ジオストーム

 アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領が地球温暖化による危機を訴えた『不都合な真実』(06年)を覚えているだろうか。この映画のお陰で“地球温暖化”という言葉が世界中に浸透し、ゴアが環境問題啓発に貢献したとしてノーベル平和賞を受賞するきっかけとなった問題作だ。先日その続編『不都合な真実2 放置された地球』(17年)を観たのだけど、あれから10年、問題は改善するどころか更に深刻なものとなっていて、ここ最近毎週のように世界の何処かで起こっている異常気象災害はこの地球温暖化を依然ほっといている為なのだという。確かにアル・ゴアが極論に走りすぎている感は否めないし、世界中の全ての自然災害が温暖化によるものだとまでは思わないけれど、気候変動問題が地球にとって重要なことなのは間違いないだろうし、劇中に描かれた異常気象や災害、詳細なデータ等は見ていて本当にゾッとした(個人的には、にも関わらずアメリカ=ドナルド・トランプ大統領がパリ協定を離脱したことをゴアはどう見ているのだろう?ってのが一番気になるところだったが)。

 2019年に壊滅的な自然災害が世界中で相次ぎ(設定が来年!)それに対処すべく世界18ヶ国が共同で開発した“ダッチボーイ”。コレは気象をコントロールする人工衛星を地球上に配置し天気さえも人間が管理してしまおうという画期的技術だ。そして2022年、アフガニスタンの砂漠の中にある村で一区画だけが人間ごと凍り付いている謎の事件(事故?)が発生。調査の結果、それは気象コントロール衛星“ダッチボーイ”の不具合だということが判明するのだが・・・・ってのが『ジオストーム』の粗筋だ。そのトレーラーを観て貰えば分かる通り本作は異常気象のパニックを描いた物語なのだけど、先述した『不都合な真実』のように環境問題に焦点を充てたものではなく、どちらかと言えば“機械=AI(人工知能)”の暴走を描いた『ターミネーター』シリーズ(85年~)に近いかもしれない。でも、かと言ってAIが人間の知能を越してしまう“シンギュラリティ問題”を描いた奥深さもなく・・・・要は「そんな面倒臭いことは考えないが」っていう単純な超娯楽作だ。二転三転する「一体誰が黒幕なのだ?!」という(でも単純明快な)謎解き具合に加え、多分予算の8割を“異常気象の映像”に使ったであろうその結果は良い方にも悪い方にも両極端で(決して皮肉ではなく)「最高級のB級映画だ!」と賛辞を贈りたい。(それにジェラルド・バトラーに、アンディ・ガルシアやエド・ハリスといった“かつての”大スターが大役を張っているのもいかにも「B級映画」感満載で素晴らしい~!)

 細かいことにいちいち突っ込まず、ビール飲みながらポップコーン片手に楽しんでいただきたい。「面白かった~!」と余韻に浸りながら帰宅し、でも寝る前は映画の荒筋を何も覚えていないという・・・それでいいのだと思う。それが“超娯楽作”の醍醐味だと思うので。最上級のB級映画を劇場の大画面&大音響で鑑賞する、最高の贅沢じゃないか。

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