#114 マイ・ブルーベリー・ナイツ

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大人の恋愛

シホ そういえば先日。会社の同僚(男性)に「愛がなくてもセックスはできると思うけど、愛がなきゃキスはできないよね」って言ったら引かれた(笑)。どう思う?(笑)
坂元 まぁ、その店によりますね・・・・・・何が?
シホ 『マイ・ブルーベリー~』って、あの印象的なキスシーン以外2人には何もないけど大人の恋愛って本当は軽くカラダを重ねたりできないものなのじゃないかな。
『花様年華』も、ラブシーンの入った方はカットされて、結局プラトニックな作りだったし。でもそれはそれだけ気持ちが強いって証拠のような、ただ軽く乗り越えられない色んな事情が大人にはたくさんあるってことのような。
坂元 なるほど。確かに『花様年華』は“大人の事情”だらけでしたからねぇ・・・・。
シホ 『マイ・ブルーベリー~』に出てくるレイチェル・ワイズは本当に美しくて色気あって。あんな雰囲気憧れますね。スタイルもそうだし、髪型もそうだし、顔もそうなんだけど、彼氏に新しい恋人ができちゃって失恋して傷ついてるノラに対して複雑な感情や状況を持って生きている感じが、もう大人なんじゃないだろうか、と。
“好きだから一緒に居る”、“嫌いだから別れる”、そういう単純な気持ちだけでは解決できないものを、大人になるとたくさん抱えてしまうんだと思う。
坂元 ましてや結婚してしまえば全然そんな問題では無くなるからね(笑)。
シホ ところで、この映画で、なぜ「夢二のテーマ」が流れるんだろうと思ってたけど・・・・・・
坂元 「竜二のテーマ」?
魅災流 誰っすか、それ?
シホ 無視するね。何故かと思ったら、この『マイ・ブルーベリー~』って“花様年華2001”ってのが原案なんだって。あのメロディが大好きなんだぁ・・・あと、アル中警官のアーニーと別れた妻スー・リンの話が辛いよね。でも、スー・リンの登場の仕方は、正にカッコ良い大人の女性!やはり大人の女性は、ウエストが細くなきゃね(笑)。
あの「It's over!」って叫ぶところが、私の大好きな映画『ストレンジ・デイズ』でジュリエット・ルイスが叫ぶところを思い出すのです。「もう終わったのよ!」って・・・・あれ?なんか立場も似てるかも。相手の愛情が重すぎて離れたいと思う女の叫び。
坂元 男女の別れの後って、いつだって男の方が“女々しい”んだよね(笑)。女性はすぐに次の恋に行く覚悟が出来るけど、男はいつまでも前の恋を引きずる・・・・そんな気がします。
シホ ところで、エリザベスは食べたあと寝ちゃうけど、あれって絶対、作戦だよね?コレ、男女が逆でも、口のまわりにクリーム付けて寝ちゃったらキスしてしまいたくなるでしょ?それを理由にしてキスしちゃうでしょ?(ただし、好きな人にならね。)
坂元 いや、すみません・・・・・・取り敢えず拭いて欲しいっす。だって、例えばカレーとかだったら絶対イヤでしょ?
シホ 『花様年華』の冒頭で、「女は顔を伏せ近づく機会を男に与えるが、男には勇気がなく、女は去る」って出るじゃない。『マイ・ブルーベリー~』のキスシーンはエリザベスがキスをする機会をジェレミーに与えてるんだよ。それで、ジェレミーはそれをちゃんと受け止める。でもイメージ的にどちらが大人の恋愛なのか?と思うと私が感じるのは
『花様年華』の方だったりするんだよね。実際、女が物凄く勇気を振り絞って隙を見せてもそこに乗っかってくれる人って、そうたくさんはいないような気もする。あれ?私に対してだけかも??(笑)
坂元 村上春樹の「1Q84」でも同じようなシーンがあったな。主人公の女性が“ヤリたくて”わざわざ独りでバーに行き、何度もわざと隙を見せて男から声が掛かるのを待つのだけど、みんな「鈍いのか?」「勇気が無いのか?」。で、結局、自分から誘っていくっていう・・・・・。
考えたら、この女性心理を描いている村上春樹もウォン・カーウァイも共に男だっていうのが凄いよね。
シホ ウォン・カーウァイのインタビューで、「人間と人間の関係というのは、精神的な距離と肉体の距離がある。時には近くにいても、精神的な距離が離れている場合がある。逆に離れている人でも、心が近付いている場合があって、この映画はそうした男女の距離をテーマにしているんだ」というのを読んで、『マイ・ブルーベリー~』に「道を渡るのはそんなに難しくない。反対側に待つ人次第なのだ」ってセリフが最後に出てくるけど、その反対側に待つ人の状態を見極めることが大事なのかな、と思った。
坂元 なるほど。流石、“大人の女性”っすね。
勉強になります、なぁ、魅災流さん?
魅災流 何が?
シホ あと、ウォン・カーウァイ繋がりで『2046』のチャン・ツィイーが演じてた役もけなげな大人だった。トニー・レオンのこと好きになってるのに、最初に体を許しちゃった日にお金を置いてかれて。すごくショックだったと思う。でもそれでも大好きで、大好きで。それを表には出さないで「私もお金で割りきってるのよ」みたいなふりして毎回そのお金をベッドの下の缶にきっちり溜めてる。それで、そのお金で彼との最後の食事代を払う。
そこにある自分(女)の気持ちなんて、相手(男)には全然通じてないんだよねー。好きで好きで好きで。忘れてるふり、嫌いなふり、なんともないふりをしてるけど、でもどうしても抱かれたくて、好きな人にどんな状態にせよ抱いてほしくて・・・
・・・・あーーー。なんかもーーーー。
坂元 『マイ・ブルーベリー~』にはそんな“ドロドロ感”はなかったっすよね。
シホ ドロドロしてるんだよ、本当は、きっと。私も心の中、ドロドロしてるし、今までの恋愛もさらっとは通り過ぎることは出来ないものばっかだもん(笑)。とにかく、楽しい幸せな恋愛がしたいよね。結婚してても、してなくても、相手が誰でも・・・
坂元 いやいや、それは問題でしょ?(笑)

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