東京での大きなお店

鹿児島に帰って小さなお店

 赤と白のポップな色遣い。大きな窓で店は明るく、テンパークの芝まで見通せる開放感が心地良い。決して広い店ではないが、それが不思議と落ち着く理由であったりもする。天文館、テンパーク通りの“門”とも言えそうな場所にストロベリーフィールズはある。「無機質な感じよりもポップな感じにしたかったんですよ。もともとストロベリーフィールズっていう名前はインターネット上で僕がよく使ってた名前なんです。ビートルズが好きだったのでその曲から(1967年「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」)。本当はキムタクのドラマ『ビューティフルライフ』みたいに、海の見える場所でひとりでやるのもいいなあ、なんてイメージもしたんですが、憧れたけど現実、難しいかなと思いやめました(笑)」。男っぽさと人懐っこさをあわせ持つ上木原さんは、鹿児島に帰ってくるまで東京で別のサロンを経営していた。 そのときお店は40坪ほど。今と比べると規模はずっと大きく、スタッフ10人くらいでやっていた。「実家の事情もあり、子供も小学校入る前だったので、ちょうどいい頃かと思って帰ってきました。向こうの店は10年間ほどでしたね」。24歳の若さで出した店は順調で、お客さんもどんどん来てくれた。「ただ、やっぱりそれなりの規模のお店だったので、クリアすべきハードルも高くて、今考えればずいぶん気が張っていたと思います」。

じっくり向き合う充実感

小さな店舗に込めた新しい生き方

 「やっぱり大きなお店を維持するためには、それなりに数字を追わないといけなくて。だから鹿児島に帰ってきたときは、ほどよい広さで、ゆっくり落ち着いた気持ちでお店をしたいなと思ってました」。大きな店と小さな店、上木原さんがどちらもやってみてわかったこと。それは自分の心をどこに置くかの違いだった。「もちろん大きな店でもお客様との接し方に違いはなかったはず。でもやはり今の方が、お客様に対する自分の時間の使い方が、濃い気がするんですね」。できれば一度来られたお客様が、家や会社で話題にしてくれて、人が人を読んでくれるお店、口コミで広がっていくお店を作っていきたい。まだオープンしてからそれほど時間が経っていないが、少しずつそんな輪が広がっていると感じている。「ここで始めてからはお客様とマンツーマンで、じっくり仕事に向きあってますね。充実感はありますけど、その分サボれませんから(笑)」。なんでも正直に話してしまう上木原さんのトークには、初めての来店でも打ち解けそうな明るい魅力がある。子どもから年配の人まで、年齢層が広いというのもうなずける。「来店から退店まで、お客様はどんな気持ちだったのかなとか、また来てくれるかなとか、そういうことをひとりひとりに対して考えられる今のスタイルがとても気に入っています。お客様の紹介があると、成績表じゃないですけど、自分に対して『よくできました』という感じなんです(笑)」。

憧れの天文館をもっと元気に

ポップで元気なお店でありたい

 鹿児島市の中心街・天文館は、昔ほどの賑わいがなくなったと言われる。そんな中でも、上木原さんは天文館に出店することに迷いがなかった。「鹿児島市内なら、天文館のほかに騎射場とか中央駅とか、候補はいくつもあったんでしょうけど、僕の頭には天文館しかなかったです。昔よく遊びに来てた憧れの場所でしたからね。天文館に来るとすごく楽しかったし、元気になれた。だから僕も元気を与えられる側になろうと思った。お店の目標は、誰もが笑顔になれる店。笑顔になって帰ってもらえれば、それが僕にとっては一番嬉しいことです」。天文館という街を、今よりもっと元気にしたい。特にスタイリッシュなお店が軒を連ねていたテンパーク通りを皆で協力して盛り上げていきたい。赤と白のポップな店が、通りの入口で笑顔と元気を発散しているのだ。「鹿児島に帰ってきてから仲間がすごく増えたんです。いろんなジャンルで。ライブに行ったら音楽関係。もちろん美容師仲間。あとジム仲間に地元の同級生や通り会の人達。天文館にいることでいろんなつながりもできました。鹿児島に帰ってきて、生活を楽しめるようになりましたね」。今、店に来てからの日課は店舗内に特別に取り付けてもらった鉄棒での懸垂。「懸垂してる姿をたまに外から見られるんですよ。広い窓だから見えるみたいで。朝、懸垂して、『あー今日は調子がイイなあ』とかわかります。ここのところ、好調な日が続いていますよ(笑)」。

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