ピーターラビット

 『逆転無罪』という映画があった。元々は91年にイギリスで製作されたテレビドラマなのだけど日本では94年に劇場公開されたもので、『アメリカン・グラフィティ』(73年)や『ジョーズ』(75年)、『未知との遭遇』(77年)などで有名な往年の大スター“リチャード・ドレイファス”(最近の映画はちょっと思い出せないけど、まだまだバリバリ現役のはず)が主演の、実話を基にしたサスペンスものだ。内容については全く思い出せないのだけど、自宅でビデオを観ながら「とにかく無罪なんだろ?」「どうせ逆転して無罪なんだろ?」と映画に集中できなかったのを覚えている。前半はそこそこ面白かっただけに途中で「あ!そう言えばこの映画のタイトル・・・・」と気付いてしまったのだ。この邦題、絶対ダメだろう。

 それはそうと、多分、小学3~4年生くらいの頃だっただろうか?小学校で飼っていたウサギをこっそり持ち帰ったことがある。あまりにも可愛かったので独り占めしたかったのだ。ウサギなんて小屋の中に沢山いるので一匹くらい持ち帰っても誰も気付かないだろうと思っていたのだけど、翌日にはすぐに学校中に知れ渡り「一体、何処に消えたのだろう?」と話題になった。団地の裏にある駐輪所の片隅に置いたダンボール箱に入れてあるのだからすぐに見つかるのは子供でも容易に想像が付き、その夜にまたこっそりウサギ小屋へと返却しに行ったのは未でも初恋と同じくらいの甘酸っぱい思い出だ。

 両親を失ったウサギのピーターは、イギリスの美しい田舎町で画家を志すビアやたくさんの動物の仲間たちに囲まれながら幸せな日々を送っていた。そんなある日、隣の家に大都会ロンドンから潔癖で動物嫌いのトーマスが引っ越してきて、トーマスとピーターたちとの騒動が始まる・・・・という、イギリスの作家ビアトリクス・ポターの「ピーターラビット」という絵本を基にした映画なのだけど、意外にも初の実写版となるのだそう。ミッキーマウスはネズミだし、プーさんは熊。そしてジョージは猿だ。どれも気持ち悪いし怖いだろう。そこにきてピーターラビットはどうだ?わざわざ僕の思い出話を出すまでもなく、ウサギはただただ可愛い。1902年の初リリースから116年もの時を経て、初めての実写映画化ってのはピーターラビットが世間的に過小評価され過ぎだと思うのだがしかし、確かに僕は「ピーターラビット」という物語を何一つ知らなかったことにも気付く。

 既に続編(2020年)も決定したほど老若男女誰でも楽しめる大傑作で間違いなく面白い!映画の長さも95分と最近では珍しいくらいにコンパクトだし、鑑賞後の清々しさは映画史的にもトップレベルだろう。なのだけど、このオフィシャル・キャッチ「ケンカするほど、好きになる~」・・・・本作『ピーターラビット』はピーターとトーマスのケンカがメインに構成され、観客は「ピーター、頑張れ~!」と声援を送るワケなのだが、観ている途中ふと思い出したのがこの「ケンカするほど、好きになる~」・・・・・お前らホントは仲良しかい~!結局最後は仲良しかい~!!と、ピーターを応援している自分を裏切られている感が芽生えるのが勿体無い。たったの一言のせいで。ソニー・ピクチャーズは何故に『逆転無罪」での大映の教訓を活かせなかったのだろう?

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