オリエント急行殺人事件

 ポワロが乗ったオリエント急行の一等車に宿泊していたアメリカ人“ラチェット”が死体で発見される。その前日にラチェットから「命を狙われている」と護衛を相談されたにも関わらず彼への嫌悪感からこれを断ったことに罪悪感を抱いたポワロは車掌のピエールと共に犯人探しに乗り出すのだが、殺されたラチェットは実は大悪党だったことが判明。彼のはたらいてきた悪事を思えば殺されても致し方ないのだが、そうは言ってもやはり殺人を見逃すワケにはいかず・・・。捜査を進めていくうち、犯人は一等車両内に宿泊している誰かだというところまで絞られる。が、一等車の乗客には全員、完璧なアリバイがあった・・・・

 39年に発刊された「そして誰もいなくなった」と並びアガサ・クリスティの~というより“ミステリー”の代表作とも云える「オリエント急行殺人事件」(34年)。名探偵エルキュール・ポワロが活躍するポワロ・シリーズの8作目にしてその代表作である本作は今回で何度目の映画化なのだろう?と調べてみると意外にもまだ二本目なのだな。世界各国で幾度となくテレビドラマ化されていて、これだけ面白い原作があるにも関わらず映画史的にはまだ2回目というのは本当に意外な気もするのだが、74年に一度だけ映画化された前作があまりにも名作過ぎた為に更なる映画化(リメイク)にハードルが高過ぎたのだろうか。なにせ巨匠シドニー・ルメットが一番ノリに乗っていた時期である『セルピコ』(73年)と『狼たちの午後』(75年)の間に撮った作品で、ポワロ役のアルバート・フィニーを筆頭にアンソニー・パーキンスやショーン・コネリー、イングリッド・バーグマンといった主役級の俳優を揃えているのだから今考えても相当の名作だと思う。

 で、あれから43年、原作が発表されてからは実に83年ぶり(!)となる最新作が本作『オリエント急行殺人事件』だ。先述した「前作が傑作過ぎてハードルが高過ぎるか?」といった不安を拭うにはこれだけのキャスト・スタッフで挑まなければいけないと言えるくらいの超豪華さ!監督&主演であるケネス・ブラナー(最近だと『マイティ・ソー』(11年)や『シンデレラ』(15年)なんかが記憶に新しいだろうか)を中心に、ジョニー・デップにペネロペ・クルス、ミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ウィレム・デフォー、更には新「スター・ウォーズ」シリーズのヒロイン“レイ”を演じたデイジー・リドリーなどなど、出演者のギャラだけで一体幾らするのだ?というくらい。近年これだけのキャストが揃った映画もなかなか無いだろう。

 当時の豪華列車での美味しそうな食事やお酒、サービスを満喫する旅を楽しみながら、極上のミステリーを堪能できる贅沢な一本。デジタルではなくフィルムで撮ったどこか懐かしい映像も魅力だし、誰が犯人なのか知っている(って言うか物語自体を知っている)人にも十二分に楽しめる超豪華俳優陣による演技合戦。本作のラストから分かるように次作予定はポワロ・シリーズ15作目となる「ナイルに死す」(37年)なのだろうけど、本作の大ヒットのお陰で既に制作が決定したのだそう!楽しみ~

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