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#180 ボーン・アイデンティティ

今回でちょうど180回目。そもそも15年も続くなんて想像もできませんでした。 15周年おめでとうございます。 by 井上

『ボーン・アイデンティティ』
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント 
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映画についてこんなに語るのも、きっと最初で最後。この作品だけでしょう。

井上 今回でちょうど180回目ですか。まずは15周年おめでとうございます。そもそも15年も続くなんて想像もできませんでした。
だいたい15年と言っても、元々連載していた雑誌CROWDは2009年に休刊してますからすでにネット版になって6年も続いているんです。雑誌では9年ってことになりますか。つまりあと3年でネットが雑誌連載を追い越すわけですね。なんでそんなに続くのか・・・・。まあ良いことなんですが、とにかく恐れいります。
坂元 いやホント15年も経つんですねぇ・・・・ビックリします。こちらこそ、こんなに長い期間連載させてもらって有難う御座います。
しかも、今回は井上社長自ら参加してくれるということで・・・・恐縮です。
で、今回のテーマは「思い出の一本」なのですが、井上社長の思い出の一本は?
井上 『ボーン・アイデンティティ』。とは言っても、映画にはあまり思い出とかないので“思い入れのある作品”って感じでしょうか。ここまで何度も観た映画は日曜洋画劇場でしょっちゅう観てる『ナウシカ』くらいのもので、「ボーン・シリーズ」はホントに何度観ても見飽きない映像。いつもは映画見だしても30分で疲れてしまうことがほとんどで、そこで終わり消してしまう作品が多いのです。映画はほとんど自宅で観ますが、セレクトが悪いのかもしれないけど3本に1本くらいしか見終わらない。
でもたまに当たりもあって、例えばテレビつけたらたまたまやっていた『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』は凄い当たりだったり。たまたまテレビつけて最後まで目を離せない映画は良い映画です。
坂元 『ボーン・アイデンティティ』とは・・・・何だか意外です(笑)。井上社長のことだからもっと難解でアーティスティックな映画を挙げてくるかと思ってました(笑)。
井上 仕事から疲れて帰って、お酒飲んで、頭がもう働かない状態で自分の机の横にある小さいテレビで映画の録画をちょくちょく流すんですが、これが頭の疲れにいいんです。初めての映画は(特にサスペンス系は)見るのに頭使うし、他の映画ではクドすぎたり、テンション低すぎたり、俳優が主張しすぎでだいたい消したくなるんだけど「ボーン・シリーズ」はちょうどいい。地味顔のマット・デイモンだからっていうのもあって、脇役と主役のバランスがいいからか。スタローンやジョニー・デップやトム・クルーズじゃこうはいかない。
上木原 先日の“ショートカット・オフ会”楽しかったですねぇ~、リアルに色々な作品が出て酒も進みました。ビール10杯以上飲んじゃいましたし。
で、井上社長も「ボーン・シリーズ」好きなんですね。僕も大好きです。とくに家で何もないトキは「ボーン・シリーズ」をテレビでつけっぱなしにしていると聞いてなんだかスゴイ共感しました。
井上 「ボーン・シリーズ」は有料放送でよくシリーズ一気放映とかやるんだけど、NHKのBSでそれをやってて、気づいた時は第1話の『アイデンティティ』が終わるところだったので、2,3話を続けてみた分第1話を心待ちにしてました。3話一気に放送されて、それ以来レコーダーの中にずっと残ってる。以来BGMならぬBGVになりました。エンディングのテーマ曲も3話とも同じで魂の叫びのような曲。あの曲好きです。
ちなみに『ボーン・レガシー』はまったく別物。「ボーン~」とつける必要があったのかなと思います。なんであんな映画をつくっちゃったんでしょう。
坂元 エンディング曲って3本とも同じでしたっけ?各々が独立したイメージがあったけどそんな共通点があったとは。
井上 いや、なかなか統一感あるよ。毎回同じシチュエーションを準備していたり。ネスキーの娘に会うシーンと恋人役のマリーの兄に会うときとか。特に『スプレマシー』『アルティメイタム』では意識してやっているのかな。どんな効果があるのかわからないけど、ボーンの習性を示しているんだろうな。
上木原 井上社長に「ボーン・シリーズで一番好きなシーンは?」と訊くとなんと僕と一緒!(笑)3作目『アルティメイタム』での電話シーン。
ボーン「今ドコだ?」ヴォ―セン「自分のオフィスだ」ボーン「オフィスにいるなら向き合ってるハズだ」・・・・このシーンが井上社長とシンクロ(笑)。
アキサン 先日の“Short cutビヤホール”でも話題になってた「ボーン・シリーズ」、僕も復習を兼ねて全部観直してみました。『アルティメイタム』の井上社長や上木原さんの言うシーン、納得です(笑)。「ボーン・シリーズ」に共通するポイントとして、ボーンが“出し抜く”シーンが最高に気持ちいいんですよね。『アルティメイタム』のノア茫然シーン(笑)や『スプレマシー』の「君の横にいる」シーンとか。登場人物の「あっ!やられた」感をこれほどふんだんに見せてくれる映画は中々無いですよね。ドッキリを見ているかのようなカタルシスが得られます。
上木原 CIA情報機関を手玉に取ってるボーンが痛快!とにかくシリーズ通してスマートなんだよねストーリーが。自分がいったい何者かを知るために追い求める作品。「トレッドストーン計画」とは?彼らの正体は?そして何故狙われるのか?『ボーン・アイデンティティ』はそんなボーンの魅力を引き出すのに十分な作品だったよね。彼女マリーの元恋人の場所でおきた銃撃戦はシビれたな~、雪景色の広がる場所で常に冷静沈着で、次第に敵に近づいていくボーンにリアルな恐怖を覚えた。
アキサン そのボーンのテクニックもハイテクメカやトンデモ能力なんか一切使わない、ローテクと言うか地道で確実な作業。そして神出鬼没。現場から悠々と歩き去る姿にはシビレますね。でも結局見つかってド派手なカーチェイスになっちゃうんですけど。詰めが甘いのもご一興。
上木原 変装グッズや小道具が一切ないってのもボーンの魅力の一つだよね。「007シリーズ」「MIシリーズ」は結構未来的な小道具出てくるんだけど、彼は回避力や判断力に洞察力、観察力がアナログだけどハンパない!
コレ観る前に『ツーリスト』観たんだけど、ジョニデが屋根の上を追手から逃げるシーンあるんだよね。まあバタバタでトラウマレベルでダサくて「それはないわ~」感がスゴい(笑)。『アルティメイタム』ではボーンがモロッコの石屋根の上を舞うように敵を追い、ジャンプして窓ガラス飛び込んで敵に体当たりするシーンは圧巻だったよ。
ただね、やっぱりマリーとのシーンはあまり要らなかったよね、僕的には。最後のマリーの元に訪れて平和に過ごすシーンはよかったけど、『スプレマシー』の冒頭でソッコー殺されちゃうでしょ。『マッドマックス』『リーサル・ウェポン』にしても彼女や妻が殺されるってのがあまり好きでなくてね。
坂元 あと、アクション映画お約束のカーチェイス・シーン!「ボーン・シリーズ」は敢えてスーパーカーじゃないんだよね(笑)。何処にでもあるようなその辺の車で圧倒的なカーチェイスを繰り広げる!見ようによっちゃただの事故なんだけど(笑)、コレがまた最高にカッコ良いんだよな~。
上木原 俺から言わせたら「ボーン・シリーズ」のカーチェイスはどうも品がないんだよね・・・・けどまあ、旧ミニを豪快にコロがしパトや白バイから逃げるカーチェイスは面白かった!しかも空気圧がバラバラのタイヤで(笑)『スプレマシー』ではモスクワでタクシー!(笑)相手はゲレンデ!トンネルのシーンなってもう滅茶苦茶だし(笑)。
井上 シリーズ全作品に必ず入っているカーチェイス・シーン。ボーンはいつもボロい車で逃げまわるんだけど、カースタントが秀逸でこの突発的に見える事故シーンをどうやって計画して再現しているのか毎回その制作管理がかなり気になる。準備されたクラッシュシーンに見えない。どうすればそんなに偶発的に見えるのか。カーチェイスに巻き込まれる「たまたま通りかかった」クルマの巻き込まれ具合が特に良い。巻き込まれて慌てるドライバーをプロ中のプロが再現しているんでしょうね。
上木原 しかも、マット・デイモンはジャッキーやトムと一緒でノースタントの本人なんだってね。決してドライビングテクニックが上手いとは言えないけどセンスのあるドライビングは見事で目を奪われる。リアルなのはCGとかじゃなくノースタントの本人だからなんだろうな。
アキサン もう一つの特徴としてカメラがすごいブレるんですよね。そのブレが生み出すスピード感と緊張感。が、格闘シーンはあまりにもブレすぎて見難い面もあるんですけど、追跡シーンなんかは迫力がありましたね。
井上 シリーズ3作を少なく見積もっても20回以上は観てるから、あとになるほどどうでもいいところに注目してしまうんですよ(笑)。もし映画を作るとか仕事として志すようになったらそのくらい繰り返し観て、絵コンテに再現してみたりするのかなぁ。シーンの順序とかアングルとか布石の打ち方とか研究したらそれはそれで面白いんだろうし。映像学校の卒論的な(?)。手持ちのカメラでドキュメンタリー風に撮ってるってのはよく話題になるけど、それだけじゃない理由がいくつもある気がする。これって指摘はできないけど、映像の専門家ならいろいろ挙げてくれるんでしょうね。繰り返し観た映画って、なぜその映画を見るのか、人によって理由はいろいろなんでしょうね。なんどもその感動を味わいたいからってのもあるでしょうし。ボーン・シリーズは感動ではなく、心地よさかな・・・・。何度も見る映画ってホントに少ないから、こんなに語るのもおそらく最初で最後、この作品だけでしょう。

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