#127 フローズン・リバー

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で、『フローズン・リバー』

パスキア で、今回のテーマ『フローズン・リバー』。クライムムービーなのに、不思議と悲壮感や、重~い感じもないのですよね。かといって清々しさや、希望に満ちあふれてもいないのですが・・・・。
坂元 誰の感情も語らずに淡々と描かれているから客観的に観れてしまうんだよね。それぞれのキャラを掘り下げて感情を描いたらきっと凄く息苦しい映画になったのだと思う。クリント・イーストウッドの映画みたいに。まぁ、敢えてそういう(感情を描かない)作りにしたのだろうけど。でもこの“淡々さ”が『フローズン~』の魅力だと思う。
パスキア ひたすら現実的な日常の中で、ごく普通の母親が重ねていく罪。淡々しているようで、一瞬たりと目がはなせないのは、なぜか?
きっと、丁寧かつ細やかな人間描写と、この映画を大絶賛したタランティーノ作品のようなテンポのよさにあるのでは?
上木原 でも僕なんか、この映画観終わるまで3日かかりましたよ。なんか女性2人が友情も無く、全く交わんないし・・・・アメリカ映画独特の派手で晴れやかな雰囲気がないっていうか・・・・まあコレがまたこの映画のイイところでもあるのだろうけど。
アキサン メジャーじゃないだけにテーマもあまり馴染みが無く、モホーク族とか保留地とか、日本に居ると分からない国境の話とか。トレーラーハウスも日本だと何か金持ちがキャンプの延長で買ってるようなイメージですけど、向こうでは貧困層の象徴みたいになってますし。
上木原 けど、凄くリアルに思えるんですよね。僕らの生活とかけ離れているはずなのに何故かリアル。・・・・劇中の彼女らの貧困な生活はバスタブにお湯さえ入れた形跡も無く、「白人だから大丈夫」って言葉は人種差別問題など。
パスキア 人種の国・アメリカが抱える、移民問題や白人至上主義は物語に欠かせないエッセンスですよね。ツイッターでコーエン兄弟の『ファーゴ』をこの映画との引き合いにだしましたが、よくよく考えたら共通点は雪景色だけかも(笑)。
坂元 いや、オレも『ファーゴ』思い出したよ。何故かな?単にジャケかな?とかも思ったんだけど、やっぱりこの“取り返しのつかなさ”っていうテーマが共通しているようにも思う。
上木原 母親が、子どもや生活の為に犯罪に染まっていく姿は決して否定できず逆に肯定さえ覚えました。
パスキア 個人的に1月末に二児誕生もあり、我が子(家族)をまもる親心で作品に入っていきましたねぇ。シングルマザーという設定も、より、そこら辺を強調してましたし。まさに、母は強し。父親はいなくとも子は育つというか(苦笑)。
上木原 母親は夜遅くまで働き、兄が弟の面倒をみる姿見た時に、俺がもし離婚していて彼女が子ども養っていたらこんな雰囲気なのかな・・・・「やっぱ父親は家族を守らなきゃならん!」って思いましたもん。
途中、ギャラが半分足りない時にレイが銃を発砲したシーンはきっと女のプライドだったんでしょう。しかし、警察に追われ気がついた時にはもう後戻りは出来ない、コレだけは避けたいですね。
パスキア ラストは母である前に人としての最良の決断だったと思います。事件には全く関与していないのだけど、子どもたちが救われたというか。
子は親の鏡であり、親の後ろ姿に多くのことを学びます。自分自身も親になり、それを痛感する今日この頃。視点を違えてみることで、多くのことを感じ学べる希有な映画でした。
上木原 映画って、仕事でうまくいかないとき、子供に冷たくされたとき、彼女にふられたとき、雨で髪がうねるとき、ムラムラしたとき・・・・そんな気分の時、観に行っていたんだけど、『フローズン~』観終わった後って、幸せってナンだろう?みたいな“幸せの定義”っての考えちゃいました・・・・。

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