#163 ドラえもん のび太の大魔境

《前へ1|2|3次へ》 2/3ページ

「スネ夫」について、語る

アキサン しかしさ、Google Earth(グーグルアース)が公開された時、多くの人々はピラミッドや自由の女神などの有名なランドマークを探したと思うんだけど、僕は真っ先に「ヘビースモーカーズ・フォレスト」を探しましたね。これなら「自家用衛星」を持たない僕にも探せる!って。で、どこいらだろうと調べると、実はF先生の創作だという衝撃の事実にブチ当たっちゃうんですよ。さびしかったなあ・・・・。
坂元 あぁ、「ヘビースモーカーズ・フォレスト」、アレはワクワクするよね!
アキサン 大長編ドラえもんシリーズの持つワクワクさ加減ときたら、大人になった今でも思い出すとムラムラきますよね。ムラムラ。さっきも出たけど、恐らく世間一般では「劇場版のジャイアンは良い奴」という手垢が付きまくったネタで盛り上がるんでしょうけど、僕個人的には劇場版の見どころはズバリ「スネ夫」なんですよ。敵につかまったり襲われたりすると「ヤダぁ!ママこわい助けてェ!」そんな情けない姿を見て人は笑う。スネ夫は根性なしだな、甘ったれだな、と。でも、大長編ではいつもダメなのび太が勇気振り絞りを、しずかちゃんは愛や平和的なフワフワしたアレを、ジャイアンは友情的なソレを、それぞれの見せ場があるんですよね。だから、スネ夫のヘタレっぷりを殊更際立たせることで他の仲間が輝くんですよ。スネ夫がいるからこそ冒険が成立してるんですよ。
坂元 なるほど・・・・それ、なんか分かる気がする。
アキサン そんなスネ夫も『宇宙小戦争』では自由同盟の本拠地が襲われたときに倉庫でガタガタ震えてたのに、いざとなったらグチグチ言いながらもラジコン戦車で出撃。そしてしずかちゃんの戦車がピンチ!その時スネ夫は自らの戦車を盾にしてしずかちゃんをかばう!・・・・凄いですよね。スネ夫、男を上げたな!と褒めてやりたい。あのシーンだけでスネ夫は一生食っていけます。
坂元 アレって職業なの?
アキサン で、僕が思うに、スネ夫は僕らを投影したキャラクターなんじゃないかと。だって小学生ですよ?たかだか11歳程度。それが親も先生もいない、というか頼れる大人がいない状況で戦争だの冒険だの、それも命に係わるレベルのハプニングも大量。実際数回処刑されかけてますしね。無理ですって、絶対。僕でもオカン助けてえ!って泣きますよ。だからそれが普通なんだと思うんです。僕たちはドキドキしながらのび太たちの冒険を見ている。その目線はいつしか劇中で泣き叫ぶスネ夫と重なり、のび太の勇気、ジャイアンの漢気、しずかちゃんの優しさ、ドラえもんの知恵、それらをもって困難を突破していく様に子供たちはカタルシスを感じるのではないでしょうか。僕にも出来るかもしれない、って。
上木原 それは納得。なるほどなぁ~・・・・。

みんな大好き“ドラえもん”

上木原 てか、映画観てやっと「わさびドラえもん」に違和感なくなってきた(笑)。
坂元 そう?オレはやっぱり“大山のぶよ”だなぁ~・・・・。たまに昔のDVD取り出して子供たちと観るくらい。でも子供たちにはその画像だけで「古っ!」って言われるけど。
アキサン あのさぁ、先日、フェイスブックの自分のタイムラインにもアップしたとこなんだけど、今だに“ドラえもん”の声が変わったことをグズグズ言う人がいますよね。「変だ」とか「こんなのドラえもんじゃない」とか。今の子供たちからしたら“大山のぶ代”のドラえもんの声の方がよほど変なんですよ。そりゃ僕たちは“のぶ代ドラ”で育ってきました。僕の中でもドラえもんの声を再生させるとやっぱりのぶ代の声ですよ。のぶ代リスペクトです。でも、僕らが“ドラえもん”を必死になって見てたのっていつの話だ?って。文句言ってる人は今までも今でも必死になって見てるのか?・・・・違うはずなんです。ハッキリ言うと思い出補正に「昔はよかった」って言ってるだけの老害なんです。何で子供の楽しみに「こんなの違う」と突きつけられるのか。不思議で仕方ありません。ドラえもんはいつの時代もきっと子供達のコンテンツですよ。だから大人になったのび太の元にドラえもんは居ないんです。いつ居なくなるのかは明言されていないけど、いつの間にか居なくなってると思うんです。僕らがいつの間にかドラえもんを見なくなっていたように。それをいつまでもいい大人が「ドラえもんの声が違うよぉ」って・・・・情けない。
坂元 まぁ、確かにそうだね。僕ら世代も勿論、うちの子供にしたってみんな「ドラえもん世代」なんだよね。それって凄いよなぁ・・・・。あと、大人になったのび太の元にドラえもんはいない・・・確かに、いない。
上木原 みんな大好きドラえもん。「巣田ローン」と違って変換も一発で出るドラえもん。子供の頃は観ていたけど最近は子供が観てるのを横目で観るくらい。特に26年間の声優陣は抜けてからは特に観なくなったな・・・・そのくらいドラちゃんは空気のような存在でいて当たり前だったよね。昔あったよね、ドラえもんが未来に帰ることになって、頼りたくなくてのび太がジャイアンに喧嘩で勝つけど仕返しにスネオが偽ドラえもんになって心を踏みにじるんだけど、最後に残した道具が「ウソ・エイトオーオー」。“言ったコトと反対になる”ってやつで仕返しして、おまけにドラえもんまで帰ってくるエピソード。アレは今でも覚えてる。
坂元 思い出しただけでも泣けるなぁ。あと、絶対に泣けるのが「お婆ちゃんの思い出」!もう何十回って観たけど、絶対に毎回泣けるんだよなぁ・・・・(笑)。子供たちと一緒に観てると、子供らは画面じゃなくてオレを見て楽しんでるもん。「そろそろ泣くよ~・・・・ほら、泣いたぁ!」って(笑)。
アキサン 僕が好きなのは『魔界大冒険』かな。伏線の張り方が絶妙でしたよね。シリーズ屈指のミステリ&ホラー。のび太とドラえもんの石像から繋がるメジューサのホラー加減はちびっ子世代には確実に直撃するおどろおどろしい恐怖演出。大体、タイムマシンを追いかけてくるという恐ろしい能力。絶対的な安全地帯であるはずの自宅に侵入されるという恐怖!そして石化!ドラえもんはゴルゴンの首という恐ろしいアイテムを所持しているんですが、その道具のエピソードも中々のトラウマ回。石化系はやっぱ怖いですね。
坂元 あぁ、覚えてる!今度、子供たちに見せてやろう。
アキサン あと、『鉄人兵団』はロボット好きにはたまらないですね。ザンダクロスがZガンダムに出てくる百式に似てるのもポイント。リメイク版が公開された時にはROBOT魂で商品化されたというあたりからしてツボってたファンが多かったって事なのではないでしょうか。実際、藤子プロのアシスタントが百式を参考にしてデザインしたらしいんですけどね。
坂元 11年のリメイク版『鉄人兵団』の主題歌「友達の唄」、最高だったよね~。「cut」って映画雑誌で“BUMP OF CHICKEN”がこの曲について語っていたのを読んだことあるんだけど「大人になったのび太がしずかちゃんに書いた曲」ってのをイメージしたらしい。泣ける~・・・・。
アキサン そういや大長編ドラえもんって、何故か武田鉄矢が主題歌歌ってたり作詞してたりしてましたよね。何故なんでしょう?金八先生のイメージが強いから良い人っぽいんですけど、結構クズいエピソード盛り沢山な人なんですよね。サインを求めてきたファンに「お前は俺のこと知ってるだろうけど俺はお前のこと知らないから嫌」と断るとか、映画の撮影を山奥でしていた時に沢口靖子が野糞してたことを嬉々として話すとか。人としてアカン感じがプンプンします。でも『宇宙小戦争』の「少年期」は傑作ですよ。大人になってから聴くと尚更グッときます。

《前へ1|2|3次へ》 2/3ページ

一番上にもどる      紹介作品一覧へ     ホームヘもどる