LOGAN/ローガン

 先日、毎年恒例の健康診断を受けてきた。高校時代から僕の身長はずっと“170.2”なのだけど(身長が低いことにコンプレックスがある僕にとってはたった“2ミリ”でも170を超えていることが重要なのだ)しかし去年の検診で“169.4”に。何が原因で8ミリも縮んだのか?僕にとって170を切ったことは大事件だったのだけど「きっと機械の故障とか、何かの間違いだろう」と流していた・・・が、今年の検診では“168.2”!なんだ?何故縮む?!去年の教訓を活かし、むしろ背筋を伸ばして挑んだのに!オレは何かの病気なのか?と不安に思うも診断結果では「飲み過ぎ」としか言われず・・・・身長にコンプレックスを持つからこそ「背が縮んだのは何かの病気ではないのですか?」と聞けず仕舞い。そんなことってあるのだろうか?「もしかしたら僕はDNAが突然変異したミュータントの一人なのかもしれない」という不安と同時に「だとしたら、そのデメリットとの引き換えに何かのメリット(能力)が開花したはず」というワクワク感も否めないのだ。

 本作『ローガン』は(多分、僕の仲間であろう)ミュータントを描いた「X-MEN」シリーズ10作目となる最新作で、その中の主要キャラ“ウルヴァリン”を主人公に描かれたスピンオフ企画の3作目となる。ココでシリーズをざっとおさらいしてみると、00年の『X-MEN』に始まり『X-MEN 2』(03年)、『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』(06年)、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(09年)、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11年)、『ウルヴァリン:SAMURAI』(13年)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(14年)、『デッドプール』(16年)、『X-MEN:アポカリプス』(16年)を経ての『ローガン』なのだそう。こうしてみると、いかに『デッドプール』が異端児なのかが改めてよく分かるのだが、僕は個人的にこの「X-MEN」シリーズは殆ど観ていないことに気付いた。同じ“マーベル”である『アイアンマン』(08年~)をはじめとした『アベンジャーズ』シリーズ(12年~)は大好きで、スピンオフ作も含め全部劇場で観ているのだけど。しかし「X-MEN」シリーズに関してはあまりにも漫画チック&現実離れし過ぎていてどうにも観る気にはなれなかったのだ。だからこの『ローガン』にしても「アメコミ映画の常識を突き破る衝撃作!」とか云われ世界80カ国以上で次々とNo,1となる超特大ヒットになっているニュースを見ながらも、やはり僕は観に行くつもりはなかったのだ。が!僕にとってそのきっかけとなったのがポスターの右下に小さく書かれた“R15”の文字!この一点に尽きた。アメコミ映画なのに“R指定”?!親と一緒でも15歳以下は観れないのか?!ウルヴァリンなのに?・・・・にも関わらずこれだけの大ヒット?!本当に「アメコミ映画の常識を突き破る~」じゃないか。『デッドプール』に続き、この人気キャラまでもR指定で持ってくる「X-MEN」シリーズ。一体このシリーズは何処に向かおうとしているのだろうか。きっと「アベンジャーズ」シリーズとはまた違った路線を行かせようとするマーベルの新たな挑戦なのだろう。

 舞台は2029年。この25年間、新たなミュータントは発見されずすっかり絶滅したかにみえる世の中で、かつてのヒーロー“ウルヴァリン”は今では“ローガン”と名乗り、ひっそりと車の運転手をして過ごしている。他のミュータントが絶滅してもその圧倒的な治癒力で長生きをしているのだ。しかしそれでも確実に身体に迫る“老い”には敵わず、車上荒らしのチンピラどもを倒すのもやっと・・・。一方、かつてのミュータントの神“プロフェッサーX”はアルツハイマーに侵され発作に怯える毎日を送っていたのだが、そんなある日、二人の前にとんでもないパワーを秘めた新種のミュータント“ローラ”という少女が現れる・・・という物語。言ってみれば、キレたら何をしでかすか分からないアル中のおっさんと、他人に全く心を開こうとしない凶暴な女の子、それとボケ老人の3人の逃避行を描いた映画なのだ。どうだろう?メチャクチャでしょ?設定だけで言えば最早アメコミものでは無いと思うのだが。しかも全く取り返しのつかない、ある意味致命的ともいえるラスト。「こんな終わり方をしたらシリーズはもう続けられなくなってしまうじゃないか」と思うも、なるほど、今までも時間軸を無視したオムニバスのような続編を展開してきたこのシリーズだからこそ成立するのだろう。

 「X-MEN」シリーズはあまりにも漫画チック&現実離れし過ぎていてどうにも観る気にはなれなかった・・・・と、先述したけれど、改めて考えてみるとこのシリーズの本質は突然変異のミュータントに生まれた種族が、普通の人間とどう辻褄を合わせて共存していくか?の葛藤やその世の中の社会的問題を描いているのだな。しかも結局、人間に淘汰されていくという流れは実にリアルでシビアな物語なのかもしれない。本作『ローガン』がこれだけ暗くて切なく重たいのは「排除される側」の立場から描かれているからだろう。まるで未来を舞台にした西部劇のような重厚感。むしろアメコミ映画には全く興味の無い方にこそ是非観て頂きたい。が、結構グロいし倫理観の問題もなかなか大きいので、本作が「R指定」なのをお忘れなく!

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