ボス・ベイビー

   僕は今、中学校のPTA会長をしているのだけど(いつもなら「PTA」と言えば勿論「ポール・トーマス・アンダーソン」のことを指すが今回は「Parent Teacher Association」、いわゆる学校のアレだ)先日、とあるお母さんから「我が家では映画を観に行く習慣が全く無いので、この春休みに『リメンバー・ミー』を家族みんなで観に行ってみようと思う」と言われた。以前に僕がココwebマガジンCROWDで映画コーナーを書いているという話しをしたので、わざわざ前回の『リメンバー・ミー』を読んでくれたそうで、その流れでの会話だ。思わず「いや、中学生と行くのであれば絶対に『15時17分、パリ行き』がオススメですよ!小学生時代からの幼馴染3人組が偶然にも列車に乗り合わせた多殺テロ犯に勇敢に立ち向かうという実話の物語!しかも監督がクリント・イーストウッド!イーストウッド映画はハズレが無いです!」とか何とかまくし立てるところだったが、グッと堪えた。PTA会長としての立場で会話をするならば『リメンバー・ミー』が正解だろう。

   タイミング的に春休みということで、今回も家族向けの映画をご紹介したいと思う。黒スーツにブリーフケースを持ったおっさんのような赤ちゃんが「オレはボスだ」と言う奇想天外な『ボス・ベイビー』は「誰からも愛される赤ちゃん社会を築こう」というベイビー・コープ社と「子犬の幸福のために活動する」パピー・コーポレーションの企業間の争いを描いた物語だ(笑)まぁ、内容については書くだけ野暮なのでとにかく予告編を観て頂きたい。僕のようなおっさんでも思わず「可愛いぃ~」と言ってしまうほどメチャクチャ面白そうなのだ。この予告編、ある意味反則じゃないかと思う。

   で、映画についてはこれくらいにして、今回はちょっとその背景的なことに触れてみたい。本作はドリームワークス・アニメーションの34本目の作品となるのだが、実は日本では12年の『マダガスカル3』(24作目)を最後に劇場公開はされていなかったのだ。スティーヴン・スピルバーグとディズニー幹部であるジェフリー・カッツェンバーグ、それに“ゲフィン・レコード”のデイヴィッド・ゲフィンという3人の超大御所により94年に設立された映画制作会社“ドリームワークス SKG”。同時期、ピクサーが制作した『トイ・ストーリー』(95年)の世界的大ヒットに触発され、スピルバーグのアニメーションスタジオ“アンブリメーション”のスタッフで制作された『アンツ』(98年)の大ヒットを皮切りに『プリンス・オブ・エジプト』(98年)『チキンラン』(00年)と次々とヒット作を連発し、00年に子会社となる“ドリームワークス・アニメーション”を設立。以降、01年の『シュレック』、そしてその倍以上の興行成績を記録した『シュレック2』(04年)~『シュレック3』(07年)の看板作品を筆頭に『シャーク・テイル』(04年)『マダカスカル』(05年)『カンフー・パンダ』(08年)などなど大ヒット作を量産するも、一方、親会社である“ドリームワークス SKG”は“パラマウント映画”に買収され、それに伴い06年にパラマウントが“ドリームワークス・アニメーション”の配給パートナーとなるワケだが、思えばコレが不運の始まりだったように思う。11年にパラマウントが自身のアニメーション部門“パラマウント・アニメーション”を設立するにあたりドリームワークス・アニメーションの配給を終了すると発表し、更には『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』(12年)の大ゴケも相まって株価が急落。その後“20世紀フォックス”がその配給を引き継ぐも、フォックスの日本支社が元々アニメ市場には消極的だったために12年の『マダカスカル3』を最後に以降の作品は全て日本未公開となってしまうのだ。で、今回ドリームワークス・アニメーションがユニバーサル・スタジオの傘下になったことで、配給をユニバーサルが行うこととなり、久しぶりにココ日本でも公開!どころか世界に先駆けて最速公開されるというから嬉しい限りだ。

   またも個人的な話しだが、我が子の中で一番僕に見た目も性格も似ている小五の次男は、大の映画好きというところも似たようで、しょっちゅうappleTVで映画のトレーラー(予告編)を観漁っている。で、面白そうな映画を見つけてはhuluでそれを探し、そこに無ければ「コレ、観て(レンタルして)いい?」と訊いてくるのだけど、かなりの本数のトレーラーを観た挙句「観たい」と結論を出しているのだから彼が観る(観たい)映画は、いやホントなかなかのチョイスなのだ。しかも次男は一度観て面白かった映画はセリフを覚えるくらいまで何度も観返したがるので気に入った映画はレンタルではなく購入していて、僕も次男チョイス映画を楽しみに観ているのだが、中でもドリームワークス・アニメーションの『ヒックとドラゴン』(10年)と『ヒックとドラゴン2』(14年)は本当に面白かった。コレが日本では未公開だったというから勿体無い。

 

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