#158 キッズ・リターン

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武映画の魅力とは・・・・

上木原 あと、結構好きなのが『Brother』 ・・・・やりすぎでしょ(笑)。
特にシマの話の最中の「ファッキンジャップ位解るよバカヤロウ」で銃乱舞!(笑)スタローンやジャッキーみたいにステゴロでも強いのに銃持ったら神の領域。映像は結構しんどくて、ワインパンチや将棋の駒パンチ、鼻割箸・・・・しまいには切腹して腸が・・・・バイオレンス過ぎる究極型。殺しをなんとも思わず容赦しない。寺島が親分のために命張ってるって言って加藤、石橋から銃渡されてためらいなく頭打ち抜くシーンはマジスゴイ。最後はホテルに修理代払ってからマフィアに投降する姿ががなんとも・・・・。
関係ないけどおれ加藤雅也みたいになりたいんだ歳くってもカッコよくて脚が長すぎてあのビジュアルに毎回惚れる。
坂元 武映画って、ホントそれぞれのキャラが際立ってて魅力的だよね。
上木原 モロ師岡も好きだなぁ。『半沢直樹』の大阪支店の融資課長になったあのモロ師岡ね。
『キッズ・リターン』ではオヤジなボクサー“ハヤシ”、こんな人いるよね~真面目にしようとしてるのに横からチャチャ入れて落としいれる人(笑)。まぁ、悪い人じゃないんだって、どっちかってと面白い人。一生懸命よりも楽を選ぶ人。減量中のシンジに「吐きゃいい」ってビール飲ませたりエルボー教えたり、気付かないうちにダークサイドに堕ちていくシンジ・・・・コイツさえいなきゃ新人王獲ってたでしょ(笑)。とにかくこんな奴、グループに一人はいるよね・・・・。最後の教師の車の炎上やピンク映画、二人の漫才など独特の笑いも入れて音楽も映像も正に北野映画!って感じ。最後のタクシードライバーと漫才コンビの結末はこれから・・・・どころか、もう終わっちゃいましたけどね(笑)。
アキサン しかし、この辺の感覚ってたけし作品の真骨頂じゃないかな?って思うんです。「コノヤロウ、バカヤロウ」はたけしの口癖みたいなもんだし、暴力シーンも「スーパージョッキー」の“ガンバルマン”や「お笑いウルトラクイズ」の罰ゲームの延長線みたいなモンだし。すなわちヤクザはガジェットの一部で、やってることは“ガンバルマン”なんですよ。顔面にバレーボールぶつけられて泣いてるラッシャー板前に向かって「バカヤロウ!」ってピコピコハンマーで殴るアレですよ。
坂元 本音を言うと、バラエティ番組に出てる最近の北野武って全然面白くないよね?しょーもなくない?松本人志の笑いに慣れてしまうと、武や志村けんの笑いはもう完全に“一昔”になっちゃって寒いもん。
でも、この『キッズ・リターン』を観ると「なるほど、北野武はコレをやってるのか」って納得するし、それが最高に面白いんだよね。子供たちが武やドリフに大笑いするように、それが奇を衒わず“人”が純粋に面白いことなのかもしれない。松本人志も大好きだしDVDも沢山持ってるけど、最新作『R100』も含め「笑い」が違うでしょ?本人が「僕の笑いに時代が追いつかない」と言っているように、確かにそうかもしれない。やっぱ子供は笑わないもん。松ちゃんの笑いも大好きだけど、子供が笑える“笑い”も大事だと思うんだよね。
アキサン なるほど。でもまぁ、それを言えば「北野武映画」も同じじゃないですか?例えば、僕は大概の“たけし作品”は好きなんですけど、個人的にはイマイチだったのが『みんな~やってるか!』なんです。アレって、完全にコントじゃないですか。アレなら映画でやらなくてもいいじゃないかって思うんです。「世界のキタノ」なんて言われてるけどホントはお笑いなんだぜ、って証明しようとしたのか何なのか?照れなのか名義も「ビートたけし作」だし。
坂元 うん。
アキサン 最初に書いたように、おもしろオジサンの「ビートたけしが映画撮ったらドエライものがあがってきた」それが僕の感じる“たけし映画”の魅力なんですよ。おもしろオジサンがおもしろ映画撮ったらそのまんまじゃないか、と。日頃のギャップだったり違和感だったり意外性だったり、でもそれが奇を衒っただけの映画じゃなかったから評価されたし、何よりも理屈抜きに面白かったんですよね。
坂元 なるほど、確かにその通りだと思う。
アキサン 別のジャンルで仕事してた人間が別のジャンルに入ってきたとき、やはり見ちゃうポイントって「こんなことも出来るのか」ってとこなんじゃないのかな?と。料理人やってるけど歌うたえるのか。野球選手だけど芝居できるのか、みたいな。お笑いやってるけど映画撮らしても凄いな!ってのが。余所から入ってくるんだったらその評価の覚悟はせにゃならんのだと思うんです。
それが元々その世界でやってた人間に対する礼儀というか、何というか、アレなんじゃないかと・・・・。
坂元 うん、よく分かります。
アキサン 例えば松本人志の『大日本人』とか『しんぼる』とか『さや侍』は、結局松本人志のシュールさ加減を映画にしただけにしか感じられない。「俺、こんな変なこと考えてんねんけどどうかな?」って探り探り出されてる感じで思い切りも良くないし。だから映画自体はアレな評価なんでしょうけど・・・・。
昔、ダウンタウンが一番面白かった頃、それこそ「ごっつええ感じ」とかに皆が夢中になってた頃、「ダウンタウンの流」とか「頭頭」ってビデオが出たんですよね。中身は飛び切りシュールで。でも、その頃はみんなダウンタウン信者だったから「シュールだけど面白い」「さすが松ちゃん」みたいな評価してましたね。この作品がわからない奴はセンス悪いみたいに思われそうで(笑)裸の王様みたいなもんでしょうか。
坂元 それは北野武に対しても思う。テレビで武が物凄いつまらないことやってても、何故か周りのゲストはみんな爆笑してるでしょ?アレってちょっとゾッとしない?(笑)
アキサン テレビで見る松本人志のお笑いはやっぱり面白いんです。絶妙のタイミング繰り出されるボケ。ボケ気味の例えツッコミで笑いを誘う感性は今でも大好きです。それ故に映画が残念すぎるんですよね。
何かのインタビューで「映画で僕がやりたいのは誰も足を踏み入れてない大陸は無理かもしれないけど無人島ぐらいはあるのかなと思っています」って語ってたようなんですけど、自分からニッチなとこ狙ってるんだから仕方ないのかもしれないですけどねえ・・・・。
上木原 コンビで漫才やってると必ずどっちか片方が売れるよね。やはり一人才能あるとコンビも人気出るし、でもいつか限界を感じ解散が訪れ、その人の才能は開花されていく・・・・最近多いよね、芸人や俳優がメガホンとるコトが。別の分野で才能を試したいってコトは誰もが夢見て憧れる。
でも、ボケとツッコミどっちが才能あるのかな?武さんや松っちゃんの才能は漫才、タレント、映画、絵画とマルチな才能を持ってるのはやはりボケの方がいいのか?
坂元 中でも北野武はもう圧倒的というか、別格だよね。
上木原 北野武監督作と言えばやっぱ暴力的で狂気の描写が凄く上手くて・・・・あの間がなんとも言えず好き。バイオレンス系に関しては徹底して「悪」で最後はご想像にお任せします的なエンディング。
そんな手法が上手い!かと思いきや『あの夏、いちばん静かな海』みたいなスゴク恋愛観の強い映画も撮ったり、『キッズ・リターン』ではまさにリアル青春。監督・主演じゃなくても十分ファンを引き付ける魅力があると思う。けど、毎回いわゆる賛否両論型でハッキリ好き嫌い別れるよね。
アキサン あと、テーマ曲も凄い好きなんですよ。たけし映画と言えば『菊次郎の夏』の「Summer」がCMに使われたりして有名なんでしょうけど。最後のセリフと合わせて記憶に残ってるので凄く印象深いんですよね。
上木原 僕ね、高校卒業して東京で20年近く住んでて、うち10年ほど足立区に住んでいたんだ。ビートたけしも足立区生まれたの知ってよくトークに出てくるんだって。ペンキ職人の息子で貧しい幼少生活。著書「たけしくんハイ」も昔読んだの思い出したな。あまりの幼年時代にお前は「こち亀」の両津かって!っと思った(笑)。
あと、あの「バカヤロウ」は父譲りなんだね(笑)。ガキの頃のコトがぎっしり書かれてて結構笑ったの覚えてる。下町育ちの彼は決して金持ちぶらないところがすごく好き。弟子が知事になろうが政界行こうがマイペースそんなとこが好きだなぁ。ひょうきん族のタケちゃんマン、鬼瓦権三とユーモアある反面、愛人問題でフライデーを襲撃する事件起こしたり・・・・。インパクトの強いキャラクターから一変、最近の武さんはスケールが大きくなった感じがします。
暴力、狂気、弱さ、優しさがいっぱい詰まった北野映画・・・・久石譲さんの叩きつけるような音楽もすごく合っててこのコラボはいつまでも続いて欲しいよね。
で、僕はそろそろスタローンみたいに脇役の武さんも見てみたいな。これからも応援したい監督ですね。って、次回も今度もまたオヤジ映画!?

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このディスカッションは、メールのやりとりのみで行われているバーチャル(死語?)な対談です。このコーナーには基本的に何の束縛も決まり事もありません。思いついたことを独り言のように書いていただければこちらで他の参加者とのメールと「会話形式」に編集させていただきます(掲載時には簡単な自己紹介文とアイコン用画像が必要です)。現在募集中のテーマは2013年12月25日更新予定の『ソーシャル・ネットワーク』(10年 デヴィッド・フィンチャー監督)です。まずは気軽にメールを!メール受付〆切は2013年11月15日(金)です。ご意見・ご要望のメールも大歓迎です。

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