猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)

 70年代生まれの僕ら世代にとってはきっと知らない人はいないであろう「猿の惑星」。僕が小学生の頃テレビでよくやっていたのだけど、何故だか68年の第一作目『猿の惑星』だけは21時からの「金曜ロードショー」とか「土曜洋画劇場」とかでやたらとやっていたにも関わらず、その続編である『続・猿の惑星』(70年)、『新・猿の惑星』(71年)、『猿の惑星・征服』(72年)、『最後の猿の惑星』(73年)は23時とか24時とかからの深夜にやっていたのが今思うと不思議だ。とにかくあのラストシーンが衝撃的でインパクトがあり過ぎたため第一作目ばかりが取り沙汰されるけれど、いやしかしこの全5部作からなる「猿の惑星」という一大サーガは全作通して本当に凄い映画(物語り)なのだ。因みに僕個人的には三作目の『新・猿の惑星』(71年)が一番のオススメ。

 この映画史に残る「猿の惑星」サーガとはどんな物語なのかを超ざっくりとおさらいすると・・・・長い宇宙飛行の旅から地球へ帰還しようとしていた4人の宇宙飛行士が突然の宇宙船トラブルにより謎の惑星に不時着。地球とよく似た環境なのだが、何とそこは知能の高い“猿”に支配され人間が奴隷のように扱われている「猿の惑星」だった。猿VS人間というだけではなくミュータントも絡み三つ巴の大決戦の末、地球は消滅・・・が、高度な知能を持つ猿のコーネリアスとジーラは宇宙船で脱出し1973年(映画公開当時の現代)へとタイムスリップしてくる。当然ながらそこは人間が支配していて立場は大逆転に!で、色々とあってコーネリアスとジーラは人間に殺されてしまい、彼らの息子シーザーは人間への復讐を決意する。やがてシーザー率いる猿の反乱軍は人間との核戦争にまで発展し、遂には人間を支配するようになる。という、単なるSFモノではなく、当時のアメリカが抱えていた人種差別という問題や政治的な圧力なども連想させる内容に加え、結局最後は一作目に繋がってしまうというループ感が絶妙であった約7時間強の壮大な物語だ。

 それから約30年もの月日を経て遂にこの名作が最新の映像技術でリメイク!したのが、01年に公開された『PLANET OF THE APES /猿の惑星』だ。監督は、マイケル・キートン版「バットマン」(89年~)シリーズや『マーズ・アタック!』(96年)、『スリーピー・ホロウ』(99年)などの異色作で当時売れに売れていたティム・バートンで、大スターのマーク・ウォールバーグを主演にその脇を実力派俳優ティム・ロスやヘレナ・ボナム=カーターが固め、更には旧「猿の惑星」シリーズで主役のテイラー船長を演じていた大御所チャールトン・ヘストンまで出演という超豪華スタッフ&キャスト!しかも単なる旧シリーズのリメイクではなく、設定と世界観だけを受け継いだ完全オリジナルの物語。いわゆる“リメイク”ではなく“リ・イマジネーション”という映画なのだけど、この“リ・イマジネーション”という言葉が初めて付けられたのが本作だったのだ。そんな色んなハードルが高過ぎたのか?一般的には物凄く評判が悪く残念な結果に・・・。いや、でもこの一本でも独立して充分楽しめるので個人的には大好きな映画なのだけど。

 それから更に10年。やはり同じくその設定と世界観だけを受け継いだ完全オリジナルとしての三部作「猿の惑星」が誕生!前作『PLANET OF THE APES /猿の惑星』(01年)が大ゴケした為か?“リ・イマジネーション”という言葉ではなく”リ・ブート”という新たなキャッチコピーをも生み出した意欲作が『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(11年)だ。そして『新世紀(ライジング)』(14年)に続き完結編になるのが本作『聖戦記(グレート・ウォー)』。なので、出来ればこの過去作二本を観直してから劇場に足を運んだ方が圧倒的に楽しめると思う。粗筋としては、製薬会社に勤めるウィルはアルツハイマーの治療薬の開発のため、チンパンジーの“ブライトアイズ”で実験中に(その副作用として)知能を高めることを発見する。が、知能が高くなり過ぎたブライトアイズは人間に射殺されてしまい、ウィルは残されたブライトアイズの子猿を“シーザー”と名付け密かに育てることに・・・・やがて高度な知能を身に付けたシーザーは仲間と共に人里離れた山奥で暮らしていたのだが、猿に高度な知能を与えた“ALZ113”というウィルスが人間界でパンデミックに発展し、人間は絶滅寸前にまでなってしまう。人間との争いを避けたい猿のリーダー“シーザー”と、なんとか猿を絶滅させたい人間“ドレイファス”の争いは日に日に対立を増し、地球上の主導権を賭けた大決戦が始まろうとしていた・・・・・そして本作『聖戦記(グレート・ウォー)』だ。もうタイトル通り、遂に始まった猿VS人間を描いた「三部作のクライマックス」といったところだろう。旧作でお馴染みの“シーザー”や“コーネリアス”とかの名前の猿がでてくるのだけど、シーザーはコーネリアスの息子だったはずだけど、新作ではその逆でコーネリアスがシーザーの息子で・・・いや、もしかしたら自分の親の名前を子供に付けたのか?とか。他にも明らかに旧作に出てたオランウータンやゴリラも出てくるし、更には記憶喪失の女の子が「私は誰?」「ノヴァだ」・・・・・ノヴァ?!あの“ノヴァ”が彼女なのか?とか、意識し過ぎると混乱してしまうのだけど、これはもう旧作シリーズとは全く関係ないと思った方がいいかもしれない。

 68年の第一作目に続く三部作ということなのだけど、そもそも旧5部作が先述したように周り回って第一作目に繋がるオチなので、本シリーズはパラレルワールド的な?「ややこしいなぁ・・・」と思っていると、当初「三部作」だと公表されていたのだけど、本シリーズの大ヒットを受けて更なる続編も既に決定しているそうで・・・いやホントややこしい。ちょっと長過ぎる(無駄なシーンがある)感もあるけれど、このシリーズを改めて熟知しようとすれば、きっと無駄なシーンは一つもないのかもしれない。とにかく面白かった。

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