#142 プライベート・ライアン

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心に残る戦争映画

アキサン “迫力ある戦闘シーン”といえば『ブラックホーク・ダウン』!オール戦闘シーンと言っても差し支えない映画で、観終わった後にはグッタリ。ソマリア人がダッシュ系ゾンビのようで怖い怖い(笑)。撤退戦で籠城するから泥沼のジリ貧になって観ててもうシンドイ。そして、デュラント准尉を助けるために犠牲となったゴードンとシュガートの最後も辛い。『プライベート・ライアン』もそうだけど、仲間を助けるために仲間が死ぬ、って状況はもう最悪としか言いようがないよね。とにかくツライ。これをデートムービーに選んだあの日の僕もツラかった・・・・。
坂元 確かに戦争映画ってのはデートムービーに1番向かないジャンルかもね(笑)。
アキサン そういえば、この『ブラックホーク〜』で奮闘する主人公役のジョシュ・ハートネットは稀代の迷作『パール・ハーバー』でも主演してましたね。
坂元 酷い映画だったよね。ジャンルは何なんだ?って感じで。
アキサン でもまぁ、僕は結構好きですよ。隣国の反日映画に比べりゃ可愛いモンじゃないですか。フィクションとして観たらまぁ面白いんですよ。てか、恋愛映画みたいだしね。戦闘シーンは迫力あるし空戦もあるし爆発もあるし。監督はマイケル・ベイで製作はジェリー・ブラッカイマー。いかにもハリウッド的な娯楽映画。戦争映画と捉えて真剣に観たらダメなんですよ、きっと。
上木原 『プライベート〜』とちょうど同じ時期にあったもう一つの戦争映画『シン・レッド・ライン』覚えてる?コレはまた全然違った雰囲気がある作品でした。ガダルカナル島の美しく大きな自然の中で起こる銃撃戦。静と動のコントラストがスゴイ。大地が風を舞う。目の前のオジギソウを触ってみる、先導者の合図で群の一瞬の行動。かと思えば静かな草原に無数の兵、耳を塞ぎたくなる爆撃音、爆炎、煙・・・・敵は日本軍。ジャングルの日本兵はランボー並みの強さ。ただでは死なない「どうせお前も死ぬんだよ」が印象的だった。
坂元 “戦争映画”なのにとにかく映像美が印象的な映画だったよね。正にテレンス・マリックの映画って感じで。大好きな映画です。
上木原 ただ、結局この作品は何を言いたかったのだろうか?と。ただ戦争のむごさと愚かさを感じることしかできない。俳優もショーン・ペンはじめ大物揃いなんだけど、彼は『ミルク』のイメージが強すぎて流し目すべてがゲイに見えた(笑)。もしかして、出兵を終えたショーン・ペンはゲイになっていて・・・・そして出馬?(笑)
坂元 実は『ミルク』『シン・レッド〜』の続編だったってこと?(笑)オレとしては“戦争映画の最高傑作”といえばやっぱ『プラトーン』だな。確か小学生くらいの頃に映画館で観たかなぁ。年齢的にもきっとオレにとって初めての戦争映画だったかもしれない。『ランボー』とかの娯楽作は別として。
上木原 『プラトーン』!俺も久しぶりに観てみた。ま、コレも“娯楽作”といえばそんな気もするけど。戦争のグロさよりも人間関係が上手く描かれてる感じだよね。エリアスとバーンズの言い争いはどっちの言い分が正しいのか?どちらの言い分も正しくまさしくそれが戦争。同じ軍人同志も争う。民間人でも怪しい人間は全員射殺のバーンズ、それに反するエリアス。エリアス軍曹が大勢のベトコンに最後追われるシーンはなんとも言えない・・・・。“グリーンゴブリン”のイメージが強いウィレム・デフォーの眼光と演技がスゴかった!『パール・ハーバー』のベン・アフレックやジョシュのようにカッコよく「ヒャッホー!」ってな感じじゃなく、もっと泥臭くて汚物にまみれ、時には意見も食い違い、誰を信じてイイかも分からずただ生きて帰る。この作品は何度みても結論は出ないかと・・・・っていうか、通訳の若者がジョニー・デップとは知らなかった。
アキサン ベトナム戦争モノだと『フルメタル・ジャケット』が大好きですね。もう語り尽くされてるとは思うんですけど、あのハートマン軍曹には男なら誰もが恋心を抱いちゃうんではないでしょうか。
坂元 抱かないよ。
アキサン サントラも良かった!♪パパパーってのが特徴的な「Surfin'Bird」!もうあれ大好きなんですよね。時々発作的に聴きたくなります。あと、低音で戦場に響き渡るミッキーマウスのマーチ。印象深いセリフに映像に音楽。大好物です。ついでに“印象深いセリフ”といえば『地獄の黙示録』のギルゴア中佐の名言「朝のナパーム弾の臭いは格別だ」も捨てがたい。映画自体は後半のカオスっぷりが苦手なんですけどね。

“戦争”という歴史

上木原 今ちょうど1年に一度の「2か月間ダイエット」しているんだけど、戦争映画観ると食欲が無くなることを発見!!今回のテーマが『プライベート・ライアン』ってことで色々と戦争映画を観まくったんだけど、“ダイエット=戦争映画”コレはオススメ!!ただ、夢にうなされ、寝起きも悪く、身体もダルい・・・・当分観ないな・・・・今なら、以前「ショートカット」で話したサバイバルマニアのヤツと話合いそう(笑)。そいつは毎回飲み行ってもキャバクラ行って「やって見せ!言って聞かせて!させてみせ!褒めてやらねば!人は動かじ」って、会うヤツ会うヤツに言い放つ“五十六野郎”でちょっと怖いんだけど・・・・。
坂元 戦争映画ってホント観てて辛いよね。よく出来た映画ほど痛々しく辛い。ある意味、ホラー映画より理不尽に人がたくさん死ぬし・・・・。
上木原 はっきり言って苦手なジャンルでした。まずは戦争のない時代に生まれた為に感情移入しにくく、しかも戦争映画って120分オーバーの作品も多くストーリーも物足りない。軍人は絶対服従・・・・もしこの時代に今の自分がいたらどうしただろう?と。身体が震え、胃が痛くなり恐怖で上官の指示にも従えずダダをこねると思うんだよな。戦争はダメ!人殺しもダメ!だと解っていても殺さないと殺されるし・・・・戦争って本人にとって意味なくそんなものなのかなと。けど実家が知覧なんで特攻平和記念館とか何度か足を運んだこともあるし、県外の知り合いが来たときはみんなソコに行きたがり言葉を詰まらせて帰ってくる。『ほたる』『俺は、君のためにこそ死ににいく』とか、苦手なりにもかなり深く考えさせられる映画だった。ただ夢に出るし寝起き悪いし何故か身体がダルいってのが・・・・。
アキサン 『俺は、君のためにこそ〜』って、「君」が天皇の暗喩だとか戦争美化だとかトンチキな意見が多いですけど、僕はこの映画観て全く逆に感じました。ほんの数十年前までこんな馬鹿馬鹿しいことで人が死んでいったんだ、と。いや、馬鹿馬鹿しいって言ったら死んでいった人たちに失礼なんですけど。「もう絶対しちゃいけない」って心底思いますよね。それぞれに「君」と呼ぶべき人がいる。その「人」の為に死にに行く。残念としか言いようがないですよ。そして飛行機で突っ込んだ船にも大勢の人(米兵)がいて、その人達にも守るべき「君」がいるってことを忘れちゃいけない。どっちかを忘れて観ちゃってると戦争美化だとか素っ頓狂な感想が出ちゃうんじゃないかと。中には観てないのに批判して批判された監督もいましたけどね。
上木原 前にテレビで『僕たちの戦争』ってドラマがあって、スゴク印象的だったの覚えてたんでこの機会にまた借りて観てみたんだけど、コレはなかなかお薦めだよ。現代の若者と昭和の19年敗戦濃厚な戦争時代の兵士が同じ場所で稲妻に合いタイムスリップして入れ替わるってヤツ。お互い周りの環境の変化で少しずつ変わる心の変化。軍人として教育を受けた純粋な男の現代生活。かたや今風の若者が戦時中に国のための特攻命令。若者は最後、回天に乗り込み祖国の為でなく愛した人、愛する人を守るために神風特攻・・・若者はもっとこうあるべき!ってメッセージが込められた作品で改めてヒデキ感激号泣・・・・。『モテキ』『セカチュー』の森山未来、二役とは思えない演技で最高だった。
坂元 なんだか『戦国自衛隊』みたいな設定だけど、もっと“ドラマ”に比重を置いた感じだね。観てみようかな
上木原 それから韓国映画の『シルミド』。これもスゴイ!韓国が死刑囚を殺人マシンに・・・それが“684部隊”。北の独裁者を暗殺すべく国が創設した特殊部隊!過酷な訓練を耐えて水、陸と完璧なまでの殺人兵器部隊と化し暗殺執行命令。しかし海を渡ってる途中、突然の中止命令。その後の行き場をなくした684部隊は国から有害扱い。不必要とし政府が684部隊全員の抹殺命令を下す。そして内乱。韓国政府が隠し続けていた暗部を描いた『シルミド』。ラストが壮絶すぎた・・・・。韓国映画ってやっぱスゴイ!全員が出兵経験あるからできるのかな?演技がリアルすぎて。
坂元 えっ?!コレって実話ベース?とても“実話”だとは思えなかったけど・・・・。
上木原 時代、政治の流れは歴史の流れを変える・・・。昔、『小野田少尉 遅すぎた帰還』ってドラマあったの思い出したんだけど、太平洋終戦を知らずにフィリピンでゲリラ戦を続ける中村獅童扮する小野田少尉の物語。帰還命令を信じず敵の動揺作戦と勘違いしているんだよ。「日本は負けていない!」なんか『ひめゆりの塔』にも似てる感じかな。「住民自決命令」・・・・『ひめゆりの塔』観て初めて知った言葉だった。『運命の人』での“チビチリガマ”の集団自決にしても然り。当時、占領されても殺される、捕虜になっても殺される・・・・と。そこで「特攻・玉砕・自決」となるワケだけど、これは果たして「命令?志願?自主的?」・・・・きっと両方とも正解なのだと思う。「生きるも地獄」と判断したら上官も指示したんじゃないかな。自分の意思でプライドの自決もあるだろうし。取り残される兵以外の町の人々、女、子供などに手りゅう弾を一つ置いていく。かなり理不尽でしんどい作品だった・・・・。

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