#170 ミセス・ダウト

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ロビン・ウィリアムズの名作群

アキサン ロビン・ウィリアムズといえばやはり90年代が全盛期ってイメージですね。出演作を眺めてると、観たことある作品や面白かった作品のほとんどが90年代。それこそ今回のテーマ『ミセス・ダウト』も93年。ざっと上げると『レナードの朝』『フック』『トイズ』『ジュマンジ』『フラバー』『パッチ・アダムス』『アンドリューNDR114』なんかも全部90年代。
N氏 僕が最初にロビン映画を観たのは87年の『グッドモーニング,ベトナム』だった。メチャクチャ話題になったよね。それから90年代にかけてが彼の黄金期だったんだね。
上木原 ベトナム戦争でアメリカ軍の士気を上げるために派遣されたDJの物語『グッドモーニング〜』は一風変わった戦争映画。『アラジン』のジーニー含めDJシーンのコレってほとんどロビンのアドリブだって知ってた?ネタやモノマネは理解できなかったけど、戦争映画にも関わらず、戦いがあるわけでもなく敢えて“庶民”をテーマに描いた作品なんだよね。カフェ爆破の放送禁止でマイクから下され代わりのDJ来たとき「お前じゃ無理」って思ったもんね。ベトナムの反米感情、トリンの兄との溝。難しいテーマの作品だった。まさにロビンのお喋り映画の金字塔作品!
アキサン 僕は『ハンバーガーヒル』『フルメタル・ジャケット』『プラトーン』のような飛び散る血しぶき満載な戦闘シーンが盛り沢山のベトナム戦争映画が結構好きなんですけど、それらとは全然毛色の違う『グッドモーニング〜』。予備知識なしで観たから逆に衝撃でしたね。あのモノマネやネタの多くはきっとアメリカ人じゃないとわからないんだろうな、と思いながらもその軽快なマシンガントークを観てると愉快な気持ちになれますよね。日本人だと誰なんでしょう?笑福亭鶴光でしょうか。クロンナウアの「グゥーーーーッモーニンベトナム!」に対抗できるのは鶴光師匠の「ええか~?ええのんか~?」ですね。
坂元 絶対違うと思う。
上木原 『アラジン』『グッドモーニング,ベトナム』『いまを生きる』『ミセス・ダウト』はじめ、さすがスタンドアップ・コメディアン!まぁ、よく喋る喋る・・・・。日本人にはミスター・ビーンとロビンを好きな人多いんじゃないかな?
N氏 そうそう、彼はコメディアンとしてまず有名なのだけど、でも映画としては結構シリアス路線も多いんだよね。『いまを生きる』とか『レナードの朝』『グッド・ウィル・ハンティング』などなど・・・・。特に僕は『いまを生きる』は大好きな映画です。「一番好きな映画は?」って訊かれるとこの映画を挙げるなぁ・・・・。
上木原 『グッドモーニング〜』からの2年後の『いまを生きる』はコメディなしの作品だったよね。エリート校に赴任した型破りな教師。あのエンディングでの7人が机に立つシーンに泣いた。
アキサン 名作『いまを生きる』を多感な時期に観ることが出来たのは幸運だったと思います。机の上に立って物事の見方を変えろと諭すシーン。きっと今でも何かしらの影響を受けているのかもしれません。『パッチ・アダムス トゥルーストーリー』でも冒頭に似たようなセリフが出てきましたよね。何だか懐かしい気持ちになりましたよ。この映画観るとヘッセの「車輪の下」を思い出すんですよね。たまに無性に読みたくなります。
上木原 『パッチ・アダムス〜』も名作だよね。自殺未遂で精神科に入院した主人公がそこで目覚め医学の道にすすむという。ベーブ・ルースが39歳で輝いたように。治療には「笑い」が重要性と知り、行き場を無くした患者に笑いを与える。念願の診察室を開業したが無免許が原因で放校処分を受け・・・・しかし「治療の定義」「延命と命の質」「診断能力より大事なもの」を語りみんなを共感させるんだ。そして卒業証書を受け取ったんだけど後姿がおしり丸見え(笑)。前田慶次のごとく最後まで傾く姿は最高だった!映画を通して笑いと命の質を教わった作品だった。特に彼女が銃で殺された時のロビンの表情が未だ忘れられない・・・・でも、あのシーンは要らなかったと思わない?日本の医者にも観て欲しい作品だった。
N氏 ロビン映画の涙って、ヤラセ感がないよね?ホント自然と泣けるというか・・・・だから大人になっても躊躇なく泣けるのだと思う。
上木原 以前テレビで観たんだけど『いまを生きる』『グッドモーニング〜』『パッチ・アダムス〜』って出演者は素人が多いんだって。だから素人ウケする下ネタとかが多かったりするみたい。何テイクもアドリブを取ってその中から使用するらしいんだ。この歳になっても結構学園モノのドラマ好きで「金八シリーズ」「GTO」とか見てたんだけど、金八っつあん・鬼塚もいいけど、やっぱロビンは最高だよね。ロビンみたいな指導者と出逢ってみたい。
N氏 あと、ロバート・デ・ニーロとの共演作『レナードの朝』!コレも大傑作ですね。パーキンソン病の新薬についての映画なんだけど、晩年、彼自身がパーキンソン病を患っていたってのもなんか皮肉で悲しい事実・・・・。
上木原 『レナードの朝』コレは泣いた。特にダンスシーン・・・・スーツでぎこちなく踊るレナード。30年の眠り病から目覚めるレナード。彼は現実に戸惑うもその人生を取り戻そうと必死。その反面、だんだん新薬の副作用も出始め追い詰められていくセイヤー医師。レナードもあの状態に戻る予感がしはじめて恐怖におびえ・・・・。恋した女性ポーラに「会うのはこれが最後にしてください」と告げるシーンは胸が痛い。そしてポーラも察してダンスに誘う。初めてのダンスシーン。リードされた手は痙攣がおさまっていたけれど、病院の窓からポーラが去っていくシーンで身体は再び悪化する・・・・。レナードの、40過ぎで極めて短くも凝縮された人生を送った姿に涙腺緩みっぱなし。そしてセイヤーがコーヒーを誘うラストシーンは何とも言えない余韻が・・・・。
遺伝子操作など神の領域に入りつつある現在、本当にそれは幸せなことなのか?目覚めたレナードの至福の表情。そして戻りゆく恐怖の表情。今の医学の進歩には「ここまでする必用性はなんだろう?」と、この作品を観て思った。仕事できる、酒が飲めるなど普通に生活していることに感謝しなきゃいけない。とにかくデ・ニーロとロビンの完璧ですさまじい演技に圧倒され涙した作品だった。

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