゼントが置いてある・・・・昨日再会したゴードンからだ。そこまで親しい間柄だったか?・・・っていうか、何故うちを知っている?少し不審に思うも有難く贈り物のワインを戴く二人。しかし、その後も彼からの“ギフト”は続き、とうとう「すぐ近くまで来たから」とちょいちょい訪問してくるようになる。別に迷惑をかけてくるワケでもなく、どころか、いつもちょっとした“ギフト”を持ってきてくれるので無下にはできない(時にはテレビの修理までしてくれて、しかもその際に出たゴミを持ち帰ってくれるほど親切だし!)さぁ、どうしたものか・・・・

 冒頭の、新しい家に引っ越してきた時の雰囲気(カメラワークか?)から、なんだかメチャクチャ心細く不安にさせられ、ぐいぐい映画に惹き込まれるのだけど、ゴードンがついに家に訪問してきた辺りで「なるほど、こいつが段々と暴走してきて最後は修羅場の決闘を迎えるのだな」と先が読めてつまらなくなった。この手の映画をどれだけ観てきたと思ってるのだ、「年季の入った“映画好き”をなめるなよ」と。・・・・が!この映画が本当に凄い(面白い)のはこっからなのだな。「・・・・あれ?そうなの?」「いやいやいやいや、それは無いでしょ!?」という怒涛の転回にパニックになるほど!で、タイトルの持つ本当の「ギフト」の意味が明らかになった時、誰もが絶対にゾッとするはず。後味悪い~!

 この手の“サイコ・サスペンス”の絶対条件とも言えるのが「登場人物の最小限さ」なのだけど、本作もほぼ3人だけの物語で描かれている。で、決め手は何と言っても“ゴードン”役のジョエル・エドガートン!途中の三分の一くらいは全く出てこなくなるのだけど、この不気味な存在感は凄い!最近では、ジョニー・デップやベネディクト・カンバーバッチらと共演した『ブラック・スキャンダル』(15年)が記憶に新しいが、『ゼロ・ダーク・サーティ』(12年)とか『華麗なるギャッツビー』(13年)の印象が強い(あ、あとルーク・スカイウォーカーの育ての親“オーウェン”の若い頃を演じた『スター・ウォーズ エピソード 2』(02年)『3』(05年)とかの)あの人だ。監督も兼ねているので、この映画は正に「ジョエル・エドガートン映画」だと云えるかもしれない。で、対する“サイモン”にジェイソン・ベイトマン。今まで、『ドッジボール』(04年)とか『ハンコック』(08年)、『宇宙人ポール』(11年)に『モンスター上司』(11年)などなど、コメディ色の強い俳優だと思っていたので、本作のシリアスな役どころが斬新だった。そして、その嫁に『トランセンデンス』(14年)で主演ジョニー・デップの妻を演じたレベッカ・ホール。

 前に、映画評論家によるレビューをまとめた(多分、世界で一番有名な映画サイト)“ロッテン・トマト”で、なんと満足度93%!という脅威の高評価を獲得した~というニュースを見て「絶対観たい!」と思っていたのだけど、同時に「ま、でもこの手の映画はきっと鹿児島では劇場公開されないんだろうな、残念ながら」とも思っていた。だからDVDまで待つしか無いと。が、やってくれました~!流石「テンパラ」!ココ鹿児島では「天文館シネマ パラダイス」のみの上映だそう。今までは絶対やらなかったであろう『神様の思し召し』とか『ドント・ブリーズ』、更には『オアシス:スーパーソニック』みたいな映画までココ鹿児島で(劇場で)観れるようになったのだな。後は僕ら“映画ファン”がどれだけそこに賛同できるかどうか?「テンパラを応援したい!」という上辺だけの思いではなく、「この環境を守りたい」という純粋な“いち映画ファン”として、なるだけテンパラに足を運びたいと思っている。中学一年生の長男が、観たかった『ファンタスティック・ビースト』に友達を誘ったら「映画代が勿体無い、そのうちテレビでやるでしょ?」と言われたと嘆いていたけど、我々大人たちにもそんな感じがあるんじゃないだろうか。何度も言うけれど、映画館で観るのとテレビで観るのは全く別モノであり、特に「趣味は映画」とか一度でも言ったことのある人は「観たいけど、いずれテレビでやるし~」とは絶対に言ってはいけない恥ずかしい言葉だということを認識して頂きたい(笑)。あ、アキサン、なんと『高慢と偏見 とゾンビ』もテンパラでやるそうだよ~!

一番上にもどる      ホームヘもどる