スリー・ビルボード

 「Three Billboards Outside Ebbing Missouri」という原題通り、舞台はミズーリ州郊外にある田舎町“エビング”。その町の入り口にある閑散とした道路脇に突如「レイプされて殺された」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ?ウィロビー署長」と書かれた3枚の巨大な広告看板が建てられる。7ヶ月前に娘を殺された母親ミルドレッドが、なかなか犯人逮捕に至らない地元の警察に対して建てたものだ。この挑発的な看板に閉鎖的な田舎町のコミュニティーは崩れはじめ、物語はウィロビー署長の思いもよらぬ行動から更なる想像を絶する展開へと転がっていく・・・・。ミズーリ州と言えば、2014年に白人警官が黒人青年を射殺しそれが抗議運動から暴動にまで発展した“マイケル・ブラウン事件”の場所なので、なるほど、この町が舞台なのかとGoogle mapで場所を調べてみたのだけど、エビングという地は架空の町なのだそう。

 いや~マジでとんでもなく面白い映画だった。何と言っても主演のミルドレッドを演じるフランシス・マクドーマンドが最高!なんだか久しぶりに彼女を見た気がするけれど、かつては『ブラッド・シンプル』(84年)や『赤ちゃん泥棒』(87年)、『ミシシッピー・バーニング』(88年)、『ミラーズ・クロッシング』(90年)、『ファーゴ』(96年)、『バーン・アフター・リーディング』(08年)などコーエン兄弟作品の常連で(因みに今はジョエル・コーエンの嫁さん)、他にもサム・ライミの『XYZマーダーズ』(85年)だったりロバート・アルトマンの『ショート・カッツ』(94年)とかいったクセの強い映画ばかりに出ていた大女優だ。で、脇を固めるのがウディ・ハレルソンとサム・ロックウェル!濃ゆい!なんだろう、この世界観・・・・コーエン兄弟の『ファーゴ』を初めて観た時の衝撃を思い出した。殺人事件に加え人種差別問題も含み物語自体はかなり重たいのだけど、先日公開されたキャスリン・ビグローの『デトロイト』(17年)に比べ、こちらはブラックユーモアというかブラックコメディ的な要素も絶妙なタイミングとバランスで盛り込まれていて娯楽エンタメ作としても成り立っているのが凄いと思う。

 毎年恒例であるアカデミー賞の発表も近くなってきたのでザッとノミネートを見てみると、いや今年はなかなか面白そうじゃないか。まず、作品賞にジョーダン・ピールの『ゲット・アウト』(17年)とかギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』(17年)がノミネートされているってのが何だか異質で面白い。あの手の映画にアカデミー獲らせたらダメでしょ!って思うのだが(笑)本作『スリー・ビルボード』もノミネートされているようで、僕はノミネート作を全て観たワケではないけれど(って言うか『ダンケルク』と『ゲット・アウト』しか未だ観ていないけれど)作品賞はこの『スリー・ビルボード』が獲るんじゃないかと思う。あと、主演女優賞。本音は『シェイプ・オブ・ウォーター』のサリー・ホーキンスが受賞するような気がするけれど、希望としては是非ともフランシス・マクドーマンドに獲って欲しいな~。いやホント、物凄く面白い映画だった。オススメです!

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