第8回
明石屋の『軽羹』

しっとりとしたほのかな甘みと素朴な味わいが“軽羹”の魅力。自然薯(じねんじょ)をふんだんに使い、空気をたっぷり含めて蒸すため、あのふんわりと柔らかい独特な食感に仕上がる。

鹿児島の誰もが知る代表銘菓の元祖
こだわりの素材と伝統製法で今に伝える

 鹿児島を代表する銘菓を尋ねられたら、きっと地元の大多数の方が“軽羹(かるかん)”と答えるのではないだろうか。それぐらい世代を超えて鹿児島の人々に親しまれている、お馴染みの郷土菓子である。そんな“軽羹”の元祖として広く知られているのが、安政元年(1854年)創業の菓子店〈明石屋〉だ。
 「“軽羹”の原材料は山芋、砂糖、米粉の三つだけ。添加物なども一切使っていません。それは昔から変わっていないです」。そう教えてくれたのは〈明石屋〉本店の橋口支配人。透き通る様な純白色の生地に、しっとり柔らかい口当たりとほのかに広がる甘み。そのおいしさのポイントとなるのは山芋だ。〈明石屋〉で使っているのは、霧島や大隅で穫れる自然薯(じねんじょ)と呼ばれる天然もの。あの風味や独特な口当たりは、良質な自然薯をたっぷり入れることで生まれるのだそうだ。さらに「三つの原材料と水をあわせて撹拌するのですが、その日の天候や使う自然薯の状態によって、それぞれの量を微妙に調整しなければならない。もちろん蒸す時間も変わってくるので、もう職人の感覚だけがたよりなんです」と話すように、職人から職人へと受け継がれてきた技術や知識もまた、〈明石屋〉の“軽羹”のおいしさの決め手なのである。「ただ老舗だからといって良いものができるって時代ではありません。先代たちが継承してきた味を、時代にあわせて少しずつ改良して、進化させていかなければならない。後世に伝えていくためにも、それが私たちの役目だと思うんです」。老舗として慢心することなく、その飽くなきまでの向上心こそが、老舗の老舗たる所以なのだろう。

 

合名会社 明石屋菓子店

本店

  • 鹿児島市金生町4-16
  • 099-226-0431

その他の商品や支店、通販などの情報はホームページをご覧ください。
http://www.akashiya.co.jp

※2011年7月現在の情報です。

 

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