IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

 僕は映画と本が大好きなのだけど、実はスティーヴン・キングの小説を読んだことがない。自分でも「一冊も?いやいや、スティーヴン・キング読んだことないくせに『映画と本が好き』って公言できるの?」って思う。その代表作的なのを少し挙げただけでも『キャリー』(76年)、『シャイニング』(80年)、『クリープショー』(82年)、『クジョー』(83年)、『炎の少女チャーリー』(84年)、『スタンド・バイ・ミー』(86年)、『バトルランナー』(87年)、『ペット・セメタリー』(89年)、『ミザリー』(90年)、『ショーシャンクの空に』(94年)、『グリーンマイル』(99年)、『ドリームキャッチャー』(03年)、『ミスト』(07年)、『セル』(16年)・・・・などなど、映画ファンなら誰もが知ってる感じのタイトルが網羅してるのだけど、僕にしてみれば「だからこそ」なのだ。彼の作品はほとんどが映画化されていて(それくらい傑作だってこと)その映画を全部観ているため物語を知ってしまっている僕はどうにも改めて読む気になれないのだ。

 彼の小説の中でも一番の大傑作ホラーだと云われている86年の「IT(イット)」。90年に一度映画されているのだけど、そのリメイク作というか二度目の映画化作となるのが本作『IT/イット“それが見えたら、終わり。』だ。もっと言えば、90年の作品は元々はアメリカで3本のテレビドラマとして製作されたものを日本では一本にまとめて映画化されたものなので、正確には今回が初映画化となるのかもしれない。3時間以上にも及ぶ長尺で(TVドラマをまとめたので仕方ないのだが)中だるみも否めない前作が正直イマイチだった為か映像化作品は世間的にかなり過小評価されているようだけど、いや、子役はまぁ良いとして、大人になった時の役をちゃんとした俳優にして後半のいかにもな“作り物”とその倒し方をどうにかし、更に50~60年代の音楽でも全編に流せば『スタンド・バイ・ミー』(86年)以上の大傑作にもなったんじゃないかと思うのだ。っていうか、コレはスティーヴン・キングが本当に描きたかった『スタンド・バイ・ミー』の完成版じゃないか(実際の同じようなエピソードが出てくるし)と。

 アメリカ・メイン州デリーの田舎町で次々と子供が失踪する事件が起こる。そんな中、いじめられっ子の集まりで結成される中学生グループ“ルーザーズ・クラブ”の面々はピエロの格好をした恐ろしい“IT”をそれぞれが目撃していた。「あいつが犯人なのか?」弟が失踪しているビルを中心に“IT”を探すことに・・・・という、物語的には思春期の子供たちが冒険することで難題を乗り越え大人へと成長して行く、正に『スタンド・バイ・ミー』的な感動作なのだけど、そこに“ペニー・ワイズ”というガチでヤバいヤツが出てくるので一気にホラー要素に振り切るのだな。

 「IT」の元ネタとなったのは、72年から78年の6年間の間に30人以上を殺害した(しかもその殆どは未だ幼い子供)ジョン・ゲイシーという実在する殺人鬼で、日頃、子供たちを楽しませるため(油断させるため)ピエロの格好をしていため“キラー・クラウン”と呼ばれる、ジェフリー・ダーマーやテッド・バンディと並び“猟奇殺人”史上歴史に残る異常な存在だ。ちょっと前、ココ鹿児島でも目撃情報があったりとネットを中心に話題になった“殺人ピエロ”の元ネタがこいつなので、正に今が映画化のベストタイミングと言えるのかもしれない。あ、しかも、劇中「27年に一度現れる」という設定なのだが、奇しくも今年は前作からちょうど27年目ってのも偶然だろうか?

 そもそもが6冊にも渡る超長編小説の映像化なので、先述したようにそれが長尺になるのは否めないのだけど、前作のように登場人物7人を一人一人“現在=大人”から回想シーンで丁寧に子供時代を振り返るという描き方ではなく、本作は潔く子供時代だけの物語で完結しているのが実に分かり易く、興業的にも大ヒットした要因だと思う。が、しかし「大人になった“あの時の子供たち”が再集結して魔物に立ち向かう!ってのが本作の醍醐味だろう?」という往年のファンもご安心を。本作の成功のお陰で後半の続編も決定したようだ。いやぁ~、今すぐ観たい!物凄いオススメ映画なのだけど、相当に怖いので覚悟して挑んでいただきたい。勿論、R指定。

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