T2 トレインスポッティング

 webマガジンCROWDで毎月2本の新作映画を紹介しているココ“Go to Theaters”は10日と25日が更新日になっているので劇場公開日と公開期間も考慮して映画のチョイスを考えなければいけない。で、今回は本来であれば4月21日公開の『美女と野獣』の予定だったのだけど、いやどーしても『T2 トレインスポッティング』をやりたかったのだ。鹿児島ではミッテ10でのみ公開される本作。この手の単館系は鹿児島では全国に遅れて数ヶ月後とかに公開されたりするけれど、なんと本作は時間差無く日本公開日である4月8日に公開!流石はミッテ!・・・なのだけど、前回10日の回は同じく8日公開の『ブルーハーツが聴こえる』が随分前から決まっていて担当者と打合せ等も終わっていたので変更できず・・・かと言って25日の回では公開日から時間が経ち過ぎているしヘタしたら公開が既に終わっているというリスクも多大(しかも単館系だしその確立は更に大きい!)だけどやっぱどーしてもコレはやっておきたかったのだ。例え劇場公開が終わっていたとしてもセルやレンタル等で一人でも多くの人に観てほしいし、特に“トレスポ・ファン”の人には絶対に観逃してもらいたくなかったので。因みにいつくらいまで公開予定なのかミッテにいる友人Y氏に事情を説明して訊いてみたら「そういうことならなるだけ続映できるよう調整してみる」とのことだったが、とは言っても観客が入らなければそうもいかないだろうからこの劇場で観れる貴重な期間に早目に足を運んで頂きたい。

 ドラッグ中毒の若者をスタイリッシュに描いた『トレインスポッティング』(96年)はその名曲揃いのサントラも相まって正に“一世を風靡し社会現象にまでなった”名作だ。とにかく、主演のユアン・マクレガー(マーク・レントン)はじめ、ロバート・カーライル(ベグビー)、ジョニー・リー・ミラー(シック・ボーイ)、ユエン・ブレムナー(スパッド)、トミー(ケヴィン・マクキッド)、それに紅一点のダイアン(ケリー・マクドナルド)といった登場人物がみんなとんでもなく魅力的&個性的で、もうその画だけで充分にカッコ良くシビレたものだ。舞台はスコットランドのエディンバラ。ドラッグを離れ自分の人生を選ぼうと、地獄のような麻薬治療を受けてなんとか立ち直ったマークは全てをやり直すためにロンドンに引越し仕事に就く。が、彼のもとにシック・ボーイら悪友たちが転がり込んできて・・・・追い返せばいいものを、そんなことはできない。だって友達だから。で、仕事どころではなくなって結局またドラッグへ。まぁ、こいつらと一緒にいればずっとこのままなワケだ。そんなある日、彼らは大量のドラッグを闇取引でさばき大金を手にするのだが、マークは今度こそ彼らと手を切り人生を再出発させるため一人で金を持ち逃げする・・・・。

 僕が生まれて初めて買った映画がこの『トレインスポッティング』だった。VHSで1万円くらいしたと思う。あまりにも好き過ぎてレンタルでは飽き足らず、いつでも手元に置いておきたかったのだ。あれから20年。まさか『トレインスポッティング』の続編があるなんて誰が想像しただろう。っていうか、そもそもあの“若気の至り”的青春映画の金字塔の続編なんて作ったらダメじゃないかとすら思うのだが。きっと、続編の噂を聞いたトレスポ・ファンの誰もが「マジか?すげー!やったー!」と歓喜したと同時に、大好きなトレスポの世界観をぶち壊しにされるような残念感も少なからずあったはずだろう。 

 そして本作『T2 トレインスポッティング』は、離婚して無職&無一文になったマークが20年ぶりにエディンバラの実家に帰ってきて、かつての悪友たちに再会する、という物語。あのクソガキ共は20年経った今どうしているのか?勿論更正しているはずもなく、ベグビーは服役中(脱獄中)で、シック・ボーイは盗撮ゆすりをメインに怪しいパブを経営、スパッドは更なるダメ人間になり自殺未遂中・・・・まぁ、ろくでもない。20年前は“若気の至り”だと言い訳もできたが、今となってはもう筋金入りの悪なのだから更に質が悪くなっているのだ(唯一、ダイアンだけは立派なキャリアウーマンな感じになっていたが)。なのだけど、やっぱ最高にカッコ良いのだなぁ~・・・そう、本作の最大の魅力は登場人物が全て同じ俳優だってこと!加えて、なんと監督もダニー・ボイルだし、脚本もジョン・ホッジで。とにかく全てが前作と同じキャスト・スタッフで作られているのだ。で、劇中“イギー・ポップ”の「Lust For Life」とか、“Underworld”の「Born Slippy」なんかも「ココ!」というタイミングで流れてくるのでグッとくる。やっぱ、トレスポと言えばその音楽も魅力だったワケで。勿論「T2」のサントラもまた素晴らしく、「Lust For Life」の“The Prodigy Remix”とか入ってて映画同様にヴァージョンアップしているのでトレスポ・ファンならばコレも押さえておかなければいけないだろう。

 前作では「Choose your future」という宣伝文句が有名になったほど、「人生を選べ、仕事を選べ、キャリアを選べ、家族を選べ、バカでかいテレビを、洗濯機を、車を、CDプレイヤーを、電動缶切りを選べ(途中割愛)・・・・自分の未来を、人生を選べ!」というマーク・レントンのセリフにガツン!とやられた人も多いだろうが、今回は「Choose life」!「生き方を選べ、友達を選べ、付き合う人間を選べ、上司を選べ、仕事を選べ、携帯電話を選べ、音楽を選べ、Facebookを、Twitterを、Instagramを、周りに流されるな(途中割愛)・・・・自分の未来を、人生を選べ!」と、レントンがヒロインのヴェロニカにレストランでまくし立てるシーンがあり、コレがまた最高にシビレる名シーンだ。ヴェロニカ役のアンジェラ・ネディヤコバが涙目になり絶句するのだけど、実はこのシーン、監督のダニー・ボイルとユアン・マクレガーが急遽入れたセリフなのだそうで、現場に居合わせたキャスト・スタッフは全員知らずに鳥肌モノだったという。そりゃそうだ、20年前のあの名シーンを同じ人から再現されたら誰だって泣くだろう。しかもマークとそれを演じるユアン・マクレガーの実年齢や経験値等を考慮すると、前作のそれよりも圧倒的な説得力があるのだなぁ。彼は既に未来を選べなくなっているから。この説得力は凄い。「人生を選べ」・・・これはベグビーと息子との関係にも直結してて(スパッドとその家族も同様)実に奥が深いのだ。20年ぶりの彼らの再会シーンがいちいち最高だし(特にマークとベグビー!)、“トレインスポッティング”の名前の由来となったベグビーの切なすぎるエピソードもまた最高!

 本作は過去の話しが回想シーンとして描かれて前作を観ていない人も楽しめるようにできているのだけど、僕みたいにトレスポが好き過ぎた人間にとっては前作の名シーンの数々がまた大画面で観れるのに併せ、イギー・ポップやアンダーワールドのあの名曲らも流れるのだからその相乗効果からか、自身がトレスポにハマっていた24~5歳の頃の“若気の至り”的エピソードもふと生々しく思い出したりして何とも複雑であった。で、それにシンクロするように、マークが20年ぶりに帰ってきた実家で父親から「部屋はそのままにしてある」と言われ懐かしい部屋に入りレコードをめくるのだ。そこでイギー・ポップの「Lust For Life」のレコードを見つけターンテーブルの上に針を落とすも・・・・イントロのたった一音で「やっぱダメだ!」とばかりに針を上げるシーン!僕的には映画史に残るであろう超名シーンだと思う。こうなったらもう本作『T2』を描くために前作があったのではないかと思うくらいで。やっぱ「トレスポ」カッコ良い~!ホント最高です!

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