#157 誰も知らない

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「巣鴨子供置き去り事件」に思う

アキサン この『誰も知らない』の元ネタである「巣鴨子供置き去り事件」は長男が結構ヤラかしちゃった所もあるようなんだけど、映画では優しいお兄ちゃんになってて。
でもそれ故に、色々な判断ミスが悔やまれちゃうんですよね。もっと母親に早く電話してたら、ゲーム買ってなければ、ってね。生活費も尽きて電気ガス水道も止まって家賃滞納して、もうジリ貧じゃないですか。『火垂るの墓』の清太もそうなんですけど、もっとしっかりしろよ兄ちゃん!って思っちゃうんですよ。大人に頼れよ!って。
坂元 ま、でも言ってもまだ中学生とかだしね・・・・っていうか、コレって実話だったの?!知らなかった・・・・早速ネットで調べてみたらそれはそれは酷い事件だな。映画は“美化してる”って言っても過言じゃないくらい。妹の死の真相とかもう読むに耐えられなかった。
あと、親父!映画では母親ばかりが取り沙汰されてたけど一番酷いのは親父だよな?そういえば。
上木原 最近ニュースで児童虐待や育児放棄、暴行のニュースを聞くたび胸が痛くなる。子供はどんなコトを思って息絶えるんだろうと思うと・・・・この作品は途中あまりに苦しくて観るのが辛くなった。
けどあまりに仲が良く無邪気な兄妹の見事な描写に最後まで観れた気がするんだ。子供は親を選ぶことができないからね。最後のシゲオ含め残された子供たちの最後はファンタジーさえ感じた。子供をもっと抱きしめて愛していたいと思う作品だったなぁ・・・・。
アキサン でも大人も見て見ぬふりというか、無関心なんですよね。気付いてるはずなんです。コンビニの店長も店員も、そして恐らく大家も。多分近所の人も。自分ならどうするかな?って考えちゃいましたよ。声かけても面倒見る気も無いし。本人たちは離れ離れは嫌だって言うし。こっちも何かトラブルに巻き込まれるのも嫌だし。別の親切な誰かがどうにかするだろう、って思っちゃうかもしれません。
現実は大家と警察が介入して幕が引いたんですけど、映画の4人はあの後どうするんだろうか。何かこれからも頑張ります、みたいな終わり方だったけど「もう頑張るなよ」って思っちゃいましたね。
坂元 もっと言えば、元ネタになった実在する人物らは今どうしてるのかな?って思うよね。そりゃあ心から幸せになっていて欲しい!と思うけど、本音では「幸せになっているワケがない」とも思ってしまったり・・・・申し訳ないけど。
上木原 しかし、子供たち演技上手かったよね!すごくナチュラルで本当の兄弟みたいだった。どうやってこんなにも自然に撮影したのだろう?普通に生活させてる中で撮影したっぽい映像が凄い!
坂元 “子供の自然さを撮る”ってのにかけては是枝裕和監督、凄いよね。『奇跡』とか。
アキサン 『奇跡』は鹿児島でもロケしてて、見覚えのあるところや近所の公園でロケしてたから観てて楽しめる部分がありましたね。「その坂道を下ってどこの学校行くんだよ!」みたいなツッコミしたりして(笑)。
坂元 そうそう、あと『チェスト!』とかね。主人公の家になった「高須釣具店」はうちの祖父母んちのすぐ近所でさ、なんか不思議な感じがするよね。見覚えのある風景だけが切り取られ、そこに役者さんたちが生活してて映画になっているっていう・・・・。
アキサン 是枝監督って、ドキュメンタリーみたいな撮り方してるんですよね。子供に演技指導させないで撮ってるらしく、台詞がボソボソしてたり芝居口調じゃなかったり。生活音もそのまま画面に閉じ込められてる感じがして。『奇跡』はインタビューシーンも入ってるから尚更。
是枝監督って元々がドキュメンタリーの演出家してたからなのかもしれないです。けど、作品がリアルに感じる反面、あれ?ドキュメンタリーだっけ?って違和感を感じてちょっと物語から突き放されちゃう気分にもなっちゃうんです。てか、何が奇跡って、子供たちが見知らぬ老夫婦の家に飛び込んで受け入れてもらえたってのが最大の奇跡ですよね。最早ご都合主義。
坂元 確かに!(笑)
坂元 でもホント、是枝監督って凄いよね。凄い良い映画撮る。オレ、日本人の監督で一番好きだな。
アキサン 是枝監督の他の作品は『歩いても歩いても』『幻の光』ぐらいしか観てないんですけど・・・・。
坂元 そんだけ観てれば充分だと思う(笑)。
アキサン こっちは逆にすごく映画的というか、言い方悪いかもしれないんですけど「自称“映画通”や“映画賞”ウケの良さそうな」感じが漂ってきて。正直、何も大きなことは起こらない映画なんですよね。『歩いても歩いても』なんて自分も一緒に帰省してノンビリ過ごしてるかのような感覚。何も起こらないけど、何も起こらなくていいや。メシ食って風呂入って寝よう、って。
坂元 それが凄くフランス映画っぽいというか“ヌーヴェル・ヴァーグ風”なんだよね。だからカンヌでウケるのかもしれない。
アキサン 何かの感想で目にしたんだけど、是枝監督の作品には余白がある、って。その余白部分が凄く純文学的な感じがするんですよ。芥川賞受賞作みたいな。タマに読むには良いけど日頃は本屋大賞や直木賞のほうが良いや、って感じがするもの正直な所。
坂元 子供の演技なんか特にその“余白”が良い味出してんだよね。柳楽優弥の受賞は間違いなく是枝監督の力だし。
アキサン その柳楽優弥主演ってことで『すべては海になる』を観てみたんだけど、これは逆に余白が無くて全部台詞や表情で表現してくれてて。『誰も知らない』の後に続けて観たんだけど、すっごい分かりやすい。こっちはコミック雑誌のような感覚。缶ビール片手に柿ピーつまみながら観れる。しかも柳楽優弥よりも佐藤江梨子の方が目立ってる。おっぱい。『誰も知らない』の頃よりも随分とお兄ちゃんになって、でも相変わらずの鋭い目!まるでS-13シルビアのヘッドライトのような。
坂元 分かりにくいっす。
アキサン ただ何かムックリしてて滑舌は悪くて、ちょいと残念な感じでしたね。佐藤江梨子のおっぱいは良かったですけど・・・・。
坂元 何それ?(笑)その映画のポイントは何なんだよ?(笑)
アキサン おっぱい。

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