#156 ゾンビ

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ゾンビの“多様化”

上木原 っていうかコレ、ゾンビ映画?だったら今まで観たゾンビ映画は何だったんだ?!ってくらいの超大作!
でも“ゾンビ映画”だったらB級になり観客が入らないから“ゾンビ”という宣伝文句は禁句だったそうだね(笑)。 日本のトレーラーじゃ“ゾンビ”って一切言ってないし・・・・まあ、とにかく面白かった。
坂元 マックス・ブルックスのゾンビ小説「WORLD WAR Z」(06年)が大ベストセラーに!ってニュースだけでも充分驚いたのだけど、今度はそれの映画化権をブラピの映画製作会社「プランB」とディカプリオの「アッピアン・ウェイ」が取り合いになっているって?!もうこの時点で充分に勝算は見えていたような・・・・。
だって“ゾンビもの”の原作なんて物語的にたかが知れてるでしょ?なのに何故こんなに話題になるのかが分からない。ま、偉そうに言ってもオレは原作は読んでいないんだけど・・・・。
上木原 まず展開が早い。噛まれてからの潜伏期間12秒・・・・だからあっという間に世界中に蔓延。あとCM通りゾンビの運動神経がハンパない(笑)!「進撃の巨人」みたくゾンビから身を守るために作った巨大な壁を人柱で乗り込んでくるシーンは圧巻!とにかく、ウジャウジャ雪崩ゾンビは必見だね。
けど、物語としてはあくまでもゾンビ化は病気であり、そのワクチンを作るって話なんだよね。ゾンビがある特定の人たちを襲わない姿見てブラピが感じる「そうだゾンビから人間を透明化すればいいんだ」と。
そして、ある病気を持つことによりゾンビは襲わなくなることを知り、敢えて自分自身が病気になる。研究室からクスリを持ち出し“透明化”したブラピが缶ジュース飲みながら大勢のゾンビをスルーしていく姿が印象的で笑えた!
坂元 設定としては『28日後…』とか『クレイジーズ』に近いんだよね。
上木原 ギリギリ逃げてドアドーン!音に反応するゾンビに対して携帯着信音で気付かれちゃう等お決まりシーンもあり裏切らない(笑)。
坂元 そうそう!『ゾンビ』のショッピングモール・シーンとか『REC』のアパート、それに『サイレント・ヒル』の“音に反応”とか・・・・良いトコ取りとも言えるシーンが満載なんだよね(笑)。そこがイイ!
上木原 でもさ・・・・思ったんだけど、そもそも“ゾンビ”って悪者なの?ゾンビになったら物欲もなく家族もなく人間の抱える経済や戦争など社会問題も関係なく、ずっと平和にウロウロ暮らしてるわけでしょ?
・・・・ブラピがワクチン作るため病棟に行くんだけどカメラに映る休止状態のゾンビはそりゃどうみても悪そうじゃない。それを“ゾンビ=悪”として決めつけて虐殺するってのは・・・・?ちょっと引くよなぁ・・・・(悲)。『第9地区』みたいに共存するのもいいかと。けど「人柱ゾンビ」「ゾンビバス倒し」「ゾンビヘリ落とし」など、斬新な映像やVFXもさすがに楽しめた!
まぁ、内臓や血しぶきもなく「上品なゾンビ映画」って感じで、ロメロや「ウォーキング・デッド」系好きな人は逆に苦手かも・・・・とにかくブラピ好きは観た方がイイ!坂元さん、ゾンビ好きのお子さんと是非見て観て下さい!
坂元 勿論、子供たちと観に行きましたよ!今では我が家では“ゾンビ”ではなく“Z(ゼット)”と呼んでいます(笑)。
上木原 ゾンビと言えば“ゆっくり歩く”ってのが昔は主流だったけど、いつのまにか走るようになり、そして今作『ワールド~』はわっさー雪崩ゾンビ!(笑)。斬新だよね~ウヨウヨ湧き出てくるんだって!
アキサン 『28日後…』『ドーン・オブ・ザ・デッド』あたりから走るゾンビが跋扈しだしてきて(遡れば『バタリアン』なんだろうけど)。ま、この辺はまだ良いんですよ、僕は許せます。面白かったし。
が!その後続くゾンビ系が軒並みダッシュ!Bボタン押しっぱなし・・・・重ねて言いますけど、走ってもいいんですよ、別に。本能で行動してるって設定が多いので、ゾンビなりたてホヤホヤだと腐敗してないからビンビン走れそうだし、そもそも最近はウィルス感染とか寄生虫とかいろいろあるんで腐敗してないフレッシュなゾンビが多いんでしょうから。
『クレイジーズ』なんかゾンビじゃなくウィルスによる“人間の凶暴化”ですもんね。『コンテイジョン』に至っては、感染していないのに薬局に暴徒化した人が襲いかかったり・・・・「ゾンビ」も多様化しないと生き残れない世の中になってしまったんですねぇ・・・・。
坂元 って言うか、既に死んでるけどな・・・・。
上木原 で、そもそも“ゾンビ”って一体どんなん?ってコトで、コレがゾンビだ!(wiki参照) 肌は灰色。体液は黒い濃。知能なし。噛まれて感染。潜伏は2日。ゾンビ肉は猛毒。頭部を打ち抜く以外死なない。 結果、クビだけでも血管運動で動くし冬に凍っても春の雪解けで活動再開。深海底の歩行も可能。 ・・・・って何でもアリだね~。
俺の知り合いでもスプラッターやゾンビ映画好きなやついるから訊いてみたんだ「ゾンビのどこに惹かれるの?」って。ソイツいわく「人は誰でも死に対して恐怖を持ってる。普段は死を認めてなく意識から外してるだけであり、ゾンビこそそれを意識した時の人の恐怖なんだ!」と。思考力もなく肉を求めてウロウロするだけの存在。まさに自分の死のメッセージ。それが色々な手法で描かれていてそこにゾンビ映画の魅力があるんだって・・・・なんとなく理解したようなしてないような。だから“ゾンビ”好きを豪語する坂元さんとアキサンにも訊いてみたい!その魅力を。
坂元 オレは“スプラッター”とかは大の苦手で“ホラー”もそんなに好きな方でもないんだけど、“ゾンビ”ってのはもう別格のジャンルなんですよ(笑)。前にも何度かココで書いたことあるんだけどオレにとって“ゾンビ”は究極の“人間ドラマ”だと。
例えば、隣にいる人がゾンビに噛まれたらどうする?自己防衛手段としてはその人がゾンビになる前に先手を打って相手を殺す、ってのが最善の行動なのだけど、それが愛する家族だったら?親しい友人だったら?・・・・何かの映画では自分の子供がゾンビになった際、すすんで自らの身体(命)を差し出すシーンとか、逆に自分が噛まれてしまって家族を襲ってしまいたくないからゾンビになる前に自ら命を絶つとか・・・・「分かる分かる」って号泣したもん(笑)。だから噛まれてからゾンビになるまでの“潜伏期間”ってのが物語的に凄く重要。
あと、ゾンビはゆっくり動くから「頑張ればどうにかなるかもしれない」ってのも奥が深い!でも一瞬でも油断したら、もしくは運が悪ければそれで終わり、っていう。ね?ジャンル的には“ヒューマン・ドラマ”でしょ?(笑)。ま、オレの言う“ゾンビ映画”ってロメロ映画に限られてくるんだけど。最近のゾンビは走るからね(笑)。
アキサン 大体“走るゾンビ”が相手だと勇気と知恵だけじゃ乗り越えられない。体力も必要になるし。その時点で老人と小さい子供と運動不足の僕はアウトじゃないですか。楽しめないんです。
ロメロゾンビだとバット一本で何とかなりそうな気もしてたけど、ダッシュゾンビには敵いそうもない。二人来たらアウトですよ。そこに『バイオハザード』のリッカーとかタイラントとか完全なバケモノまで来たらもうどうしようもない。
坂元 運動して痩せて下さい。
アキサン 僕も多分、厳密に言うと“ゾンビ”が好きなんじゃなくて、“ゾンビ”というフィルターを介した人間ドラマが好きなんだと思う。
プロ野球のドラマ性が好きな人もいればヤクザ映画のドラマ性が好きな人もいるし、芸能人のゴシップに見え隠れするドラマにときめくオバサマ達もいる。それは人それぞれなんでしょうけど、どうも僕はゾンビ感染にまつわる人間模様に焦がれてしまうんでしょう。感染への恐怖。愛すべき家族が感染したら?自分が感染したら?感染の予防。ゾンビ世界のサバイブ方法。そういう事を考えながら観ちゃうんです。
上木原 なかなか僕の中では共感できないゾンビ映画。けど、こないだ『CARGO』っていう7分ほどのショートフィルムをネットで観たんだけど、これはヤバい・・・・涙が止まらなかった。車内で妻がゾンビになりあわてて我が子を車内から助ける。父親も傷を負いゾンビ化するのは時間の問題。途中死肉を集め意識がもうろうとする中、目的地まで娘を背負い父親のとった行動とは・・・・。
この作品はオーストラリアのショートフィルムフェスティバルでファイナリストまで選ばれた作品だそうです。もし自分がゾンビに変わり果ててしまう。けど我が子はなんとしても守りたい。もし僕ならどうするだろう・・・・彼のとった行動に感動しました。今まで観たゾンビ映画で一番印象に残った作品。「ゾンビと家族」異色の組み合わせはこんな作品も出来るんだなと。
坂元 多分、オレやアキサンのいう「ゾンビ映画」って正にそんな映画です。それって、物語的にはロメロ映画の基本だもん。っていうか、そもそもオレにとっての「ゾンビ映画」はそういうもんだと思っているんだけど(笑)。
アキサン アメドラ嫌いの(嫌いってわけでもないんですけど)僕が珍しく手を出した『ウォーキング・デッド』。いやぁ、観始めると引き込まれちゃいましたね。連続ドラマだから登場人物が多くて、それぞれの登場人物のドラマを描いてくれてるから見応えがありました。
坂元 『ウォーキング〜』なんか、正に「ゾンビものとは人間ドラマだ!」ってのを追求したようなドラマだったよね。うちなんか一時期、家族揃って相当にハマったよ(笑)。毎日のように子供たちから「新しいのまだ出てないの?」って訊かれてたくらい(笑)。

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